「牛島達治展」 APS 12/22

a piece of space APS(中央区銀座)
「APS 企画展シリーズ a piece of work #6 牛島達治展」
12/7~12/24(会期終了)

銀座の裏路地に建つ古いビル内にある、僅か10平米ほどのアート・スペース、「A
PS」。その極小の空間にて展開されているのは、「a piece of work」と名付けられた、作品一点展示のみの企画展シリーズです。第6回目の今回は、先月に開催されていた横浜の「BankART life」にて、一際ただならぬ気配を見せていた牛島達治氏の個展でした。

横浜の展覧会では、古い倉庫の巨大な空間(110坪)を大胆に使って、壮大なインスタレーションを見せてくれましたが、今回はそれとは打って変わって、4人も入れば満員になってしまうほどの狭い苦しい空間にて作品が展開されています。お馴染みの「装置」。ただし今回は非常にミクロなものですが、それでまた楽しませてくれました。

狭い部屋の中央に置かれた、高さ1メートルほどの回転盤の付きの機械。透明な二層の板の回転盤の中には、親指の先ほどのサイズの、とても小さな粘土が挟まれます。そしてスイッチ・オン!。「ウィンウィン、ウィーン、ウィ…。」と、まるで音楽を演奏するかのように音をたてて、左へ右へ、さらにはまた左へと、実に忙しそうにクルクルと回転し続けます。そして、次第にそのスピードがどんどん早くなり、音もさらにテンポアップしていって、「これはどうなるのか!」と思わせた瞬間、突然回転盤がストップし、それと同時に粘土がポロッと床へ落ちる。この間、僅か2~3分。たったこれだけ(?)の仕掛けです。

小さくて、とても単純な仕掛けながらも、思わぬほど小気味良く回転し、またリズミカルに音を奏でる機械は、どこか可愛気です。前の横浜での展覧会で見せた作品の圧倒感を、全く逆転させたような、ある意味で滑稽な面白さでしょうか。床には、これまでの回転によって落ちた粘土の骸が、たくさんそのままの姿で残っていました。粘土は人間の手によって機械へ入れられるので、その点は、前回のオートメーション的な作品とは趣向が異なります。小さな空間を逆手に取った、なかなかコミカルな作品でした。
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「life/art part1 今村源」 資生堂ギャラリー 12/22

資生堂ギャラリー(中央区銀座)
「life/art'05 part1 今村源」
12/8~25(会期終了)

今年で最後を迎えるという、資生堂ギャラリーの企画展シリーズ「life/art」。今月から5名のアーティストによる「リレー個展」が始まりました。その第一番目は、今村源氏の個展です。

「日用品に手を加え、彫刻と置物の間に位置する」(HPより。)造形を追求するという、今村源のインスタレーション「受動性 2005-12」。まさに「life/art」の理念である、「従来の美術でも工芸でもないジャンル」(HPより。)に合致するのでしょうか。真っ白く、また細いアルミパイプが、細胞増殖とも、シャボン玉状の泡の広がりとも、はたまた原子模型とも、毛細血管の広がりともとれるような形を見せて、会場中を覆い尽くします。所々にあるのは、これまた真っ白な一輪の造花や、色のついたシダの葉などです。無数のパイプを跨いだり潜っていると、まるでここが、鬱蒼とした熱帯のジャングルのような気さえしてきます。

泡状のオブジェは、一面が4角形から6角形によって作られ、それがすべてキューブ状に連なっています。天井まで高く持ち上げられたり、地面に這うように置かれていたりと、見る側は常に、足元や頭上に注意を払わなくてはいけません。

アルミパイプの自体によるものなのか、それともそこへ塗られた白い塗料によるものなのか、張り巡らされたパイプの質感はどこか不気味です。あまり居心地は良くありません。知らない間に泡の化け物に食べられてしまう…。そんな妙な恐怖感すら覚えました。

資生堂ギャラリーでは、3月26日までに、前述の通り、5名の作家の個展を連続的に開催するようです。これはしばらく追っかけてみようかと思いました。

part2はこちらへ。
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