「近代日本の巨匠たち」 出光美術館

出光美術館千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階)
「出光コレクションによる近代日本の巨匠たち」
9/6-10/26(会期終了)



気軽に楽しめる名品展でした。館蔵の日本画、洋画、陶器、工芸など、約100点を総覧します。「近代日本の巨匠たち」へ行ってきました。

芳年から鉄斎、松園に繁二郎、それに波山、憲吉、または佐伯祐三から仙がいまでが一堂に会するという、何とも大らかに構成された優品展です。いつも出光へ行くと、その練られた企画を『理解』するためのメモをとりがちですが、今回ほど肩の力を抜いて、半ばぼんやりと絵画や工芸の品々を眺めたのも久しぶりでした。こういうのも悪くありません。

さながら美人四変化ならぬ、四幅の軸にて四季折々の女性を描いた松園の「春夏秋冬」が実に流麗です。浮世絵風の美人像でありながらも、やはり松園らしい凛とした、媚びた様をとらない女性たちが、例えば雪道を静々と進むような姿をとって描かれています。松園ファンにはたまらない一作でした。

鉄斎というと、水墨の激しいタッチにこそ持ち味がありますが、まるで印象派絵画のような「杏華村暁図」もなかなか見事な作品です。お馴染みの墨線にて野山を象るのはいつもの鉄斎流ですが、所々に淡い色彩が滲み、ゆらめく柳の枝や雅やかな杏の樹などが、牧歌的な味わいにて表されています。東屋の酒宴の賑わいもまた愉快でした。

富本憲吉の「白磁箱」の白には目を奪われます。全く他と混じることのない敢然とした白が、大きな面を伸びやかにとった箱から美しく放たれています。また今回の展示では彼の他、ミルク色でお馴染みの板谷波山の陶器も多く紹介されていました。あえて今回の主役を設定するのであれば、この憲吉と波山にあるかもしれません。

展示は本日にて終了しています。
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