「やなぎみわ - Lullaby」 RAT HOLE GALLERY

RAT HOLE GALLERY港区南青山5-5-3 B1F)
「やなぎみわ - Lullaby」
1/29-3/21



やなぎみわからこれほど強い「演劇性」(画廊HPより引用)を感じたのは初めてでした。RAT HOLE GALLERYで開催中の新作インスタレーション個展を見てきました。

今回の作品はお馴染みの老女と少女の登場する物語でしたが、彼女らが起こす格闘は、その間にあるべきはずの一種の秩序、そして価値を崩壊させてしまいます。場の歪んだ小さな家の中で、少女は老婆を膝枕にして優しく寝かせているかと思いきや、突如、老婆は少女へ襲いかかり、炎の燃え盛る暖炉へとその頭を突っ込ませようとして暴れ出しました。その後は言わば逆転に次ぐ逆転です。いつしか関係は一見正常に戻っていきますが、二人の間の不穏な空気は終始漂い、見せかけの平和だけがその奇妙な家の中で居心地悪く存在していました。親子の葛藤、そして老いはもちろん、例えば介護など、家族を取り巻く身近な問題にも引き寄せて考えることが出来る作品と言えるかもしれません。

写真4点、映像1点の小規模な内容ですが、大掛かりなインスタレーションなど内容の前には意味をなさないことを改めて感じさせられました。メッセージは明快なようで深みがあります。

なお受付ではやなぎみわを編集長に迎えて話題となったビッグイシュー第135号「社会とアート」)が販売されていました。

3月21日までの開催です。おすすめします。
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