N響定期 「ストラヴィンスキー:春の祭典」他 ビシュコフ

NHK交響楽団 第1667回定期公演 Aプログラム2日目

ショスタコーヴィチ 交響曲第1番 作品10
ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」

管弦楽 NHK交響楽団
指揮 セミョーン・ビシュコフ

2010/2/6 15:00~ NHKホール

ケルンWDR交響楽団の首席指揮者を務めるビシュコフがN響に初共演しました。N響定期を聴いてきました。

ショスタコーヴィチでは第4番の他、7、8、10番などの録音もあるというビシュコフですが、どちらかと言うとその混みいったオーケストレーションのテクスチャを巧みに表現するとするよりも、もっとザックリと全体を大まかに切り取って提示するような演奏だったかもしれません。各主題を一つずつ丁寧になぞることで、音楽の流れを分かりやすく聴かせていましたが、例えばショスタコーヴィチらしい暗鬱さや諧謔性を示すような箇所では、いささか突っ込みが物足りなく感じたのも事実でした。ただその点、叙情的にも流れる第三楽章の息の長いフレーズなどは素直に美しく響いていたかもしれません。所々聴こえる細かな『ため』と『うねり』は、この指揮者のマーラーへの適性に期待を持たせるものとなっていました。Cプロの5番はむしろ興味深い演奏となりそうです。

春の祭典は、その内に秘められた荒々しいリズムを抉りとるような野性的な部分は影を潜めた、半ば都会的でシンフォニックな、しかし逆に言えばやや安全運転気味な演奏に終始していたように感じられました。しかしながら縦の線を意識し、オーケストラの四隅をしっかりと揃え、また各パートの音を無理せずにストレートに積み上げた響きは、確かにこの音楽の持つ「洗練された内部構造」を提示することに繋がっていたのではないでしょうか。初共演ということもあってか、やや硬めなオーケストラの表情も、むしろこのアプローチであるならうまくマッチしていたとは思いました。

The Rite of Spring (1/4) - Dutoit

こちらは同じN響、デュトワによる「春の祭典」

終演後は退団される団員の方へのあたたかい拍手が長時間にわたって送られていました。この日の主役はおそらくは彼らであったに違いありません。

出来れば今週末のCプロも聴きたいと思います。
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