僕はびわ湖のカイツブリ

滋賀県の風景・野鳥・蝶・花などの自然をメインに何でもありです。
“男のためのガーデニング”改め

金山神社の「ヤッサ(千草盆)」~甲良町金屋~

2023-08-30 06:08:08 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 滋賀県には古来からの民俗行事である「勧請縄」や「オコナイ」など集落単位での神事が多く残ると共に、各集落や村で守り続けられている奇祭を耳にすることがあります。
祭りは、疫病退散や子孫繁栄、五穀豊穣への祈りにまつわるものが多く、大きな単位で行われる祭があれば、集落の神社単位で行われる祭りもあるようです。

祭り自体は実際に見てはなく本やネット等で見ただけのものが大半ですが、金山神社のヤッサは県内では他に類を見ない行事だと思います。
送り火や祭りの後に奉納物をお焚き上げをする訳ではなく、同じ場所に1年間吊るしておくのは、勧請縄信仰に通じるところがあります。



「金山神社」は甲良町の金屋集落にある神社で、集落の端辺りに祀られた村の鎮守の神社といった印象を受ける神社です。
御御祭神に金山彦命を祀ることから、鉱山の神や鍛冶の神との関係が考えられ、地名も「金屋」とついていることからかつては鉱山や鍛冶と関わりがあったことが推測されます。
金屋集落の東には多賀の山系や鈴鹿山脈が連なり、その山系には複数の鉱山があったとされますから金属関係と何らかの関係があったのかもしれません。



ただし、金山神社は創建は不明で歴史は分かっていないが、かつて金屋には石仏などの工房があったこが分かっているという。
金山神社地蔵堂周辺では90体余りの未完成(制作段階で割れなどにより廃棄された石仏)が発見されており、「金山神社境内未完成石塔群」として残されています。



境内には拝殿と本殿が祀られ、他には境内社として大将軍神社が祀られています。
現在の神社敷地の前側に結界を張るように2本のスギがあるが、拝殿の横にかなり年代を経たと思われるスギの切り株が2個あったので本来はこちらが御神木だったようである。



本殿は玉垣で仕切られた一段上のところに祀られ、木鼻に獅子や龍の彫り物の施された本殿の祠は覆い屋の中にあります。
この辺りは犬上川の扇状地の穀倉地域になり、かつては洪水や旱魃、水争いもあったようですが、「犬上ダム」の築造により水利は整えられたといいます。



本殿の右側には「道祖神 ヤッサの神」の御本体が鎮座していて祀られていて、「ヤッサ」は「野幸(やさち)」「家幸(やさち)」が転じた言葉ともされます。
起源は鎌倉時代にまで遡るとの説もあり、野の幸=五穀豊穣、家の幸=子孫繁栄を祈ることから転訛したとされます。



金山神社では毎年「千草盆」の日にヤッサが奉納されるとし、7日に一番近い土曜日に七日盆として奉納されるという。
七日盆はお盆に向けて、お墓や仏壇の掃除などの準備に入る「盆入り」の日とされており、旧盆では8月7日から盆入りとなるといい金山神社では旧盆に行事が行われるという。
ヤッサは本殿の裏にあるかつては大きな森だったと思われる鎮守の森のスギの木に吊るされており、森は独特の空気感を持った空間になっています。



ヤッサはかつて長男が生まれた家でヤッサを作って奉納したといい、跡継ぎ誕生の祝いの意味もあったといいます。
また、ヤッサは豊作占いにも使われていたといいますので、子孫繁栄・五穀豊穣の願いを込めた神事だったのだろうと思います。



金山神社のヤッサは2021年にも訪れたのですが、プリミティブな印象は同じでも細工は随分と違う印象を受けます。(胴の上の舟やデコ)
奉納された直後はもう少し花が付いていたものと思われますが、台風を挟んでしまいましたのでこれでもよく本来の姿を残しているほうだと思います。



この何とも不可思議な奉納物は落ちるまで吊るされているのかと思われ、過去に訪れた時には落ちて朽ちていくヤッサがあったことを記憶しています。
このヤッサも農村の抱える問題の例に洩れず、若い人の農業離れや少子高齢化の影響、男児だけを祝うという時代錯誤の考えなど問題はあるようです。



滋賀県の祭事の中でもかなり変わった部類に入る奇祭だと思いますので、時代に合わせた多少の変化はあったとしても継続していって欲しい神事です。
気が付いた範囲内では集落の入口2カ所に“ここは金屋 ヤッサの郷”と彫られた石碑がありました。



金屋の集落の中を少し歩いてみると、集落を流れる小川に驚くほどたくさんの小魚が泳いでいるのが見えます。
歩いても歩いても小魚の群れは絶えることのない魚影の濃い川です。
遥か遠い昔、当方が子供の頃に遊びに行った田舎の小川のような豊かさを思い出し、懐かしさを感じてしまいます。


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伊吹山星空観光バスで伊吹山山頂へ~入道雲に稲妻が走る雷ゴロゴロの夜!~

2023-08-25 19:08:08 | 野鳥
 伊吹山の登山道は7月12日の大雨で登山道が崩落して以来、入山禁止となっており入山禁止期間にはニホンジカの駆除も行われているため立入できない状態です。
今年は伊吹山の三合目のユウスゲを見に行きたいなと考えていた矢先の入山禁止ということでしたので諦めるしかなかったのですが、こちらは来年以降の楽しみということになります。

2023年の伊吹山は早々に終了か?と思っていたところ、『伊吹山星空観光バス』を紹介して頂きましたので、満点の星空を見る(つもり)でバスツアーに参加しました。
バスは関ケ原を経由して伊吹山ドライブウエイに乗ると、約30分の走行で伊吹山ドライブウェイ山頂駐車場に到着。



山頂駐車場は日暮れにも関わらず、数百人レベルの大勢の人でごった返していて、駐車してある車の台数もかなり多かったように見えました。
夕日や星空観察、翌朝の御来光を目的に来られている方の多さに驚きましたが、駐車場すぐ下のイヌワシ・ポイントに並ぶ大砲レンズの数も凄い数でしたよ。



山頂駐車場に到着したのは日没の少し前のトワイライトタイムが始まる頃。
湖北平野には小谷山や山本山が点在し、琵琶湖には竹生島が浮かぶ。
琵琶湖の向こうには高島市の山々が連なり、太陽はその向こう側へと沈んで行く。



日没する琵琶湖方向の夕日撮影ポイントには夕日を眺める人、撮影に集中する人などが並ばれています。
「秋の日は釣瓶落とし」といいますが、まだ猛暑が続く気候とはいえ、暦の上では秋ですから見る見るうちに太陽は沈んでいきます。



展望台の上から夕陽を眺めておられる方もいます。
太陽が沈みつつある時にはたくさんの人の姿がありましたが、沈んでからは黄昏時のマジックアワーを楽しむ人だけになっています。



沈む寸前の夕日をパチリ!
雲がかかってしまっている部分もありますが、燃えるようなオレンジ色に輝いていました。



伊吹山の北側にあった大きな入道雲も色づいてきました。
いかにも夏らしい大きな入道雲ですが、雲の中では稲妻が走っています。
どうもこれから伊吹山の山頂にも雲がかかりそうで、空にも気持ちにも暗雲が立ち込めてくる。



結局、山頂には雲がかかってしまい星は雲の合間から覗き見る感じとなってしまったものの、雷は遠く雨も降り出さなかったので助かりました。
こういう色づき方をしている入道雲は平地ではなかなか見ることが出来ませんので、標高1300m独特の光景なのかもしれません。



迫力のある大きな雲の塊ですが、入道雲の中は雷がゴロゴロとなっています。
動画で見ると、ほのぼのとした雰囲気の星空観測場所の向こうにはゴロゴロと雷が落ちる雲が迫ってきています。
こっちに来るな!はみんなの願いでしたが、空にはどんどんと雲がかかってきました。



雷は山の方には来なかったものの、北の空に悲しいかな雲に覆われていきます。
まぁ雷が迫って来たり、雨が降り出さなかったのが幸いです。



雲のかかった空には雲の合間に星が何とか見えるのみで、空の状態から星空撮影はちょっと無理そうな夜空になりました。
ということで星は諦めて、伊吹山山頂までの約40分のハイクに切り替えます。

携帯してきたライトで暗闇の中、足元を照らしながら登ります。
稜線に見えるは雄鹿のシルエット。横には数頭のシカの姿もあり、夜の伊吹山の雰囲気を楽しみながら山頂に到着。



しかし、山頂に着いた頃には霧が立ち込め、もう真っ暗です。
山小屋は閉まっていたものの中に人の気配があり、登って来る人・下山する人にも時々会うことができたので闇の中でも怖さはあまり感じない。
下の駐車場には三桁の数の人が居ることもあって安心感はあり、これが全く人の気配のない山だったら怖くてとてもじゃないけど登れなかったことでしょう。

日本武尊(ヤマトタケル)の像も闇の中でしたが、フラッシュをたいて何とか見える感じです。
雨が降り出したり雷が近づいてくると困りますので、山頂ではそそくさと数枚の写真を撮って、急ぎ下山します。



西遊歩道の途中で見た湖北の夜景です。
湾曲した琵琶湖の形がよく見え、平野部の灯りが綺麗ですが、これは何万ドルの夜景と呼べばいいのでしょうね。



山頂駐車場には星空観察の方の他にも翌朝の御来光を目的に泊まり込みの方もおられるようで、キャンピングカー泊やテント泊、車中泊の方もおられるようでした。
Tシャツ1枚では寒いような気温の中、大勢の方が山頂駐車場の夜を楽しんでおられましたが、星空観察するには天気がイマイチでしたね。


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「養老の滝」で初見のイシガケチョウをパチリ!

2023-08-20 17:30:00 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 猛暑にうだっている時は滝や清流を眺めて、滝のミストのような水飛沫を浴びるのが一番ということで、岐阜県養老町にある「養老の滝」へ涼みに訪れました。
「養老の滝」は「日本の滝百選」に選ばれており、養老公園から続く東海自然歩道が整備されていることからお手軽な観光スポットとして多くの方が訪れておられました。

約1㌔ほどの遊歩道の一番奥に「養老の滝」はあり、清流に沿った遊歩道に掛かる7つの橋を渡りながらジグザグに登ったり、真っすぐ行ったり出来るようです。
「養老の滝」へ訪れるのは十数年ぶりのことでしたので、すっかり記憶から消えてしまっていて、初めて訪れたような新鮮さを感じます。



遊歩道の横には数軒のお土産屋さんが並んでいて、観光地然とした通りを歩くのも久しぶりの感じがします。
登りの時はまだ朝早かったのでお店は準備中のところが多かったのですが、帰り道に復刻された「養老サイダー」を飲みたいなと復路の楽しみのひとつにします。



“おたきみち”と彫られた石碑を横目に坂を登っていきますが、清流の横の緑は圧倒されるくらい美しい。
モミジなどの樹木が多いので秋の紅葉シーズンはさぞや美しい光景が広がるのだと思います。
帰りにお土産屋さんで聞いた話では、ライトアップは紅葉の範囲が広すぎてやっていないとのことでしたが、紅葉を楽しみに訪れる方は多いとのことでした。



遊歩道は清流に沿って登っていきますのでヒンヤリと涼しさは感じるものの、湿度が高いためかいた汗がTシャツに浮き出てくる。
アスファルトの坂道って楽そうに思いますが、ふくらはぎに負担がかかりますので、山道を登った方が足にとっては楽だと思います。



「一丁」と彫られた丁石が見えると、滝までは約109mとなり、あとわずかで到着です。
少し高い位置に滝見の場所があって人の姿が見えてきて、この辺りから滝へ向かう石段の道に変わり、やや傾斜がきつくなります。



ゴロゴロとして苔むした岩の間を渓流が流れ、奥には目指す滝が!
個人的な好みではこの滝は直下から眺めるよりも、みゆき橋や少し下の岩場から眺めた方が姿がよいのではと感じます。



この地域には滝がいくつかあり、養老町の「養老の滝」を雌滝、不破町の「不破の滝」を雄滝と呼ぶことがあり、力強さを感じる「不破の滝」と美しく端正な「養老の滝」との比較も面白い。
また、行ったことはありませんがこの滝の上の養老山には「秣の滝」「直江の滝」があるといい、「養老の滝」と3つ合わせて「養老三滝」と呼ばれるそうです。
養老山の「秣の滝」のことを「雌滝」と呼ぶようですので、「雌滝」と呼ばれる滝はこの地域に2曝あるということになりますね。



「養老の滝」は、落差約30m・幅4mあり、記憶に残っていた落差より高かったのに驚きます。
雨の日が続いていた後の晴れ日でしたので水量が多かったのもより迫力を感じた原因のひとつだったのかもしれません。



余談ですが、「養老の滝」は葛飾北斎や歌川広重も題材として描いており、それぞれの表現で滝の様子を描き出しています。
葛飾北斎(左)は「諸国滝廻り 美濃国 養老の滝」で水飛沫の間を歩いていく旅人の図。
歌川広重(右)は「六十余州名所図絵 美濃 養老ノ瀧 」で広重ブルーの滝が太い柱のようにデフォルメして描かれており、両作品とも表現力の豊かさに驚きます。

 

「養老の滝」は観光地化されていますので滝の直下近くまで行くことが出来ますが、近づいてカメラを向けると水飛沫が激しいのでレンズが濡れて水滴が斑点のように写ってしまうのが難点です。
滝の前には岩門で結界が切られており、滝の方向を眺めるように不動明王の石仏が祀られている。





滝から遊歩道を下って「養老神社」への参拝を兼ねて「菊水霊泉」へと詣ります。
遊歩道の横には下の「菊水泉」があり、手を清めてみるととても冷たくて、暑さに火照った体が冷やされる思いがする。



「養老神社」への急な石段を登っていくと拝殿・本殿がある。
創建時期は不明とされているが菊理媛命が祭神と伝えられ、菊理媛命は白山比咩神と同一神とされることから白山信仰との関係がありそうです。
また、滝の水が酒になったという親孝行の伝説「養老孝子伝説」など故事があり、春分の日には故事にちなんで「若水取り」の儀式が行われるという。



「菊水泉」は日本の名水百選に指定されているといい、水は透き通るような透明感があります。
伏流水の源流になる養老山地には三方山~小倉山~養老山の登山ルートがあるようですので一度登ってみたいのですが、梅雨から秋口まではヤマビルが多いらしい。



御神木から拝殿を望む。
千木は内削ぎになっていたので女神を祀っていると考えられ、御祭神が菊理媛命なのに適合しています。



さて、参拝を終えましたので気になっていた「養老サイダー」を賞味してみます。
養老サイダーは、明治から昭和前期にかけて東日本の「三ツ矢サイダー」と西日本の「養老サイダー」として双璧を成す人気だったそうですね。
「養老サイダー」は2000年に製造中止となり会社も廃業しましたが、2017年にクラウドファンディングでオリジナルな味を復刻して、地元の一部店舗で販売しているそうです。



沢沿いの遊歩道を下っている時に蝶がヒラヒラと飛んできたのですが、その蝶は初めて見ることが出来たイシガケチョウでした。
一時期、蝶の撮影に凝っていた頃、ずっと出会いたかったのに一度も出会えなかった蝶です。
全く想定外の意外な場所で念願のイシガケチョウに出会えたのは運が良かったですね。



しかもイソガケチョウは3頭が同じ場所で飛んだり吸水したりで留まっていてくれましたので何度もカメラで追うことになりました。
残念ながらデジイチを持ってきていなかったのでボツ写真連発の中、少しマシに撮れた写真をUPです。



イソガケチョウはタテハチョウ科の蝶で、元々は紀伊半島以南・四国・九州・南西諸島に生息していた町のようですが、温暖化で生息地域が北上してきているようです。
アゲハチョウ科の「ナガサキアゲハ」も元は近畿以南から南西諸島に分布していたのが温暖化によって北上してきたといいますので、地球温暖化の影響は多岐に渡るようです。



今回は観光がてら家族連れで訪れましたが、養老の滝に対する印象は以前に訪れた時の記憶とは随分と異なるものでした。
見たいものや感性や興味の対象は、年月を経て変わってくるものですね。


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鶴翼山(八幡山)ハイキング!~下山はロープウエイ乗車で楽々~

2023-08-13 14:22:22 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 真夏の猛暑日には海水浴や湖水浴で体を冷やすか、避暑がてら高山を登山したいところですが、避暑地になるような標高の高い山はそこまで行くのが大変です。
経験上1000m程度の山では避暑感はなく、2000m以上の山となると近くには存在せず、そもそも登れる自信もないので諦めないといけません。

とはいえウォーキングだけだと体がなまってしまいそうですので、サクッと登れる山ということで近江八幡市の鶴翼山(八幡山)に登ってきました。
標高は271mですのでゆっくり登っても30分もあれば登れる山で、下山はロープウエイで下りるという軟弱登山も可能です。



まずは近江商人の信仰を集め、「近江八幡」の地名の由来になったという「日牟禮八幡宮」に参拝しますが、近江八幡観光の中心地とはいえ朝の駐車場はガラガラです。
日牟禮八幡宮では国選択無形民俗文化財に選択されている「左義長まつり」と「八幡まつり」の祭事が行われているといいます。
「左義長まつり」は織田信長が安土城下で行った奇祭だといい、秀吉の世になって豊臣秀次が八幡山城を築いた後、日牟禮八幡宮に左義長を奉納するようになったそうです。



日牟禮八幡宮の前には和菓子の「たねや」や洋菓子の「クラブハリエ」の直営店が並ぶにぎやななエリアですが、鶴翼山(八幡山)の登山口は「たねや日牟禮乃舎」の横辺りから登り始めます。
急登や登りにくい場所はないので子供連れや地元のお年寄りの方などに出会いますが、気温の低い朝のうちに登ってしまおうという方は多いようです。



道の途中にお地蔵さんが祀られている場所がありましたが、道の横に祀られた地蔵石仏としてはここだけです。
中腹に祀られている「大日大聖不動明王」には石仏群が祠に祀られていましたので何か関係があるのかもしれません。



神社にいた時にすでに気温は30℃近かったが、カラッとしていたのでそれほど暑さは感じなかったのですが、山を登っているうちにさすがに汗が流れるようになる。
下りてくる家族連れのハイカーとすれ違いましたが、軽快に下りてくる子供たちは跳ねるくらいの勢いの元気さで、あんな軽快さがうらやましいところです。



途中で「大日大聖不動明王」方面と「村雲御所瑞龍寺・八幡山ロープウェー」方面の分岐があり、せっかくなので「大日大聖不動明王」にも参拝します。
日牟禮八幡宮では毎年11月に「八幡山不動尊大祭」で修験者山伏が大護摩焚を奉修するとされ、その不動尊は「大日大聖不動明王」とされています。



石仏地蔵が祀られた祠の前を通り抜けると「出世不動明王」の祠の下に到着します。
鶴翼山(八幡山)の不動明王信仰についての信仰の由来等は分かりませんが、世話方の人らしき方が掃除をされていましたので、手厚く信仰されている場所だと思います。



山の中腹にある御堂としては立派な造りとなっていて、提灯には電灯が灯されています。
可能な限りほぼ毎日参拝に登って来られる方もおられるのではないでしょうか。



不動明王への参拝を終えて分岐まで戻り、「瑞龍寺門跡」の山門から山頂エリア(八幡山ロープウェー山頂駅・八幡山城跡・村雲御所瑞龍寺・八幡山展望台)を目指します。
若干道が急になる場所もありますが、低山は山頂近くになると急登があるケースはよくありますね。



八幡山ロープウェー山頂駅の横の道を歩いてまずは「西の丸址」へ。
西の丸址からの眺望は絶景の琵琶湖や近江盆地が見渡せ、すでに数組の方が腰かけて眺望を楽しんでおられます。

聞こえてくるのは吉田類の「日本百低山」の番組の話で前回放送の山の話などが聞こえてきます。
ある程度の年になってから山登りを始められた感じの方々でしたが、“若くて元気だった頃にもっと山登りしておくんだった。”の声に思わず同感しました。

夏らしい青空の下にはブルーの琵琶湖。
左側で琵琶湖に面している山は岡山でその奥には比叡山。琵琶湖の対岸には蓬莱山や武奈ヶ岳で、右には長命寺山の裾野が見える。



田園地帯方向に目をやると、どこから眺めてもよく目立つ三上山の姿。
今いる場所を知るのに三上山は方向を示してくれる便利な山です。



逆光になって色合いが悪いですが、西の湖方面も見渡せます。
西の湖の向こうには安土山や繖山。その奥には伊吹山や霊仙山も見えるというが、モヤっているので識別出来ない。



かつて鶴翼山(八幡山)には安土城に替わる近江国の国城として豊臣秀次を城主とする八幡山城を築いたが、築城から10年で廃城になったという。
城は本丸・二の丸・西の丸・北の丸・出丸が配置された一大要塞であったと推測されており、現在も各所に石垣が残ります。



三等三角点は北の丸址にあり、山頂を示す柱も立てられている。
デートコースとしての観光に力を入れているのかLOVEのオブジェや電飾のハートマークなどがあり、「恋人の聖地」とされているとか。





下山道までの道筋にある「八幡山ロープウェー山頂駅」まで戻ると、ちょうど始発のロープウェーの発車5分前です。
暑いし、八幡山ロープウェーは片道500円ということもあり、楽々下山の誘惑に負けてしまいました。
同じように歩いて登ってきてロープウェーで下りる方と一緒になり、山頂から発車する始発のロープウェーになぜか二人で乗っているという奇妙な光景でした。



ロープウェーが動き始めた頃には観光の方も増えてきて、ロープウェーの切符を買う人や日牟禮八幡宮の駐車場が次々と埋まっていっています。
観光地にある山には朝早く登って、さっさと下るのが一番ですね。


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金勝アルプス~落ヶ滝から天狗岩・逆さ観音を周回!

2023-08-06 18:08:08 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 山登りに行く時は早朝に家を出ますので、その日にどこの山に登るのか書いてから出ていくように!と家族に言われています。
どこかの山で遭難して帰ってこなかった場合に、どこの山で遭難したか分からないと捜索依頼が出せませんのでごもっともな話です。

この日も“こんぜやま”というメモを残して出かけましたが、帰宅したら“金勝山って何回目?好きなんやねぇ~。”と言われてしまいました。
とはいっても今回で5回目ですので、それほど頻度が高い訳ではないのですが、2か月連続で登っているので“またか”の印象が強かったのでしょう。



金勝アルプスへは最初は「九品の滝」、次は「逆さ観音~落ヶ滝」、「狛坂磨崖仏~竜王山」で、前回は「竜王山~鶏冠山と天狗岩のピークハント」でした。
今回は上桐生の駐車場から落ヶ滝~観音岩~狛坂磨崖仏~逆さ観音の周回コースと予定して登り始めましたが、暑さで汗の量が半端じゃなく調子が悪くなってしまい、耳岩の分岐以降は水晶谷線で下山。

金勝アルプスは低山ではありますが、登山道は何度もの渡渉や急登・岩登りとバラエティに富んでおり、楽しい反面、標高以上の疲れを感じてしまう山でもあります。
今回は、上桐生から落ヶ滝線を登り落ヶ滝に立ち寄ってから北峰縦走線で天狗岩に向かいますが、落ヶ滝線から登るのは初めてで、最初は畑や溜池の横を通り抜けていく道から始まる。



落ヶ滝までの道は何度も何度も川を渡渉しながらの道になり、涼しさを感じる反面、道はどろどろで渡渉の際の足の置き場に注意しておかないと靴の中に浸水しそうになる。
金勝アルプスの西側になる大津市側は清流沿いの水場の道でシダが多くい。しかし標高が上がっていくと巨岩とザレ場の世界に180°様変わりするのが実に面白い。



落ヶ滝に最初に行った時は、駐車場でもらったハイキングマップで落ヶ滝を見つけて、すごく無駄に大回りして辿り着いたのですが、この岩は見覚えがあります。
当時はまだ山歩きに慣れておらず、大した距離や道でもないのに音を上げていましたが、その頃よりは歩ける距離は伸びたかな。



そして落ヶ滝へ到着。
高さ20mともそれ以上とも言われる滝は巨大な一枚岩に沿って4段の段曝で落ちています。
水量の少ない滝とは言われていますが、訪れたのは雨あがりの日でしたので、それなりの水量があって見応えがあります。



落ヶ滝に最初に訪れた時は、濡れた岩肌の部分が“蓮華座に座る仏の坐像”に見えたのですが、今回はその印象は受けない。
自然の造形は見る時の気持ちや感情に左右されて、印象が大きく異なるのでしょう。



滝を見終えた後は落ヶ滝の分岐まで戻って、落ヶ滝線で縦走線まで登りますが、この道は初めて登るコースになります。
金勝アルプスには何本ものルートがありますので、目的地によって歩いていないルートが幾つかあります。

縦走路に向かって登っていくと、落ヶ滝の上部らしき場所へ到着します。
下りて先端近くまで行ってみようと進みかけたところ、水が深すぎて登山靴では歩けず、すぐに断念しました。水量が少ない時に先端まで行ってみたいですね。



この日は山全体に水量が多かったのでしょう。道が川になっている箇所が何ヶ所もあります。
また俗に金勝ジャングルといわれるようなシダの群生が多く、早く通り抜けたいのだがシダの群生はいつまでも続く。



これも道か?と思うような岩場に出て登って行きます。
川になっていて水が流れていますので滑りやすいかと思いきや、滑る感じはなく気楽に登れて行きます。



道なのか川なのかよく分からない道ですが、浮石はほぼないので安心して進めます。
この辺りで川と岩の道は終わってしまうのですが、気持ち的にはもっと続いてくれてもいいよって感じです。



北峰縦走路に入るといよいよ巨石とザレ場の金勝アルプスの本領が発揮となります。
歩き進めばどこを見回しても奇岩ばかりの巨石群の世界が始まります。この山を登るとホントちょっとやそっとの巨石・奇岩には驚かなくなってしまいますね。



自然の造形とは思えないような巨岩が重なった岩も多く、この岩は岩の下を通って横へ出入り出来るスペースがあるので、密かな撮影スポットになっています。
もっとも一人っきりのソロ登山ですので、通り抜けをしても撮影は出来ないので、取り合えず通りぬけてみるだけ。



彼方にあった天狗岩も段々とその姿を目に捉えられるようになってきます。
イワ・ザレ・ガレのどこか別の惑星に来てしまったような山は幾つかありますが、特に湖南の山塊は楽しめる山が低山ながら多いと思います。



いよいよ天狗岩や谷を越えて向かい合うようにして聳える岩石群の山が目前に迫ってきました。
急登が続き疲労感が増してくる上に、蒸し暑くて汗が吹き出しTシャツはドボドボ、水分を補給しつつも行動食は喉を通りません。



最後の急登を登り切って天狗岩の前に着いた時は思わず“着いた~!”と声を出してしまいましたが、天狗岩を登りかけている女性が振り返って笑われていました。
山で出会う人の中には、もう目一杯という方がいれば、楽々スタスタと登って行かれる方など様々ですが、当方は抜かさせて頂く人よりも、抜いてもらう人の方が少し多いようです。



天狗岩の前のベンチでこの日初めて腰掛、貴重品だけを持って天狗岩に登ります。
リュックがない分身軽になり、前回恐々登った時とは違ってサクサク登れて、頂上の岩の上に立っても怖くなくなっていました。
経験して慣れるというのは大きいなと感じながら、頂上で休憩しようとするがいいポイントは取られているので、少し座って下りることにしました。



尖った岩の先が天に向かったような岩のところまで来ますが、頂上まではもうひと山登らなければなりません。
岩に赤い矢印のマーキングがあるのでその通り進めばよいのですが、狭くて通れない場所は迂回したりして登り、最後はエイヤとばかり登って頂上に着きます。



う~んルートが細い。足を斜め横に踏ん張って登って行きましょう。
この日は登って行く人だけで下りてくる人とはすれ違いませんでしたが、込み合ったら渋滞します。岩場も登る人優先でしたっけ?



天狗岩から西には眼下に鶏冠山、平野部には三上山、琵琶湖の南湖を挟んで対岸には比叡山や比良山系が望めます。
「鶏冠山」は急登を登り切った先に山頂がありますが、眺望はあまりないので、ピークハントと三角点を目指して登る山との印象を持っています。



天狗岩の頂上には「牛の背岩」と呼ばれる巨岩がありますが、この牛の背に跨る勇気のある人っているのでしょうか。
というかそもそも岩の直下まで行くのも足が竦んでしまって無理そうです。



天狗岩を下りて耳岩や白石峰へ向かって歩き出しますが、ちょうど天狗岩と谷を挟んだ場所から岩の頂上でくつろいでいる人たちの姿が確認出来ます。
前回は向こうの天狗岩から谷を挟んだこちら側までスラックラインを渡して谷渡りしている人を見ましたが、あれは正真正銘の超絶アドベンチャーでした。



やっと耳岩への急登を登り切って耳岩まで来ましたが、暑さで汗がひどく立っているだけでクラクラと立ち眩みしてしまいます。
予定ではこのまま白石峰まで行って重岩~国見岩~狛坂磨崖仏から林道出会に出てロード1時間でしたが、少しショートカットして水晶谷から林道へ出るコースに変更します。



後は下山道を下っていくだけかと思いきや、まだまだ岩場・ザレ場は続きますので、この岩場を下っても先にまた岩場が見えており、下りて登っての道が続く。
とにかくもう少し下まで下りたら一度ゆっくりと休憩しようと思い、歩を進めていけばいずれゴールがあると思い休める場所までアップダウンを繰り返します。



奇妙に積み重なった岩場があり、ほぼ人と出会うこともなくなりましたのでここで休憩。
誰もいないので汗だくのTシャツをいったん脱いで風にあたって、スポーツ羊羹でエネルギーチャージ。乾燥系の行動食が喉を通りにくい時にスポーツ羊羹は食べやすいので好きです。





ここで分岐から水晶谷へ進みましたが、道はまたシダの生えたジュクジュクした道でとなり、とてもじゃないけど下りやすいとは言えない道で林道まで下ります。
後で考えてみたら“上桐生バス停”方向の天狗岩線を歩いた方が楽だったように思いますが、なぜか水晶谷線へ行くべしと思ってしまいました。
水晶谷線から南谷林道を行けば“逆さ観音”や“オランダ堰堤”があるのもどこか頭の中にあったのでしょうけど、林道は長い道のりです。



思えば金勝アルプスに最初に来たのは、当時各所で探し歩いていた摩崖仏のひとつ「逆さ観音」を見るためでした。
それ以来、この山が好きになって何度か登りにくるようになったのです。

「逆さ観音」が逆さになっているのは「オランダ堰堤」を築造する際に石を切り出したことによって、後にバランスを失って山からずり落ちて逆さになったのだといいます。
「オランダ堰堤」は奈良時代から江戸時代にかけて木材の伐採で禿山になって土砂災害が頻発していたため、明治の時代に作られた堰堤です。



オランダ堰堤の下流は子供たちが水遊びできるエリアになっていて、家族連れが多く、楽しそうに水遊びやバーベキューをされていました。
遊んでる子供たちのように水に入れたら、さぞや気持ちの良いことだろうと羨まく思いながら駐車場を目指します。


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