グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

カタツムリの戦い

2012年09月30日 | 
久々に、生物ネタです。
先日三原山を歩いていて、貴重なシーンを目撃しました!
 
きっかけは「あ!大きなカタツムリ!」という、お客様の一言でした。

地面の上に1匹のミスジマイマイが這っていました。
大島には一番多いカタツムリです。

お客様と一緒に、カタツムリを観察しようとしゃがんだ時、近くに黒い虫がいる事に気がつきました。虫は最初、まるでカタツムリに関心がないようで“ただ、そこにいる”ように見えました。

が、実はそうではありませんでした。
黒い虫が突然、カタツムリの体に食いついたのです!

カタツムリはかなり驚いたように目をむいて、虫を睨みつけました。
(写真のカタツムリの表情、ご覧下さい)

虫はどんどん体の中に潜り込み、カタツムリは苦しそうに体をくねらせはじめました。
「このまま、食べられてしまうかも!?」

お客様と固唾をのんで見守っていると、予想外な事が起こりました。
カタツムリが虫を襲うかのように、頭の上からのしかかっていったのです!

「え?カタツムリが虫を食べるの!?」
キノコやコケを食べているカタツムリが虫を襲うなんて、聞いたことがありません。

カタツムリの体からは粘液のようなものが出て、自分も砂まみれになっています。何が起きているのか良くわからずさらに観察を続けていると、カタツムリは意外とあっさり虫を放しました。

虫は、苦しそうに暴れています。
「苦しい~!助けてくれ~!!」という声が聞こえてきそうな暴れようです。

やがて虫は、動かなくなりました。
カタツムリは「戦いは終わったぜ」という様子で、その場を離れていきます。

虫は死んでしまったのでしょうか?

いえいえ、虫は死んではいませんでした。
数10秒後には、足を動かしはじめました。

でもどうやら、粘液で足に砂粒がついてしまい、うまく動けないようでした。砂粒を落とそうと、必死になって足を動かし、体をくねらせ…さんざんジタバタして、数分後にようやく歩けるようになりました。

自由を取り戻した虫は、カタツムリには見向きもせず、スタコラ藪の中に逃げていきました。
そして勝者となったカタツムリは、堂々とした姿でふたたび這いはじめたのです。

…と、ここで終わりたいところですが、実際にはここで終わりませんでした。
堂々とした姿に見えたカタツムリの動きが、変になったのです。

かなりダメージが大きかったようで、上手に這えなくなってしまいました。
「このままではアリの餌食になってしまうかも…」

よけいなお世話と思いつつ、戦い抜いたカタツムリになんとか生きてほしくてアジサイの葉に乗せようとしましたが、すぐに地面に落ちてしまいました。

どうやら、かなり弱ってしまったようです。
弱肉強食の自然界では、このあと無事に生き続けるのは難しいかもしれません。

ところで、黒い虫の正体は、マイマイカブリの幼虫でした。成虫も幼虫もカタツムリを襲って食べる虫で、消化液でカタツムリの体を溶かして食べると言われています。

願法はこの状況を「マイマイカブリの幼虫は、カタツムリの粘液で一時的に窒息状態になって苦しんだのでは?」と推理していました。なるほど…。

これは私の想像ですが、もしかしたらマイマイカブリの幼虫は、まだ狩りがへたで逆襲されたのかも?そして、今回の事で懲りてしまってカタツムリを食べなくなったら、それはそれで自然界で生きる上で大きな障害になる可能性もありますよね?

以前飼っていたキノボリトカゲが、オオカマキリとの戦いに負けてから拒食症になって死んでしまったことがあるので、自然界でもそういうことがありそうな気がします。

いずれにせよ、生きるってキビシイ…。

ところで今、大島には台風17号が接近中です。
外では風が、ビュ~、ビュ~唸り始めました。

うちのボロ家も壊れないか心配ですが、もっと無防備な野生の生き物達はどうしているのでしょう?
たとえば今日の昼間、大物を捕まえてご満悦だったジョロウグモは?

雨でも網をたたまない彼らが、生き残れる確率はどのぐらいなのでしょう?

常に命がけの野生の生き物達。
彼らの真剣勝負ぶりには、敬意を抱かずにはいられません。

火山も人もすごいけど、虫も、鳥も、カタツムリもすごい!

こんなにすごいものだらけの地球、万歳!
(万歳だけど、台風こわい~)

(カナ)



コメント (2)
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