グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

昨夜も産卵!

2012年09月07日 | 哺乳類、爬虫類、他

昨夜、元町の弘法浜でウミガメが産卵しました。
大島でのアカウミガメの最も遅い産卵記録になると思います。

今朝、元町地区担当のSさんからの電話で調べに行きました。

弘法浜は大島で一番賑わう海水浴場ですが、
さすがに9月の平日となると利用者はグッと少なくなります。

波打ち際から、

確かに、しっかりした上陸跡が残されていました。

つり道具店の掲示板によると、海水温は25℃。
まだまだ高いので産卵したくなったのでしょうか?!

母親ガメが上手に産卵巣をカモフラージュして行ったので、
簡単には見つかりません。

昨年も一昨年も書きましたが、念のために(笑)
東京都の漁業調整委員会から承認を得ている農林水産総合センターに協力して、
調査・保護活動を行っています。

しばらく探して、やっと見つかりました。
足跡の特徴や卵のサイズからしてアカウミガメと推定します。
この海岸での産卵は5年振りくらいだったかな?

こんな具合↓に保護柵を設置して作業終了。

子ガメの孵化脱出まで、あたたかく見守って下さい。


次は、先週の土曜日9月1日の写真です。
丁度、日没の6時頃。南部の海岸で子ガメの自然脱出後の産卵巣しらべをしました。

卵の殻を数えて孵化状況を調べたりしてから、
砂の中に残っていた3匹を放流しました。

人間には、鮮やかに染まった夕日の沈む空の方が明るく見えるのですが、
子ガメたちは、海に向かって這って行きます。
これが・・・いつも不思議。

「砂から出た子ガメには、正の走光性という明るい方に向かう習性がある」とされています。 


砂浜を一目散で駆け下りるように海へ向かう子ガメたちは、
その間に、頭の中のコンパス(羅針盤)に進んでいる方角をインプットするそうです。

そして、海に入ってから波にもまれたり流れに運ばれても、
その記憶した方角へ向かって泳ぎます。
一生懸命に陸から遠くへと泳ぐフレンジーという、この期間が2~3日ほど続くそうです。

通常、夜間は暗い山側よりも明るい海側に向かって子ガメたちが這って行きます。
子ガメたちは、海が発する波長の短い紫外線を感じて海へ向かうようです。

「しかし産卵巣の山側に街灯があったり、街の光が強いと海よりも明るいそれらの光の方に
向かう子ガメが出てきます。これらの子ガメはなかなか海にたどり着けず、体の乾燥や
体力の消耗などが生じ弱ってしまいます。また、他の生物に食べられる機会も増えます。
これらの要因が子ガメの死亡率を高めているのです」
山口真名美(先週の『ウミガメは減っているか』22ページより)

著者の山口さんは、小笠原で長くウミガメの保護をされている方です。

見出しの写真は、
今年、7月初めに出会った母親ガメです。甲羅の長さが90センチくらい。
未明の3時頃に上陸したと思われますが、なかなか産卵に適した場所が見つからず、
うろうろと浜を迷っている内に夜が明けてしまったようです。

私が出会った5時頃、産卵後のカモフラージュ作業中でした。
一心に砂を後ろへ飛ばしている目がウルウルしていたのが印象的でした。

(なるせ)
コメント
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