グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ジオパークガイド講習「火山防災」

2012年02月19日 | 火山・ジオパーク
今日のジオパークガイド講習は、東大名誉教授であり火山噴火予知連絡会会長でもある藤井敏嗣先生の「火山噴火と火山災害」の講義でした。

火山や噴火の基礎から今の火山噴火予知の現状などについて様々な話しを聞くことができて、私にとってとても有意義な時間になりました。

とくに印象深かった内容をいくつか…。

まず面白かったのは「富士山が円錐型で伊豆大島はなだらかな丘のような形をしているのは、富士山のマグマの方が粘性が高いからだと言われていたが、実際はその逆」という内容でした。(藤井先生の専門はマグマ学)

富士山の溶岩は99パーセントが玄武岩で、伊豆大島はもう少し安山岩よりの粘り気のある溶岩なのだそうです。普通サラサラのものの方が、山にならなさそうですが実際にはマグマの粘性だけが山の形を決めるわけではないようです。

富士山が円錐型なのは…

年齢が大島の5倍、(富士山は誕生後10万年、伊豆大島は海上に顔を出してから2万年)
マグマ噴出率が富士山は日本一、などの理由によるようです。

…ということは伊豆大島の火山も、もっともっと年を重ねたら富士山のような高い山に成長していくのでしょうか?

何万年後かにはこの景色の中に、富士山のような山がそびえたっているのかもしれませんね。

そして「噴火の前兆は必ず生じるがその時間スケールは様々で、火山によっては数時間たらずで噴火に至るケースもある」という内容は、ちょっとショッキングでした。

と言うことは“日本で最も観測が進んでいる火山のひとつ”と言われている伊豆大島でも、予想外のことがおきる可能性がなくはないということ(^_^;)これは「普段と違う」とか「何かがおかしい。」と思う、自分の動物的な感を研ぎ澄ましておかなければいけませんね。

人に頼るのではなく、自分で判断し危険を察知することが必要だと感じました。そしてそれと同時に、できるだけ火山の速報を手に入れられる状態で歩くようにしなければいけないとも思いました。

更に…
1 三宅島の2000年の噴火は数1000年に1回程度の特異な噴火と数10年おきの規則的な噴火が重なったもので、大島にも充分にその可能性があるということ、
2 比較的規則正しく噴火している火山でも、いつも同じような噴火をするとは限らないこと
3 近年の日本の火山噴火は比較的小規模なものが多かったが、火山ってこんなものではないこと、
4 今後100年の間に国内で5~6回は中規模~大規模噴火が起こる可能性があること
5 3.11のM9クラスの地震に数年以内に火山噴火が誘発される可能性もあること…などなど

日本の火山防災のトップである藤井先生のお話は、淡々と事実を話してくれているのに迫力があって、引き込まれました。なんだか今までなんとなくおぼろげに感じていたことを、「きちんと正視しなければならないものとして認識した」気分です。

こうやって少しずつ、第一線で活躍されている方達のお話を聞くことで、何かが自分の中で変わっていくような気がします。
(あやふやだったものが、ハッキリしてくるというか…)

今日の話を自分の中だけにしまっておいては、あまりにももったいないので、何かの形で出来るだけ多くの人に還元していきたいなぁ、と思いました。

(カナ)
コメント (2)
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