グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

黒い砂漠と白い雲

2012年08月30日 | ツアー
昨日、高校の理科教員の方々を4名のスタッフで案内しました。鳥や虫など生物中心のチームを願法と自主参加の嶋田が、お子様連れのゆっくりチームを柳場が、バリバリ火山チームを私が担当しました。

理科の先生たちは、探究心旺盛です。
ハチジョウイタドリのたくましさの説明のあと、根がどこまでのびているのか検証中。

(あまりにも深くまで根が伸びているので、途中であきらめ、埋め戻されていました。)

「下は空洞になってる!」
「イタドリの根っこが出てくるんじゃないの?」

皆さんの好奇心に、私も最初から楽しい気分になりました。

で、あれこれ観察しながら登って行ったのですが…
山頂近くまで登ったら急に霧が出て来て、あたりは真っ白になってしまいました。

火口一周をあきらめ、霧の晴れ間に少し白濁りしているような火口を眺めてから下山。
下山したら晴れました…シクシク~。

昼食後、晴天の中を裏砂漠に向かいました。
…が、私たちの後を追うように、またまた白い雲がやってきました。


第一展望所で三原山を見ようとしたら…キャ~!山が消えて行く~!

この日は風速7mの予報でしたが、風の当たる裏砂漠はいつも通りスゴイ風です。
ゴォ~っという風のうなり声が耳元に響き、少しよろめきそうな風の強さです。

普通なら強風と霧の時はここで引き返すのですが、昨日は全員一致で第二展望所を目指しました。
黒い山の頂上が第二展望所です。

屈強な男性3人だし、全員理科の先生だし(ど~いう根拠?笑)、私が平気なら皆さんも平気だろうという考えで歩いて行きました。

第二展望所は、過去に近くで激しい爆発があったことを示すかのように、地中の岩盤がくだけたような白い石が積もっています。黒い山の頂上の予想外の風景を楽しみたいところですが…

ゴォ~!(笑)
足もとを細かく観察する余裕はありません。

音とともに、雲が近づいてきました!


「痛たた!」…細かい溶岩粒が飛んできます。


なんだ?なんだ?

灰色の三角が迫ってきました!

ゴォ~!

三角の正体も雲でした。(あたりまえ?笑)

ゴゴゴゴ~!

三角が白い雲に巻かれて、消えていきます。

「ウワ~!」「すげ~!」

息をのむような迫力です。

あ、外輪山が見えてきました!


「キレイ~!」

こうやって、白い雲の向こうに広大な景色が現れた時の感動は、最初から晴れている時より絶対に大きいと思います。

4人で、いっぱい叫んで、いっぱい笑いました。


大島の卓越風“南西の風”にのって、雲は黒い外輪山を乗り越え、海に向かって流れ続けました。
右から左へ、猛スピードで流れていきます。

溶岩粒や火山灰が風に乗って降り積もり、噴火のたびに再生する黒い砂漠。
強風にタネが飛ばされて植物がはえない黒い砂漠。
裏砂漠の物語を丸ごと体感したように感じられた、貴重な時間でした。

大盛り上がりの裏砂漠のあとは、心静かに(笑)火山がつくった様々な景色や植物を見て歩きました。
溶岩の赤と植物の緑の、鮮やかな色に見とれ、


1万5千年の噴火の歴史を表す地層大切断面の前で、シチトウエビズルの若い実を味わい、


溶岩の丘の上から、光る海を見下ろしました。

広い海の上の、若い火山島の物語。
皆さんに楽しんでいただけていたら、嬉しいのですが。

ところで今回の報告は火山チームだけですが、どのチームのガイドも理科教員のみなさんとの時間が楽しかったようです。
ツアーにご参加くださった皆さん、ありがとうございました!

(カナ)
コメント (2)
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