1942年の戦時下、18歳の聴覚障がい者の男性が、9人を殺すという事件があった。これについては『日本の精神鑑定』(みすず書房)などで知っていたが、最近この事件について言及している本が出版されたという情報を得た。管賀江留郎『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか 冤罪、虐殺、正しい心』(扶桑社)という本である。なかなか高額の本なので、図書館にないかと検索したら、『戦前の少年犯罪』(築地書館)があったので、今日借りてきた。
この人は、新聞記事をひたすら読み、その記事に基づいて犯罪のデータベースをつくり、この本にまとめたのだが、しかし戦前の新聞記事は、低い人権意識のもと、大げさにおもしろおかしく書かれているものが多い。
だから、戦前の刑事事件を取り上げる場合は、そうした当時の新聞記事の属性を考慮に入れ、記事そのまま紹介するのではなく、きちんと調べる必要があると思っている。
さて、管賀江留郎氏(完全にペンネームである)は、この1942年の事件について「2 戦前は脳の壊れた異常犯罪のの時代」のなかに入れている。「脳の壊れた異常犯罪」ということばに、ボクは違和感を覚えるのだが、管賀江留郎氏はこの事件について、新聞記事と『日本の精神鑑定』から事件を組み立てているようだ。
『戦前の少年犯罪』中の、上記の事件の書き方は、短いけれども、人権に関する配慮に欠けているように思う。
ウィキペディアを基本的に利用しないが、いちおうこの事件の概要があるので紹介しておく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%9C%E6%9D%BE%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
読んでみると、ウィキペディアのほうが、配慮した書き方をしている。
この人は、新聞記事をひたすら読み、その記事に基づいて犯罪のデータベースをつくり、この本にまとめたのだが、しかし戦前の新聞記事は、低い人権意識のもと、大げさにおもしろおかしく書かれているものが多い。
だから、戦前の刑事事件を取り上げる場合は、そうした当時の新聞記事の属性を考慮に入れ、記事そのまま紹介するのではなく、きちんと調べる必要があると思っている。
さて、管賀江留郎氏(完全にペンネームである)は、この1942年の事件について「2 戦前は脳の壊れた異常犯罪のの時代」のなかに入れている。「脳の壊れた異常犯罪」ということばに、ボクは違和感を覚えるのだが、管賀江留郎氏はこの事件について、新聞記事と『日本の精神鑑定』から事件を組み立てているようだ。
『戦前の少年犯罪』中の、上記の事件の書き方は、短いけれども、人権に関する配慮に欠けているように思う。
ウィキペディアを基本的に利用しないが、いちおうこの事件の概要があるので紹介しておく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%9C%E6%9D%BE%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
読んでみると、ウィキペディアのほうが、配慮した書き方をしている。