「フィリップ・ペロ展」 小山登美夫ギャラリー 12/8

小山登美夫ギャラリー(江東区清澄)
「フィリップ・ペロ展」
11/22~12/17

以前、拙ブログでも紹介した「フランス現代美術週間」の展覧会です。会場は、清澄庭園から隅田川方面へ歩いた工場地帯の中にある「小山登美夫ギャラリー」。倉庫風の大きなビル内に、最近、いくつものギャラリーが集団でオープンしたという話題の場所です。一度出向いてみたいと思っていたので、先日まとめてのぞいてきました。

弱々しく、またヨレヨレしたタッチにて描かれたデッサン。対象はどれも人間の営みです。どこか生活感が漂っていながらも、道化のような不可思議な行動をとっている者もいる。デフォルメされた体に手に顔。露骨に性器を思わせる形があったり、乳房から乳のようなものが滴り落ちていたりする様が見て取れます。幾分、エロティズム的。それにしても、この「ヘタウマ」のような絵。定まらない、モノが解体しそうな線。あまりにも奇妙です。

ただ、奇妙と言いつつも、描かれている人間の姿は、どこか寓話的なイメージを持っているので、不思議な取っ付き易さと温かみが伝わります。その辺が魅力なのでしょうか。神話を題材にしたような物語なのか、はたまた何かの幻想世界なのか。危うい画面の構成は、夢の儚さをも連想させます。

展示作品の殆どは、あまり色のないものばかりだったのですが、会場内の図録等を見ると、鮮やかなカラーの作品も多く制作しているようです。カラー作品は一点だけ展示されていましたが、出来ればそちらをもう少し見たいと思いました。

*ところで、このギャラリーの入っているビルですが、初めにも触れた通り、外見は全くの倉庫(下層階は今もそのように使用されています。)なので、中のアートな空間とのギャップにまず驚かされます。地図を片手に、江東区の工場地帯をさまようことしばらく、ようやく見つけた大きな倉庫。「本当にここがギャラリーなのか?」と思っておそるおそる中へ入ってみると、突然、半ば場違いな「ギャラリー案内所」があり、ちゃんとご親切な受付の方までいらっしゃる。「案内所」のあるギャラリーなど、なかなかないでしょう。ちなみに、その先にあるギャラリーへのエレベーターがクセものでした。(ギャラリーは全てビルの上層階にあります。)ブーブーとひたすらブザーが鳴り続けないためにも、皆さん、「閉」ボタンをちゃんと押しましょう。
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