ジャン・フルネさん、ありがとう!

「都響定期 フルネ引退コンサート」(ぶらあぼ国内ニュース)

残念ながら私は立ち会うことが出来なかったのですが、先日、都響名誉指揮者であるジャン・フルネ氏の引退コンサートが開催されました。既にネット上では、実際にお聴きになられた方の感想が多く掲載されていますが、私も、僭越ながら、まずは心からお疲れさまでしたと申し上げたいです。フルネさん、ありがとうございました。

フルネは言うまでもなく、戦後日本のクラシック演奏史に大きな影響を及ぼした指揮者の一人です。彼自身の初来日は、1958年の、伝説的コンサートとして語られることもある「ペレアスとメレザンド」の日本初演。その後もN響初登場(63年)や、日本で最も関係の深いオーケストラとなった都響と共演(78年以降)を通して、すこぶる実直で控えめな「フルネサウンド」をたくさん楽しませてくれました。コンサートキャリアの浅い私にとっては、最近の都響を振ったコンサートだけにしかフルネに接することがなかったのですが、彼のタクトにかかると、何かと豪胆な都響の響きが、いつも柔らかくて繊細になるのに驚かされ、また、腰の軽いとも言える、独特のフワッとした心地良いリズム感がたまらなく魅力的でした。

数少ない私のフルネコンサートの中で最も印象に残ったのは、2002年4月の都響定期公演です。曲は、ラヴェルの「道化師の朝の歌」やワーグナーの「ジークフリート牧歌」、それにルーセルの交響曲第3番だったのですが、特に最後のルーセルで聴かせた明朗で柔らかい響きは、都響の他の演奏では聴いたことがないほど美しく、大変に感銘させられました。デリケートなピアニッシモへの配慮。あれほど心地良く、楽しみながら聴けたコンサートもなかなかありません。

1913年生まれのフルネ。年齢のことはあまり申し上げたくありませんが、ともかくもゆっくりとご休養なさり、いつまでも元気でいらして欲しいです。
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