都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「正木美術館 開館四十周年記念展 禅・花・茶」 東京美術倶楽部
東京美術倶楽部(港区新橋6-19-15)
「正木美術館 開館四十周年記念展 禅・花・茶」
9/23-10/12(会期終了)

終わってしまった展示なので手短にいきます。大阪は泉北郡忠岡町に位置する、正木美術館所蔵の東洋古美術品を展観します。東京美術倶楽部での「禅・花・茶」へ行ってきました。

押しの強い解説にやや興ざめしてしまったのも事実ですが、それでも鎌倉より室町に至るまでの水墨画や宋の茶器など、美術館創設者の正木孝之氏が僅か一代で築いたとは思えないほどのコレクションはさすがに壮観でした。雪舟の「山水図」における、無駄のない構図と澱みないパースペクティブは、今回の展示の演出とは打って変わっての素朴でかつ、また静かな魅力をたたえた正木コレクションの美意識を知るのに最適な作品と言えるかもしれません。また天目好きには南宋期のそれが一つ出ていたのも嬉しいところでした。天目台の蒔絵風の文様が実に艶やかです。青貝の松竹梅がきらきらと瞬いていました。
お茶関連では対決展の再現ならぬ、長次郎の黒楽と光悦の赤茶碗の並列展示が見応え十分です。瑞々しく、また躍動感のある光悦の赤と、やや類型的されすぎた嫌いはありながらも、その枯れた面持ちに達観を思う長次郎の黒と、甲乙付け難い魅力が感じられました。またその他では、伝等伯の「千利休図」も見事な逸品です。同じく対決展の文脈に準えれば、かの永徳より信長像を思わせるような、モデルの真に迫った肖像でした。キリリと引き締まった口元に、緊張感を是とする侘茶の一片を見るような思いがします。

須田悦弘の一角はさすがに完成されていました。足利義政の築いた空間をイメージしながら、ひっそりとけなげに咲く草花を見ることには、時空を超えた神秘の世界を覗き見ているような気持ちにさせられます。
いつかは泉北の地で正木コレクションを拝見してみたいものです。展覧会は既に終了しています。
「正木美術館 開館四十周年記念展 禅・花・茶」
9/23-10/12(会期終了)

終わってしまった展示なので手短にいきます。大阪は泉北郡忠岡町に位置する、正木美術館所蔵の東洋古美術品を展観します。東京美術倶楽部での「禅・花・茶」へ行ってきました。

押しの強い解説にやや興ざめしてしまったのも事実ですが、それでも鎌倉より室町に至るまでの水墨画や宋の茶器など、美術館創設者の正木孝之氏が僅か一代で築いたとは思えないほどのコレクションはさすがに壮観でした。雪舟の「山水図」における、無駄のない構図と澱みないパースペクティブは、今回の展示の演出とは打って変わっての素朴でかつ、また静かな魅力をたたえた正木コレクションの美意識を知るのに最適な作品と言えるかもしれません。また天目好きには南宋期のそれが一つ出ていたのも嬉しいところでした。天目台の蒔絵風の文様が実に艶やかです。青貝の松竹梅がきらきらと瞬いていました。
お茶関連では対決展の再現ならぬ、長次郎の黒楽と光悦の赤茶碗の並列展示が見応え十分です。瑞々しく、また躍動感のある光悦の赤と、やや類型的されすぎた嫌いはありながらも、その枯れた面持ちに達観を思う長次郎の黒と、甲乙付け難い魅力が感じられました。またその他では、伝等伯の「千利休図」も見事な逸品です。同じく対決展の文脈に準えれば、かの永徳より信長像を思わせるような、モデルの真に迫った肖像でした。キリリと引き締まった口元に、緊張感を是とする侘茶の一片を見るような思いがします。

須田悦弘の一角はさすがに完成されていました。足利義政の築いた空間をイメージしながら、ひっそりとけなげに咲く草花を見ることには、時空を超えた神秘の世界を覗き見ているような気持ちにさせられます。
いつかは泉北の地で正木コレクションを拝見してみたいものです。展覧会は既に終了しています。
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