都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「大琳派展」 東京国立博物館 Vol.3(展示替え情報)
東京国立博物館(台東区上野公園13-9)
「大琳派展 - 継承と変奏 - 」
10/7-11/16
Vol.1(速報・会場写真)、Vol.2(内覧会レクチャー)に続きます。東京国立博物館での大琳派展です。既に公式HPでも出品リストが記載されていますが、今展覧会の会期は、各1週間ごと、計6回に分かれています。さすがにその全てを追うのは難しいかと思いますので、本エントリでは特に注目したい展示替え作品をいくつか抜き出してみました。
【主要屏風(襖)三変奏】
風神雷神図に始まる勇壮華美な屏風は、琳派の絵師の最も得意とするところです。中でも著名な以下3点の屏風は必見と言えるでしょう。
「風神雷神図屏風(襖)」4点揃い(10/28~)
かつての出光美術館による「風神雷神図」展や、対決展での会期最終週の熱気でも明らかなように、誰もが知る「風神雷神図屏風」は大変な人気があります。今回は宗達、光琳、抱一、そして其一の襖と、全4点の風神雷神が『対決』する予定です。既に光琳と其一の作品は展示されていますが、全部を見るには一番後に出る宗達作を待つしかありません。
「槙楓図屏風」2点揃い(~10/19)
現在、宗達と光琳の「槙楓図屏風」がともに展示されています。二者の絵師の特徴を比べるに最適な一枚になりそうです。
「波図屏風」2点揃い(10/28~)
メトロポリンタンより里帰りした光琳の「波図屏風」と、国内にありながら意外とお目にかかれない抱一の「波図屏風」が同時に展示されます。私としては本展示で一番注目したい屏風対決です。
【国宝を楽しむ】
琳派で国宝指定を受けている作品は決して多くありませんが、さすがに歴史的な琳派展だけあって、数点ほど出品されています。
尾形光琳「燕子花図屏風」(~10/19)
誰もが知る門外不出(根津美術館蔵)の至宝、「燕子花図屏風」が満を持して登場します。会期前半、約2週間しか公開されません。こちらはお早めにどうぞ。
俵屋宗達「蓮池水禽図」(~10/26)
京博ではお馴染みの「蓮池水禽図」が東京にお出ましです。東博で展示されるのはかなり久しぶりのことではないでしょうか。
俵屋宗達「平家納経」(巻き替えあり)
今回の目玉の一つでもある、広島は厳島神社所蔵の「平家納経」全3巻がお披露目中です。基本的に全会期を通して展示されていますが、2週間毎に場面毎の巻き替えがあります。要所を楽しむには足しげく通う他なさそうです。
【江戸琳派を極める】
今回の展示の主役を飾りそうな『江戸琳派』の展示替え主要作品です。いくつかピックアップしてみました。
酒井抱一「遊女立姿図」(~11/3)
今回、比較的珍しい抱一の美人浮世絵が3点出ていますが、中でも色鮮やかで気品を感じさせるものはこれでしょう。是非見ておきたいものです。
酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」(10/21~)
また十二ヶ月花鳥図かと思ってはいけません。現在、全4類(揃いで)確認されている十二ヶ月花鳥図のうち、国内でこのファインバーク・コレクション本が一挙展観されるのは極めて珍しいことです。(本邦初公開の可能性あり。)
鈴木其一「夏秋渓流図屏風」(11/5~)
其一らしさが良く出た六曲一双の大作屏風が久々に登場します。会期後半、2週間のみの限定公開です。
鈴木其一「蔬菜群虫図」(10/28~)
まるで若冲の「池辺群虫図」思わせるような作品です。其一の技が光ります。
【その他・注目作など】
上記以外の作品で展示替えのある注目作を挙げてみました。
・宗達、光悦「四季草花下絵古今集和歌巻(畠山記念館・重文)」(~10/19)
後に頻出する琳派モチーフの登場する始祖的作品と言えるかもしれません。
・光悦「樵夫蒔絵硯箱(MOA美術館・重文)/芦舟蒔絵硯箱(東博・重文)」(~10/26)/「竹蒔絵硯箱(MOA美術館)」(10/28~)
光悦の硯箱は計5点。展示替えは一度です。
・伝宗達「四季草花図屏風(根津美術館蔵)」(~10/19)/「草花図屏風(大和文華館)」 (10/21~)
宗達の草花図屏風対決。
・宗達「牛図(頂妙寺・重文)」(10/28~)
今回、宗達の水墨画が数点出ます。どれも見ておきたい作品です。
・光琳「中村内蔵助像(大和文華館・重文)」(10/28~)
曰く付きの怪しげな人物像です。
・光琳「竹に虎図(京博)」(~11/3)/「竹梅図屏風(東博・重文)」(11/5~)
光琳竹比べ。ユーモラスな虎に和みたいところです。
あくまでも私観ですが、後半の方が「風神雷神図」対決を含め、より見応えのある展示になるのではないでしょうか。とはいえ光琳の「燕子花図屏風」など、会期の早々に展示を終えてしまうものも少なくありません。結局、数度、上野へ足を運ぶしかなさそうです。
*大琳派展シリーズ
Vol.12(鈴木其一+まとめ)
Vol.11(酒井抱一)
Vol.10(光琳、乾山)
Vol.9(宗達、光悦)
Vol.8(光琳、抱一、波対決)
Vol.7(風神雷神図そろい踏み)
Vol.6(中期展示情報)
Vol.5(平常展「琳派ミニ特集」)
Vol.4(おすすめ作品など)
Vol.2(内覧会レクチャー)
Vol.1(速報・会場写真)
*関連エントリ
大琳派展@東博、続報その2(展示品リスト公開。)+BRUTUS最新刊「琳派って誰?」
大琳派展@東博、続報(関連講演会、書籍など。)
大琳派展(東博)、公式サイトオープン
「大琳派展 - 継承と変奏 - 」
10/7-11/16
Vol.1(速報・会場写真)、Vol.2(内覧会レクチャー)に続きます。東京国立博物館での大琳派展です。既に公式HPでも出品リストが記載されていますが、今展覧会の会期は、各1週間ごと、計6回に分かれています。さすがにその全てを追うのは難しいかと思いますので、本エントリでは特に注目したい展示替え作品をいくつか抜き出してみました。
【主要屏風(襖)三変奏】
風神雷神図に始まる勇壮華美な屏風は、琳派の絵師の最も得意とするところです。中でも著名な以下3点の屏風は必見と言えるでしょう。
「風神雷神図屏風(襖)」4点揃い(10/28~)
かつての出光美術館による「風神雷神図」展や、対決展での会期最終週の熱気でも明らかなように、誰もが知る「風神雷神図屏風」は大変な人気があります。今回は宗達、光琳、抱一、そして其一の襖と、全4点の風神雷神が『対決』する予定です。既に光琳と其一の作品は展示されていますが、全部を見るには一番後に出る宗達作を待つしかありません。
「槙楓図屏風」2点揃い(~10/19)
現在、宗達と光琳の「槙楓図屏風」がともに展示されています。二者の絵師の特徴を比べるに最適な一枚になりそうです。
「波図屏風」2点揃い(10/28~)
メトロポリンタンより里帰りした光琳の「波図屏風」と、国内にありながら意外とお目にかかれない抱一の「波図屏風」が同時に展示されます。私としては本展示で一番注目したい屏風対決です。
【国宝を楽しむ】
琳派で国宝指定を受けている作品は決して多くありませんが、さすがに歴史的な琳派展だけあって、数点ほど出品されています。
尾形光琳「燕子花図屏風」(~10/19)
誰もが知る門外不出(根津美術館蔵)の至宝、「燕子花図屏風」が満を持して登場します。会期前半、約2週間しか公開されません。こちらはお早めにどうぞ。
俵屋宗達「蓮池水禽図」(~10/26)
京博ではお馴染みの「蓮池水禽図」が東京にお出ましです。東博で展示されるのはかなり久しぶりのことではないでしょうか。
俵屋宗達「平家納経」(巻き替えあり)
今回の目玉の一つでもある、広島は厳島神社所蔵の「平家納経」全3巻がお披露目中です。基本的に全会期を通して展示されていますが、2週間毎に場面毎の巻き替えがあります。要所を楽しむには足しげく通う他なさそうです。
【江戸琳派を極める】
今回の展示の主役を飾りそうな『江戸琳派』の展示替え主要作品です。いくつかピックアップしてみました。
酒井抱一「遊女立姿図」(~11/3)
今回、比較的珍しい抱一の美人浮世絵が3点出ていますが、中でも色鮮やかで気品を感じさせるものはこれでしょう。是非見ておきたいものです。
酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」(10/21~)
また十二ヶ月花鳥図かと思ってはいけません。現在、全4類(揃いで)確認されている十二ヶ月花鳥図のうち、国内でこのファインバーク・コレクション本が一挙展観されるのは極めて珍しいことです。(本邦初公開の可能性あり。)
鈴木其一「夏秋渓流図屏風」(11/5~)
其一らしさが良く出た六曲一双の大作屏風が久々に登場します。会期後半、2週間のみの限定公開です。
鈴木其一「蔬菜群虫図」(10/28~)
まるで若冲の「池辺群虫図」思わせるような作品です。其一の技が光ります。
【その他・注目作など】
上記以外の作品で展示替えのある注目作を挙げてみました。
・宗達、光悦「四季草花下絵古今集和歌巻(畠山記念館・重文)」(~10/19)
後に頻出する琳派モチーフの登場する始祖的作品と言えるかもしれません。
・光悦「樵夫蒔絵硯箱(MOA美術館・重文)/芦舟蒔絵硯箱(東博・重文)」(~10/26)/「竹蒔絵硯箱(MOA美術館)」(10/28~)
光悦の硯箱は計5点。展示替えは一度です。
・伝宗達「四季草花図屏風(根津美術館蔵)」(~10/19)/「草花図屏風(大和文華館)」 (10/21~)
宗達の草花図屏風対決。
・宗達「牛図(頂妙寺・重文)」(10/28~)
今回、宗達の水墨画が数点出ます。どれも見ておきたい作品です。
・光琳「中村内蔵助像(大和文華館・重文)」(10/28~)
曰く付きの怪しげな人物像です。
・光琳「竹に虎図(京博)」(~11/3)/「竹梅図屏風(東博・重文)」(11/5~)
光琳竹比べ。ユーモラスな虎に和みたいところです。
あくまでも私観ですが、後半の方が「風神雷神図」対決を含め、より見応えのある展示になるのではないでしょうか。とはいえ光琳の「燕子花図屏風」など、会期の早々に展示を終えてしまうものも少なくありません。結局、数度、上野へ足を運ぶしかなさそうです。
*大琳派展シリーズ
Vol.12(鈴木其一+まとめ)
Vol.11(酒井抱一)
Vol.10(光琳、乾山)
Vol.9(宗達、光悦)
Vol.8(光琳、抱一、波対決)
Vol.7(風神雷神図そろい踏み)
Vol.6(中期展示情報)
Vol.5(平常展「琳派ミニ特集」)
Vol.4(おすすめ作品など)
Vol.2(内覧会レクチャー)
Vol.1(速報・会場写真)
*関連エントリ
大琳派展@東博、続報その2(展示品リスト公開。)+BRUTUS最新刊「琳派って誰?」
大琳派展@東博、続報(関連講演会、書籍など。)
大琳派展(東博)、公式サイトオープン
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