「海老原靖 - Flow」 WADA FINE ARTS

WADA FINE ARTS中央区築地3-2-5 第2平和田ビル)
「海老原靖 - Flow」
10/1-25



海老原のペインティングは一度、上野駅のBreakで拝見したことがありますが、その時とは全く異なった作風が展開されていて驚きました。1976年生まれのアーティスト、海老原靖の新作個展へ行ってきました。

やはりまず見るべきは、展示室の壁一面に描かれた大作の一枚(上記DM画像)でしょう。髪を大きく振り乱し、時に妖艶に絡み合わせた上半身裸の女性たちが、あたかも水面にたゆたう様を上から覗いて描いたかのような構図にて捉えられています。透き通るかのような白が画面全体を穏やかに包み込み、そこへ髪の毛のグレーと、うっすらと色身を帯びた頬の紅だけが、あくまでも控えめに主張していました。半開きになった虚ろな瞳はどこを眺めているのでしょうか。全身の力を抜き、まさに水の流れに任せるかのようにただ漂う様は、事物の存在感の限りなく希薄な幻影と言えるかもしれません。焦点は定まりません。

そのような彼女たちと対になるのは、大小いくつかに描かれた男性のヌードでした。性のモチーフも露骨に、何やら狡猾そうにして立つ彼らは、どこかプリミティブな力感さえ漲っているように思えます。両者の関係に立ち入って、その間を割って入るように楽しみたいところです。

次の土曜日、25日までの開催です。
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