「液晶絵画 STILL/MOTION」 東京都写真美術館

東京都写真美術館目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
「液晶絵画 STILL/MOTION」
8/23-10/13(会期終了)



「トレース・エレメンツ」を見た後に恵比寿へ移動しました。先日まで、東京都写真美術館にて開催されていた「液晶絵画」展です。

ともかくちらし表紙の『真珠の耳飾りの少女』が圧巻です。これは言うまでもなく、森村が何かに変身して見せるお馴染みのシリーズの一環ですが、今回はこの少女がどのようなシチュエーションにあったのか、そしてそれがどう変化して絵画になったのかということを、いつもながらの『解釈』で鮮やかに映像化しています。森村が少女になってフレームにピタリと収まった瞬間、思わず笑ってしまいそうになったのは私だけでしょうか。様々な人物へ取り憑く森村の制作は、もはや求道的ですらあると言えるでしょう。ここまでまで突き詰められると感心する他ありません。



鷹野隆大の「電動ぱらぱら2002/2008」も、同じくニヤリとさせられる作品の一つです。上下に分割された画面には、男女を問わず、上半身、また下半身ともヌードになっていく様がランダムに次から次とへ映し出されています。ジェンダー云々など、社会性の強い作品のようにも思えますが、向かって一番右上のスクリーンに自分の顔が映り込むのには素直に参ってしまいました。私のヌードまでが半ばさらされているわけです。もはや身体は完全にパーツのみにまで解体していました。



絵画ではさっぱりの千住博がなかなか見事です。例のドギツク不可解なカラーリングは完全に影を潜め、水墨の世界を思わせるような静けさに満ちた山水の光景が、至極淡々と屏風仕立てのスクリーンで映されていきます。動きが加わることで、彼の絵画にはない叙情性が加わりました。しばし見入って、その水の音に耳を澄ましながら、靄に体を委ねてみたくなるような作品です。これならインテリアとしても最適ではないでしょうか。



私の勝手な期待が高すぎたのか、全体としては今ひとつのようにも思えましたが、もう少し広いスペースならまた違った印象も受けたかもしれません。会場がかなり窮屈でした。

展示は既に終了しています。
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