都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「クリストとジャンヌ=クロード展」 21_21 DESIGN SIGHT
21_21 DESIGN SIGHT(港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内)
「クリストとジャンヌ=クロード展」
2/13-4/6

21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「クリストとジャンヌ=クロード展」へ行ってきました。
まずは本展の概要です。
・ベルリンの旧帝国議会議事堂を布で包み、またセントラルパークにゲートを連ねるなどのプロジェクトで知られるクリストとジャンヌ=クロード夫妻の成果を、パネルや写真、ドローイングなどで紹介する。
・紹介映像はモニターの一点と少ないが、関連するドキュメンタリー映画を大型スクリーンで上映。曜日毎に作品が変わるのでスケジュールを参照のこと。
どちらかと言うと展示は入門的なものが多く、クリストに詳しい方には物足りないかもしれませんが、彼を『包む作家』という程度でしか認識のない私にとって、その全貌を分かりやすく知ることの出来る良い展覧会でした。今回は以下、その初めて見知った部分を、簡単な箇条書きで記録したいと思います。

・本を包む。
クリスト作品というとスケールの大きなランドアートを連想しますが、当初は本などの小さなものを包んでいたこともあったそうです。包む対象を本から一気に建物へと発展させたそのアイデアの変遷に興味がわきました。

・完成プロジェクトよりも未完プロジェクトの方が多い。
完成したプロジェクトは約25件である一方、未完のプロジェクトは計45以上にも及んでいます。場所の交渉などが難航して進行出来なかったものがある中で、実現にまで限りなく近づきながら、クリスト自身が興味を失ってやめてしまったプロジェクトがあるのには驚かされました。(バルセロナのプロジェクト。)
・1970年の東京ビエンナーレで東京都美術館の床面を布で覆った。
このプロジェクトも条件面で問題があり、当初考えられていた構想とは異なった内容で実現していたそうです。またその後も台場の公園と人工島を布で結ぶプロジェクトや直島でのプロジェクトの構想もありましたが、結局実現には至っていません。

・「梱包のアーティストと呼ばないで下さい。」
解説パネルにあった言葉ですが、実はクリストは1970年代以降、例えば建物を包まない、ようは布を自立させた作品を手がけることが多くなっているそうです。包む作家とだけ捉えるのはいささか誤解がありました。
・2週間限定のプロジェクト。
言うまでもなくクリストのプロジェクトは恒久的なものではなく、例えば2週間など、極めて短期間に限定されています。そこには遊牧民的の特性を指摘することが出来るそうです。
・ドローイングに布を貼付けたコラージュ各種。
会場にはドローイングもいくつか展示されていましたが、その言わばプロジェクトの「見取り図」に、実際の布を貼っているのが印象的でした。まるでミニチュアのようです。
ちなみに観覧当日、偶然に行われていたクリストのギャラリートークを20分ほど拝聴しました。あくまでも又聞きだったので、その内容まで詳しく追えませんでしたが、例えば「アーティストは常に建築に興味を持っていた。モネが建物の絵を描くのと同じく、自分もそれを包むのである。」や、「元々持っている土地や空間の記憶を意識した上で、プロジェクトを進めている。」という主旨の発言は印象に残りました。また時間の制約がある中、会場の質問に丁寧に答えていく様子にも好感が持てました。

それにしてもクリストとジャンヌ=クロードが、まさか同じ年の、しかも同じ日に生まれていたとは知りませんでした。残念ながら妻のジャンヌ=クロードは昨年、11月に急逝されてしまいましたが、その二人を結んでいた半ば宿命的な愛情は、例えば上映映画の一端を見るだけでも十分に伺い知れるのではないでしょうか。
4月6日まで開催されています。
「クリストとジャンヌ=クロード展」
2/13-4/6

21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「クリストとジャンヌ=クロード展」へ行ってきました。
まずは本展の概要です。
・ベルリンの旧帝国議会議事堂を布で包み、またセントラルパークにゲートを連ねるなどのプロジェクトで知られるクリストとジャンヌ=クロード夫妻の成果を、パネルや写真、ドローイングなどで紹介する。
・紹介映像はモニターの一点と少ないが、関連するドキュメンタリー映画を大型スクリーンで上映。曜日毎に作品が変わるのでスケジュールを参照のこと。
どちらかと言うと展示は入門的なものが多く、クリストに詳しい方には物足りないかもしれませんが、彼を『包む作家』という程度でしか認識のない私にとって、その全貌を分かりやすく知ることの出来る良い展覧会でした。今回は以下、その初めて見知った部分を、簡単な箇条書きで記録したいと思います。

・本を包む。
クリスト作品というとスケールの大きなランドアートを連想しますが、当初は本などの小さなものを包んでいたこともあったそうです。包む対象を本から一気に建物へと発展させたそのアイデアの変遷に興味がわきました。

・完成プロジェクトよりも未完プロジェクトの方が多い。
完成したプロジェクトは約25件である一方、未完のプロジェクトは計45以上にも及んでいます。場所の交渉などが難航して進行出来なかったものがある中で、実現にまで限りなく近づきながら、クリスト自身が興味を失ってやめてしまったプロジェクトがあるのには驚かされました。(バルセロナのプロジェクト。)
・1970年の東京ビエンナーレで東京都美術館の床面を布で覆った。
このプロジェクトも条件面で問題があり、当初考えられていた構想とは異なった内容で実現していたそうです。またその後も台場の公園と人工島を布で結ぶプロジェクトや直島でのプロジェクトの構想もありましたが、結局実現には至っていません。

・「梱包のアーティストと呼ばないで下さい。」
解説パネルにあった言葉ですが、実はクリストは1970年代以降、例えば建物を包まない、ようは布を自立させた作品を手がけることが多くなっているそうです。包む作家とだけ捉えるのはいささか誤解がありました。
・2週間限定のプロジェクト。
言うまでもなくクリストのプロジェクトは恒久的なものではなく、例えば2週間など、極めて短期間に限定されています。そこには遊牧民的の特性を指摘することが出来るそうです。
・ドローイングに布を貼付けたコラージュ各種。
会場にはドローイングもいくつか展示されていましたが、その言わばプロジェクトの「見取り図」に、実際の布を貼っているのが印象的でした。まるでミニチュアのようです。
ちなみに観覧当日、偶然に行われていたクリストのギャラリートークを20分ほど拝聴しました。あくまでも又聞きだったので、その内容まで詳しく追えませんでしたが、例えば「アーティストは常に建築に興味を持っていた。モネが建物の絵を描くのと同じく、自分もそれを包むのである。」や、「元々持っている土地や空間の記憶を意識した上で、プロジェクトを進めている。」という主旨の発言は印象に残りました。また時間の制約がある中、会場の質問に丁寧に答えていく様子にも好感が持てました。

それにしてもクリストとジャンヌ=クロードが、まさか同じ年の、しかも同じ日に生まれていたとは知りませんでした。残念ながら妻のジャンヌ=クロードは昨年、11月に急逝されてしまいましたが、その二人を結んでいた半ば宿命的な愛情は、例えば上映映画の一端を見るだけでも十分に伺い知れるのではないでしょうか。
4月6日まで開催されています。
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