グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

伊豆大島ジオパークパンフレット・外周編

2012年09月27日 | 火山・ジオパーク
9月に入ってからずっと続けてきた表題のパンフレット作りが、ようやく終わりに近づいてきました。

昨年発行した三原山周辺と対になる「外周編」は、「火山と人との関わり」がテーマです。
選んだジオサイトは17カ所。

一カ所88文字という字数制限の中で、どうやったらより正確にわかりやすくその場所の魅力を伝えられるのか、作成メンバーでメールをやり取りしながら作っていきました。

作業を進めるうちに、今ある景色の中には様々な「火山と人間との物語」が織り込まれている事に気がつきました。例えば島の玄関口の空港も、最初は火山がつくった素材を利用して人力で作られたものでした。

歴史に関する事は『伊豆諸島を知る辞典」の作者、樋口氏に色々教えてもらいました。25年前の噴火で消防活動に関わった人に話しを聞いてくれたり、文献を見せてくれたり…本当にお世話になりました。

また、島の防災に関わる場所を1カ所載せるために、大島支庁の土木課に話しを聞いて、大島には世界でただ一つの溶岩導流堤がある事がわかりました。

導流堤は、大規模噴火で外輪山からあふれ出る溶岩流を想定して作られているそうです。

ジオパークに関わる前の私はどちらかというと、こういう大規模な公共事業を見ると「本当に必要なの?」と思う方でしたが、ジオパークの大会などで他の火山をまわるうちに考えが変わってきました。

大島は比較的人的災害の少ない火山ですが、他の火山では人が亡くなっています。
そういう場所では、将来必ず起こる噴火に備えて、砂防ダムが作られています。

4枚のプレートの合わせ目にあり、地震や火山の噴火が必ず起こる日本。海の近くは津波が来るし、川は氾濫するし、山は崩れる…そういう場所で暮らす私たちは、ハードとソフトの両方を駆使して、その土地を作る自然とともに生きていくしかありません。

溶岩導流堤が世界にただ一つだからすごい、という訳ではなくて
導流堤をきっかけに、火山防災に付いてもっと学んでいかなければなぁ、と思いました。

そして筆島…。ここは以前「240万年ほどまえに活動していた古い火山の火道が、丈夫で波に削られ残ったもの」と言われていたりもしましたが…

今回伊豆大島の火山地質図の作者川辺氏に、もっと新しい時代(少なくとも100万年より若い)のものであるらしいことを、その根拠も含めて教えてもらいました。

コツコツ自分の足で歩き、調査、分析を続ける専門家の方達の努力で、情報は常に新しいものに入れ替わっていくのですね。私たちももっとどんどん、最新の情報を得るようにしていかなければ、ですね。

今回の作業では、いつも様々なアドバイスをしてくださる時事通信の中川氏にも、文章の添削や資料の紹介などで、お世話になりました。国土地理院の航空写真アーカイブなどを紹介していただいて、元町の港の桟橋には、立派な溶岩の土台がある事が良くわかりました。

そしてもちろん!大島のジオパーク推進委員のメンバーも頑張りました。みんなで意見を交換しながら88文字を考えました。少しでもわかりやすくしようと、半日かけて昔の写真を探したメンバーもいます。

みんなで作った外周編パンフレット。
出来上がりも楽しみですが、その行程自体が楽しかったです。

来月にはきっと、新しいパンフッレットが刷り上がると思います。
そうしたら、またこの日記で報告するのでぜひ見てくださいね。

…本当は、もっと詳しく報告したいのですが、あまりにも眠くてもう駄目です(笑)

近いうちにもう少し詳しく、新しくわかった事や、島らしい魅力的な物語を紹介したいと思います。

しばしお待ちください~。


(カナ)
コメント (8)
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