『世界』7月号が送られてきた。高校生の時からずっと購読している雑誌である。政治や社会の動き、国際的なことまで、日々配達される新聞、そしてテレビメディアでは書かれていない事実や背景などがコンパクトにまとめられている。購読者として、『世界』からは多くのことを学んできた。
今月号の特集は、「非立憲政治を終わらせるために」である。『世界』は明確なスタンスがある。平和や民主主義、人権を擁護し発展させる、という視点である。そういう視点から、様々な事象について、基礎的な知識、あるいはどう考えることが妥当であるのか、その枠組みなどが提示されるのだ。この雑誌の購読部数が増えることが、日本の民主主義の尺度にもなると思う。
さて、本誌でまず読んだものは、片山善博氏の「日本を診る」である。舛添東京都知事のことが記されている。舛添氏の政治生命は、今度の事件でたたれたという認識をボクは持っているが、この問題は、政治のあり方や地方自治の問題を国民にもっと考えるべきことを示している。
片山氏は、舛添都知事の今回の所行に関して、都議会のありかたを問う。高額の海外出張費については、都議会の決算審査でチェックされているはずだ、今問題にされるなら、都議会のありかたも問われていることを指摘する。120人の議員、報酬以外に高額な政務活動費が支給されている都議会議員は、その職責を果たしたのかということである。
しかしこれは都議会だけではなく、どこの地方自治体でも必要なことだ。まあ地方議会の議員の資質は、浜松市議会でも低劣で、議員であることだけが議員の目的であって、行政がどう行われているかは眼中にない。しかしこれはどこでも同じ。そういう人に投票する選挙民の問題でもあるのだが・・・
次に自治体には、独立行政委員会が設置されている。人事委員会、そして監査委員。そうした委員は、高額の海外出張費について検討したり監査したりしたはずであると、片山氏は指摘する。
制度的には、舛添都知事の高額出張費の問題は、チェックする機会が提供されていた。しかし、それぞれの機関がそれを見逃したことを指摘する。重要な指摘だ。
もちろん、片山氏が論ずる対象外である、政治資金の使途の問題、これは政治家すべてに該当することであるが、まさに税金から支出されている政治資金が、私的に費消されていても「違法」とされないという制度、これについてはきちんと改善されなければならない。今のままでは、政治家には自由に費消できる高額の報酬以外に、使途自由の莫大な政治資金が支給されているということになる。こういうシステムを存続させてはならないという問題でもある。
東京都知事のあまりにけち臭い所行を起点に、考えるべきことは多く、そうした制度上の問題をクリアしていくだけの主権者としての役割がボクたちに示されているということを、片山氏の指摘から学んだ。
主権者は、いつも学び続けなければならないのだ。学ぶことに限界はない。