「宮島達男 その人と思想」 BLD GALLERY

BLD GALLERY中央区銀座2丁目4番9号 SPP銀座ビル8F)
「宮島達男 その人と思想」 
2/4-4/11



デジタルカウンターに至る『前史』を概観します。BLD GALLERYで開催中の「宮島達男 その人と思想」展へ行ってきました。

ともかく宮島といえばあのデジタルカウンターが有名ですが、今回の展示ではそれ以前、つまりはカウンターを作るに至るまでの初期作が写真などで紹介されています。と言うわけで当然ながら、カウンターの作品は殆どありません。タイトルに明記されているとは言え、私のように「宮島=カウンター」という意識で出かけると、半ば肩透かしを食らうのも事実です。この点は注意が必要でした。

しかしながらこの展覧会は、カウンター以外の宮島作品がある点にこそ重要な意義があります。彼は今のカウンターを作り出す以前、芸大時代には榎倉に師事し、特にパフォーマンスアートに取り組んで作品を発表していました。学祭で校舎建物同士をロープで繋ぐプロジェクトや、自然の中で大声を発してそれを記録するパフォーマンスなどは、おおよそカウンターの宮島からは想像もつかないのではないでしょうか。イブクラインに心酔し、裸のモデルに顔料を塗って人間拓本を作った「形態採集」(1980)など、その意外な展開には終始驚かされるものがありました。まさに知られざる宮島の世界と言えるかもしれません。

初めてLEDを用いたのは1983年のこと、コンクリートの塊にLEDを埋め込んだ「Human Stone」に遡ります。次いで87年には「30万年の時計」を発表し、今の彼の作品のコンセプトの一つ、「それは永遠に続く。」を確立させました。一過性のパフォーマンスから一転、永遠なるものへ関心を向けたその変化の過程もまた展示の大きなポイントとなりそうです。

「宮島達男 解体新書/宮島達男/Akio Nagasawa Publishing」

なお会場ではこれまでの活動を記録した著作、「宮島達男・解体新書 すべては人間の存在のために」も発売されていました。

彼の思想面云々にはなかなか入り込めませんが、ダイジェスト的に作家を振り返るのには良い企画でした。そういえば昔、私がMOTの常設で一番好きだったのは彼のカウンター作品だったことを思い出します。

4月11日までの開催です。
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