浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

間違いだらけの回答

2023-02-16 21:59:16 | その他

 chatGPTの回答は間違いがいっぱいあるということを、ここに示す。下線の箇所が間違い。大杉が生まれたのは香川県。生年は、1885年である。確かに大杉は1923年の関東大震災の渦中に虐殺されたが、1923年は大正12年であり、昭和期には生きていなかった。

 chatGPTの回答が正しいものではないことを肝に銘じるべきである。

【質問】大杉栄を知っていますか?

【回答】 

はい、大杉栄(おおすぎ さかえ)について知っています。大杉栄は、明治時代から昭和時代初期にかけて活躍した社会運動家・政治家で、日本の社会主義・労働運動の先駆者の一人として知られています。

大杉栄は、1878年に山口県で生まれ東京帝国大学(現・東京大学)法学部を卒業後、新聞記者や弁護士として活動しました。労働者や農民の権利を守るために、社会主義思想を広め、労働組合や社会主義政党を結成するなど、社会運動に尽力しました。

1923年に起こった関東大震災では、被災者の救援活動を行い、大杉栄自身も被災して亡くなりました。彼の遺志により、遺産はすべて救援資金として寄付され、遺書には「私の死後、一切の祭りをやめて、あたりまえの食事だけをとって、その分を被災者にあげてほしい」という言葉が残されています。

大杉栄は、社会主義者としての信念を貫き、自らの命を犠牲にしてまで、社会の不正や不平等を是正するために尽力した人物として、今も多くの人々に尊敬されています。

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chatGPTは中庸な意見が好きなようだ。

2023-02-16 21:36:27 | その他

 もう一つ聞いてみた。

【質問】

人間が生きていくうえで、緑豊かないなかに住むべきか、それとも高層ビルが立ち並ぶ都会に住むべきか、あなたの意見を教えてください。
 
【回答】

個人的な意見としては、緑豊かな環境に住むことが重要だと考えます。緑が多い場所に住むことで、自然とのつながりを感じることができ、心身ともに健康的な生活を送ることができます。また、自然環境が豊かな場所に住むことで、地球環境への配慮もできます。

一方で、都会に住むことも必要不可欠な面があります。都会には様々な文化や産業が集積しており、多様な人々との出会いや新しい情報に触れることができます。また、都会には先進的な技術やサービスが充実していることが多く、快適な生活を送ることができる場合もあります。

そのため、住む場所は個人のライフスタイルや優先順位によって異なると考えられます。緑豊かな環境に住むことが好きな人もいれば、都会で活躍することを重視する人もいます。重要なのは、自分自身が心地よく過ごすことができる場所を選ぶことだと思います。

 

【考察】最初文字が出てきたときは、自分の意見をしっかりと主張するのかと思ったが、続いてでてきた文字を追っていたら、また当たり障りのない回答になった。chatGPTは、中庸な回答を好むようだ。敵を作らない回答、ということでもある。

 

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もう一つ聞いてみた

2023-02-16 21:36:27 | その他

【質問】第二次世界大戦において、日本はいつ降伏すればよかったのでしょうか。

【回答】

第二次世界大戦において、日本が降伏するべきだったタイミングについては、歴史家や研究者の間でも意見が分かれています。以下にいくつかの意見を紹介します。

一つ目は、日本が最初に原爆が投下された広島市と長崎市が壊滅した後、すぐに降伏するべきだったという考え方です。この見解は、広島と長崎への原爆投下によって、日本の戦争指導部が戦争の行き詰まりを認識し、降伏の意思決定につながるきっかけを与えたという見方があります。

二つ目は、日本がソ連に対して敗北を喫した直後、すぐに降伏するべきだったという意見です。1945年8月9日にソ連が日本に宣戦布告し、8月10日には満州でソ連軍が侵攻を開始しました。この時点で日本は既にアメリカの原爆攻撃を受けており、ソ連による侵攻は日本にとって追い打ちをかけるような状況でした。そこで、ソ連による侵攻を受けて戦局が一層悪化したことを受け、日本はすぐに降伏するべきだったという見方があります。

三つ目は、日本がアメリカとの交渉に応じて降伏するべきだったという意見です。1945年6月以降、アメリカは日本に対して降伏を求める交渉を行っていました。この時期に日本が降伏していれば、原爆投下やソ連による侵攻を受けることはなかった可能性があります。また、降伏によって多くの犠牲を避けることができたという見方もあります。

以上のように、日本が降伏すべきだったタイミングについては、いくつかの意見が存在します。ただし、当時の日本の指導者たちは、戦争継続に固執し、降伏を選ばなかったことが歴史的事実として残っています。

【考察】私は、1944年7月サイパン島などのマリアナ諸島が米軍に占領され、「絶対国防圏」が崩れ、そして東条内閣が政権を放棄した時、この段階で日本の敗戦が確定したのだから、この時点で降伏すべきではなかったかと思う。しかし【回答】の末尾にあるように、日本の指導者たちは、戦争を継続し、破滅に向かって進んでいったのである。
 
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chatGPTを試してみた。

2023-02-16 21:16:34 | その他

今話題になっているchatGPTに、こういう質問をした。

【質問】日本の未来は明るいですか?

【回答】

私はAI言語モデルであり、将来を正確に予測することはできません。ただし、日本は技術革新、教育、健康、安全、経済的な面で高い水準を保ち、多くの分野で世界のリーダーの一人として認められています。しかしながら、日本は人口減少、高齢化、労働力不足、地方都市の過疎化などの課題に直面しています。これらの課題を克服するために、日本政府は積極的な取り組みを行っており、将来的にはさらなる進歩と発展が見込まれます。

【質問】

日本は2011年大地震が起きました。この後日本には大きな地震がくるでしょうか。

【回答】

地震は予測が難しく、どの時点でも起こり得ます。また、日本は地震の多い国の一つであり、地震に備えた防災対策を行っています。しかし、過去の地震から得られた知見を元に、地震の発生確率や規模などを予測する試みは行われています。

具体的には、日本では地震活動が活発な地域や断層などを調査し、過去の地震データや地盤の情報をもとに、地震予知の研究が行われています。しかし、現在の科学技術では、具体的な地震発生日時を予知することはできないため、万が一の地震に備えて、日頃から防災意識を持ち、防災訓練などの準備を行うことが重要です。

【質問】

原子力発電所の稼働期間を60年にすると日本政府は言っています。はたして原子力発電所を60年間稼働させて安全が保たれるでしょうか。

【回答】

原子力発電所の稼働期間を60年にするという考え方は、原子力発電所の設計寿命が40年であることから、既存の原子力発電所を長期間にわたって稼働させることで、将来的なエネルギー需要を満たし、温室効果ガスの排出削減に寄与することを目的としています。

しかし、原子力発電所の稼働期間が長くなると、機器や部品の老朽化や劣化が進み、安全性が低下する可能性があります。このため、原子力発電所の安全性を確保するためには、厳格な点検・メンテナンス・改良を継続的に実施する必要があります。

また、原子力発電所に関する技術や安全性に関する知見は、長期間にわたって蓄積されることになります。今後の科学技術の進歩に伴い、新しい安全技術や改良が生まれることも期待できます。

総じて言えることは、原子力発電所を60年間稼働させることができるかどうかは、安全性の確保について十分な措置を講じるかどうかにかかっているということです。政府や原子力発電所の運営者は、安全性を最優先に考え、必要な対策を講じることが求められます。

 

【考察】当たり障りのない回答に終始しているように思える。これでは毒にも薬にもならない。面白味もなく、学生のレポートなら合格点はもらえるだろうが、具体性やユニークさがないために高い評価は得られないのではないか。

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「信千世家の一族」

2023-02-15 20:23:02 | 政治

 アベシンゾーの弟・岸信夫の息子が、父の跡を継いで政治家になるのだそうだ。家系図をホームページに載せた。そこには、ひとりも女性がいない。また岸信和という岸信介の息子が消されている。

 世襲の政治家を、山口県民はつくりだすのだろうか。山口県民は、きっと彼を当選させるだろう。なんといっても、山口県は長州藩である。近代日本国家をつくりだした長州藩、問題ある政治家をたくさん生み出した。21世紀になっても、そういう政治家を出し続けるのだ。

 

[バカニュース] [雑談] 信千世家の一族

 

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大杉栄らの墓とアール・デコ

2023-02-14 20:24:20 | 大杉栄・伊藤野枝

 昨年書いた文を掲載する。今年は関東大震災から100年。その混乱のなかで虐殺された大杉栄、伊藤野枝、橘宗一の墓は、静岡市の沓谷霊園にある。今年はその墓を訪れる人も多いと思うので、これからいくつかを紹介する。まずその墓のデザインについての言及である。

はじめに

 ある日、H氏からメールが届いた。H氏の友人から、静岡市・沓谷霊園にある大杉栄らの墓が「アール・デコ調」だと指摘された、というのだ。これについて教えてほしい、というメールであった。

 確かに大杉らの墓をよくみると、ふつうの墓とは異なり、意匠が加えられている(写真参照)。アール・デコといわれればそのようにも思える。そこで、問われたことについて、考察してみたい。

大杉らの墓建設の経緯

  なぜ静岡・沓谷霊園に大杉らの墓があるのかということについては、別の機会に掲載する。ここでは墓がどのようにつくられたかを記す。

 当初、大杉栄の父・大杉東が葬られている鉄舟寺への埋葬を企図したが反対もあって実現しなかった。その後臨済宗妙心寺派の真福寺(清水区)が候補にあがったが、これも拒否され、結局静岡市在住の柴田勝造・菊(大杉の妹)の尽力によって、共同墓地である沓谷霊園への埋葬となった。

 さて墓石であるが、真福寺檀徒の志田繁作が中心となった。その経緯を、『静岡新報』1925年7月14日付が、「墓石の世話人は、前記真福寺の檀徒志田繁作氏で、設計構図は同氏の弟志田政次郎の手に成り、市内辻町石工柴田恵作方の所に於て隠密裡に製作し、数日前出来上がったので、十二日深夜夜陰に乗じ七台の貨物自動車で前記共同墓地へ運搬し了ったのである。墓碑は基礎石から三段、其の上に大杉栄之墓と墓銘を刻んだコンクリート石が建てられ、頗る現代式のもので墓銘は大杉氏が自伝に認めた字体を模擬したものである(以下略)」と報じている。

  さて設計は、志田政次郎による。当時志田政次郎は、東京で建築を勉強中であったという。当時、建築の方面では、アール・デコが席捲していた。

アール・デコ

  アール・デコは、「1910年代から30年代にかけてさかんに用いられた造形のスタイルである」と、『アール・デコ建築』(吉田鋼市、河出書房新社、2010年)は記している(6頁)。同書はその特徴として、以下のように説明している。

 「アール・デコの建物は、たいてい鉄筋コンクリート造であ」(9頁)り、「アール・ヌーヴォーはなめらかで流れるような非対称で自在な曲線的模様を特徴とする」が、「それに対して、アール・デコの造形はおおむね対称形をしており、非常に幾何学的でほとんどは定規とコンパスで描きうる。・・(中略)・・アール・ヌーヴォーの造形は曲線的・有機的・非幾何学的・非対称・平面的であり、アール・デコの造形は直線的・無機的・幾何学的・対称的・立体的ということになる。」(18頁)

 アール・デコは、もちろん日本へも波及してきた。「大正末期から昭和初期の建物は、多くがアール・デコのグループに属する」(吉田鋼市『日本のアール・デコの建築家』王国社、2016年、16頁)とされている。

大杉栄らの墓とアール・デコ

 大杉栄らの墓をみると、コンクリート製、左右対称であり、直線的、幾何学的であることがわかる。墓石の頂部が細められており、アール・デコの建築として有名な早稲田小学校の門柱とよく似ている(ただし現在の門柱はそれではない)。また墓石の上部にギザギザの文様が施され、「大杉栄之墓」と刻まれたところはくぼんでいる。

 アール・デコ建築の設計者は、「建物の用途や、建物の体現しなければならない性格を伝えるために、それぞれの状況に応じて様々な造形要素を使い分けた」(前掲『日本のアール・デコの建築家』、18頁)とのことであるが、大杉らの墓もそのような意図のもとに造形されたのではないかと推測できる。

 大杉栄らの墓の設計者は、東京で建築を学んでいた志田政次郎である。当時建築を学ぶということは、アール・デコの意匠を学ぶことでもあった。彼の足跡をたどろうとしたが出来なかった。

吉田はこう記している。

 アール・デコの建築家たちは、基本的には物言わぬ、言挙げしない建築家たちである。設計の主旨とか意図とか、建築のあり方とか、社会に対する問題意識などを声高には叫ばない人が多い。黙々と仕事をし、施主に気に入られ、それを使ったり見たりする人の記憶に入り込み、結局は時代の景観を作ってきた。そしてそのいくつかは、今日も同じ用途で使われ続けており、時には文化財となったり、景観重要建築物となったりして大切に保存され、時代の文化や雰囲気を伝える貴重な歴史的資産となっている。(『日本のアール・デコの建築家』、「あとがき」)

おわりに 

 大杉らの墓は、志田繁作が中心となって、政次郎が設計し、石工・柴田恵作が施工した。その墓は2025年で100年となる。独特の意匠を持った墓は、これからも、1923年9月の国家権力の暴虐と大杉栄、伊藤野枝らの記憶を語り続けていくはずである。

〈付記〉静岡市に於けるアール・デコの墓として、文化財にすることも可能ではないかと思われる。

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内田樹「ウクライナ停戦の条件」

2023-02-14 09:12:44 | 国際

 なかなかウクライナ戦争は終わらない。戦後の国際秩序を揺るがす冒険を敢えて企てたプーチン政権。簡単に終わると思って始めた戦争が、ウクライナ側の抵抗とNATO諸国の軍事援助により、ロシア側に大きな損害を生じても、プーチンはそれをやめることはできない。

 内田氏は、「ロシアでは、領土的譲歩を含む政治的主張は法律によって禁じられている」ことをあげる。プーチン政権は、ウクライナに対して「領土的譲歩」は、したがって絶対にできない。ウクライナがクリミア半島やウクライナ東部を取り戻そうとしているが、プーチン政権はまったくそれに応じることができない。そこに妥協はありえない。もしプーチン政権が妥協したなら、プーチンの政治生命はたたれる。

 そこで内田氏は、こういう停戦条件を示す。プーチンの政治的生命を保証すること、ロシアに隣接する国々へは絶対に軍事的支援を行わないこと、である。しかしここにはクリミア半島やウクライナ東部の帰属の問題は条件にあげられていない。ウクライナ側がクリミア半島とウクライナ東部を放棄することを前提としているのだろうか。

 ロシアの軍事力によって殺戮され、破壊されたウクライナの人びとにとっては、すでにロシアは不倶戴天の敵となっている。ロシア語話者であっても、ロシアの蛮行に対して烈しい怒りを持つ人が格段に増えた。そうした怒りをもったウクライナの人びとが、クリミア、東部をロシアに「割譲」することを肯定するだろうか。私はきわめて難しい、とみている。

 もちろん戦闘を即時ストップし、その後は話し合いで解決することがもっとも望ましいことである。

 だがおそらくアメリカは、このウクライナ戦争を利用して、ロシアの弱体化を図っているのではないか。また兵器をウクライナに与えることは、アメリカの軍需産業を潤すことになる。これは、アメリカが戦後一貫して行ってきたことだ。

 となると、解決はきわめて難しい。戦闘はすぐには終わらないだろう。

『世界』3月号に、野村真理氏が「西ウクライナの古都 リヴィウが見ていたこと」を書いている。西ウクライナは民族混住地域である。これは旧ユーゴスラビア地域でも同じであった。野村氏は「民族が国境を作ったというより、国境が民族を作りだした」と指摘する。

 この地域は、オーストリア帝国、ロシア帝国(ソ連)、ポーランドの支配、そしてナチスドイツの侵攻があった。そのなかで、民族が「出現」し、あるいはユダヤ人などが追放され、対立抗争が始まった。野村氏はこう指摘する。

 「これら地域の歴史に関心を寄せる者は、かつての民族混住地域が、まさしくその混住ゆえに持ちえた文化的創造力の豊かさ、多様性、そのかけがえのなさに感嘆し、なぜ、それが、無惨に失われなければならなかったのかと問う。」

 まったく同感である。なぜいがみ合わなければならないのか、おそらくそれにより何かを得る者がいるのだろう。悲しいかな、そういう輩の扇動にのせられる人がいる。人間社会では、まったくムダなこと、有害なことが大きな力をもつことがある。それを、私たちはなかなか押しとどめることができない。

 

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東京新聞・社説(2/12)

2023-02-14 08:24:27 | 社会

 日曜日の社説である。その内容はとてもよい。

 ただ社説の中に、ある企業の社員食堂のことが記されている。職場における差別と分断である。中日新聞社には、そういうことはないのであろうか。今はどうか知らないが、同じ中日新聞の記事を書く記者には、中日新聞の記者と「中日通信」の記者がいて、そこに差別があることを、以前中日新聞記者から聞いたことがある。それはなくなったのだろうか。

 中日新聞社員の労働組合は、新聞労連には入っていない単独組合である。社員の中には、中日新聞社の少数組合である新聞労連加盟の東京新聞労働組合の組合員がいる。中日新聞労組員が日々書いていることと社内の実態とに齟齬があると感じた人が、東京新聞労働組合に移っている。自分自身を安全なところにおいて、みずからは闘うことなく社会を批判する人はどこにでもいる。要領がいいのである。そういう人は、いつのまにか管理職に「出世」する。私の身近にもいた。しかし、そういう人を私は遠ざけてきた。なぜなら信用できないからだ。

 さて社説を掲げる。内容的にはよい。

 二〇二三年度の公的年金額が決まりました。賃金や物価が上昇したので年金額も増えます。ただ、その額は、年金額の上昇を抑える仕組みが働くため物価上昇分に届かず、実質的には目減りです。
 
 抑えられた給付額は、将来世代の年金財源に充てられます。この仕組みは、〇四年の制度改正で導入が決まりました。
 
 少子高齢化が進み、年金額の伸びを抑えないと現役世代が支払う保険料は際限なく上がります。それを防ぐために、保険料を一定のところまで引き上げて固定し、そこから得られる財源で年金を払う方式への変更です。
 
 この改正では厚生労働省のある官僚の嘆きが忘れられません。
 
 それまでは年金額について、高齢期の生活を支えるためにさまざまな経済指標を集め、突っ込んだ議論をしていたといいます。
 
 しかし、制度の考え方が必要な額でなく、払える額に変わってからは、こんな議論もなくなってしまったそうです。

◆低下する社会の「防貧力」

 日本の社会保障制度は、戦後の混乱期の貧困から救う「救貧」や貧困に陥ることを防ぐ「防貧」を中心に整備されてきました。高齢期の生活を主に支える公的年金は防貧の代表です。
 
 戦後の経済発展とともに年金、医療、介護、雇用、労災などの社会保険を整備して高齢や失業に伴う収入減や、傷病など医療の費用を社会全体で分担する仕組みを防貧力として育ててきました。
 
 しかし、必要な額ではなく、払える額しか払わないのでは、防貧力が土台から崩れかねません。
 
 その最大の要因は少子化に伴う人口減少と経済の停滞です。少子化は社会を支える人材を、経済の停滞は一人一人の支える力をそれぞれ奪います。
 
 国民生活基礎調査によると、二〇年の全世帯の所得中央値は四百四十万円で二十五年前の五百五十万円から二割減り、逆に四百万円未満の世帯数割合は増えています=グラフ。社会を中心で支える中間層が貧しくなっているのです。
 
 もうひとつ、社会保障制度を静かにむしばんでいる要因として「分断」が挙げられます。
 
 社会保障制度は支え合いの営みであり、それなしに制度は成り立ちませんが、制度を揺るがすような人間関係のざらつきが広がっているのです。
 
 企業の人事管理を支援する専門家からこんな話を聞きました。
 
 ある企業の社員食堂では出入り口に近い便利な場所を社員とパート従業員が利用し、奥の薄暗い場所は派遣社員や外部から来ている委託企業の従業員が利用するとの暗黙のルールがあるそうです。
 
 事情を知らない外部従業員が、いつもは社員が使う場所に座ろうものなら、苦情が出そうな空気が支配しているといいます。会話もかわされないことでしょう。そこにあるのは分断です。
 
 以前なら、立場が違っても同じ職場の仲間意識があり、それが安心感にもつながっていました。
 
 しかし、社会のあらゆる場面で個人が分断され、他人には構っていられなくなりました。自分以外を「敵」と見なすこともしばしばです。貧困が分断を拡大させ、コロナ禍で加速しています。
 
 自分の弱みを人に語り、理解し合うことで人はつながります。
 
 でも分断が進むと、同じ社会で生きていながら気持ちの交換が滞ってしまいます。話を聞いてもらいたいのに聞いてもらえないという不安が募り、助け合う気持ちも擦り切れています。
 
 絵本「ぼく モグラ キツネ 馬」(チャーリー・マッケジー著・川村元気訳、飛鳥新社)は、少年が動物たちとの対話を通して生きる意味を考える物語です。
 
 少年が「いままでにあなたがいったなかで、いちばんゆうかんなことばは?」と聞くと、馬は「たすけて」。「いちばん強かったのはいつ?」と聞くと、馬は「弱さをみせることができたとき」と答えます。

◆支え合い再生のために

 支え合いを再生するために、まずはお互いに人の話を聞くことから始めてはどうでしょう。
 
 誰かに自分の弱さを聞いてもらって理解してもらう。そうすれば不安でいっぱいの心に安心が芽生え、ほかの誰かの不安にも耳を傾ける余裕ができるでしょう。
 
 物語の馬が「勇敢な言葉」だと語った「助けて」のひと言が言える、そして聞いてあげられる社会にしたい。だって「困った時はお互いさま」ですから。

 

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暴挙

2023-02-13 12:00:03 | 政治

マイナ保険証なければ「有料で資格確認書」…SNS紛糾「見事な税金の無駄使い」「原理原則がぶっ壊れている」

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ヒドイ国、日本。

2023-02-13 10:34:44 | 政治

 『世界』3月号の、「原発事故12年後の「子どもたち」」を読んだ。吉田千亜さんが書いている。長く原発事故を取材している吉田さんが大学で原発事故について話したあと、学生のレポートを読みその特徴を挙げている。1つは「国やメディアを疑ったことがなかった」という感想、それが半分以上あったことである。これほど国が悪事を働き、それをメディアが忖度して報じているのに、それが学生たちにはわかっていない、ということである。国の悪事はボーッとしていては伝わってこない。『東京新聞』や『週刊金曜日』、『世界』などを読まないとわからない。テレビは言うまでもなく、『読売』、『朝日』などの新聞からは真実は伝わらない。

 こういう学生たちが成長する過程で、学校教員から国の悪事が教えられなかったのだろうか。歴史的に見ても、国は悪事を働く、その例は無数である。歴史を教えるということは、国の悪事を教えることでもある。そういう教員がほとんどいなくなっているということでもあろう。

 もう一つの特徴は、「甲状腺がんの同年代の人たちが苦しんでいることを全く知らなかった」ということであるが、これも大手メディアが伝えないからである。私は長い間若者をたくさん見てきたが、一人として甲状腺ガンとなった者を知らない。しかし福島では、原発事故以後甲状腺ガンになった子どもがたくさんいる。しかし、国、福島県などは原発事故が原因ではないと言い張る。それにお墨付きを与えていた者が国会議員に当選している。なんてことだ。

 原発事故による被害なんかない、というようにしたい国などが多額の税金を投下した「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」なども展開されたという。司法も事故を起こした責任者の責任を免罪する。何という国だ。

 吉田さんはこうも記している。

いま、福島県内外の高校では、経産省や復興庁が「福島の今」や汚染水の海洋放出に関する「出前授業」も行っている。言わば「官製」の原発事故の伝承や教育は、冒頭にふれた2017年よりはるかに進んでいる。

 なんてことだ。原発政策を推進してきた者どもが免罪され、事故がどれほどの被害を生みだしたのかを隠蔽するために、事故の被害実態を消しゴムで消すように、国や県が奔走している。

 真実は伝えられていない。真実を隠蔽する作業は、国や県により積極的に展開されている。「そんなやつらに負けるわけにはいかない」という気持ちで、福島原発事故により起きた様々な「不都合な事実」を私は発信していきたいと思う。吉田さんのように。

 

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保阪氏の岸田評

2023-02-13 08:43:31 | 政治

岸田文雄のように無機質、無感動、無責任な宰相が生まれた理由を歴史から考える

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「二重基準」

2023-02-12 20:11:01 | 国際

 『世界』3月号の岡真理さんの論考はとても考えさせられた。岡真理さんは、パレスチナ問題の専門家である。岡さんの本は、その繊細な神経で通常では気づけないことを指摘してくれる。今回の文章も、である。

 岡さんは、ウクライナ難民とシリア難民を比較する。同じ難民なのに、報道の仕方も世界の扱いも全く異なるという。実際そのその通りだ。ウクライナ難民については、世界からの同情が寄せられ、多くの国で受け入れられ、日本でも厚遇されている。ではシリア難民はどうか。シリアから難民となってヨーロッパにわたるさいも、危険な海を小さな船をつかい、多くの難民が遭難し、やっとヨーロッパに着いても、入国を拒否され、邪魔者扱いされている。

 ここには明確な二重基準が指摘されている。岡さんはこう記す。

非西洋世界の人々が欧米の二重基準を批判するのは、単にそれが差別だからではない。近代西洋世界は「普遍」を僭称しながら、非西洋世界の者たちには自分たちと同じ人間性を認めず、奴隷制や植民地支配を行った。非西洋世界の近現代史とは、「普遍」を掲げて人間の尊厳を蹂躙する西洋のレイシズムと二重基準に抗し、普遍的人権を字義通り真に普遍的なものとする闘いの歴史であり、その闘いは今も続く。だからこそ、かつてと同様に「先進国」として国際社会を領導する欧米諸国の、普遍的理念を裏切るレイシズムや二重基準は、西洋の「植民地主義」の暴力の継続として批判されねばならないのだ。

ロシアの侵略を非難し、侵略の犠牲者であるウクライナの人々の苦難に共感することは、人間として自然な感情のようにも思えるが、普遍的人権や平和の大切さとは関係なく、米国が是とするものを是とし、自らも戦争のできる国づくりを目指す政府の意図に沿うものでもある。だからこそ私たちは、この二重基準を批判し、人間の平等を貫徹させなければならない。

 実際報道も、ウクライナ難民については詳しく報じ、それが途切れることはない。しかしシリア難民など、非欧米で発生する難民については、ほとんど報じられることはない。

 先日『人種主義の歴史』を紹介したが、この難民問題でも、明確に人種主義(レイシズム)が存在している。

 そして岡さんは、パレスチナの状況を記す。イスラエルにより閉鎖され、ときにイスラエル軍の攻撃により庶民が無残にも殺されていく。閉じ込められた狭い空間に大勢の人が住み、しかし働くこともままならず、ただ生きるだけの生活を強いられる。

 岡さんはこう書く。

国際法に照らしてロシアのウクライナ侵攻が非難されるなら、イスラエルも同様に非難されなければならない。そうならないのは「国際社会」の二重基準のせいである。

 イスラエルのパレスチナ侵略は、ほとんどニュースにならない状況がある。

 岡さんは、末尾にこう記している。

ロシアの侵略は非難されねばならない。だが、平和の真の敵はプーチンではない。普遍的人権や国際法の「普遍性」を切り崩す、国際社会の二重基準こそ、私たち世界市民が戦わねばならない敵である。

 岡さんの主張は、鋭く私のこころに突き刺さる。 

 

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この人、自民党入党の資格は十分

2023-02-12 11:59:21 | 政治

 こういう人こそ、統一教会党=自民党が求める人材なのだ。類は友を呼ぶ。

交通費、二重計上か 自民転身の今井瑠々氏 立憲時代の21年

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冤罪

2023-02-12 08:41:54 | 社会

 昨日の『東京新聞』の「こちら特報部」は、袴田事件をとりあげている。

 先日記したテレビドラマ「エルピス」の大きなテーマは冤罪であった。冤罪を冤罪として認識した報道人が、真実を追究するという内容であった。そこには、冤罪を明らかにすることはきわめて難しいことが描かれていた。その大きな原因は、日本の司法では検察がもっとも大きな権力を持っていること、その検察がみずからの間違いを認めたくない、一度認めたことは何が何でも貫くという官僚の宿痾があること、したがって冤罪であることを権力に認めさせることは至難の業であることが指摘されていた。

 その通りである。だからこそ、再審が認められたとき、検察による抗告は認めないという制度ができなければ、検察の横暴をなくすことはできないのである。

 さて袴田事件であるが、いい加減に再審を行い、袴田さんを無罪放免とすべきである。犯行時に来ていたパジャマ、袴田さんが着用することもできない代物で、犯人として袴田さんをでっちあげた静岡県警のバカさ加減がわかるというものだ。静岡県は「冤罪のデパート」といわれるほど冤罪が多い。二俣事件、幸浦事件、島田事件、丸正事件・・

 私は幸浦事件について調べて書いたことがあるが、警察の思い込みに基づく強引な取り調べが存在していた。それは冤罪事件に共通することである。長時間の取り調べにより被疑者を「自白」に追い込むというのが、警察の捜査手法であった。

 調査したとき、残念なことに、無実が明らかにされたのに、地域ではいまだに犯人視することがあった。『週刊金曜日』最新号に、免田事件の記事があるが、無実が明らかにされたあと、免田さんは故郷の人吉市には帰らなかった。無実が明らかになっても、犯人視がなくならないからである。

 冤罪はあってはならない。袴田事件、再審をおこない、袴田さんを完全に解放すべきである。

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2023-02-11 21:32:50 | 政治

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