僕はびわ湖のカイツブリ

滋賀県の風景・野鳥・蝶・花などの自然をメインに何でもありです。
“男のためのガーデニング”改め

マキノ高原から赤坂山に登る2~「明王の禿」と「花の山・赤坂山」~

2023-06-23 07:13:53 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 「赤坂山(標高823.8m)」の山頂に到着後、前回登山時に断念して今回の登山の目的であった「明王の禿」へと向かいました。
「明王の禿」は花崗岩が風化して出来たとされる荒涼たる奇観の崖で、ザレた砂地に巨大な花崗岩が風化しつつも聳えている。

花崗岩は地表深くで固まったマグマが冷えて固まったものとされますが、「明王の禿」の辺りだけに風化した花崗岩が見られるのは、過去に大崩落があったからなのでしょうか?
登山道に石英のような石が所々で見られたのは、マグマの石英成分が冷えて固まり石英の部分だけが風化に耐えて残ったものというのもこの山の地質の特徴のようです。



「赤坂山」と谷を挟んで向こうに見えるのは「三国山」で、山の右方向に「明王の禿」が見えますが、赤坂山からは激下りと急登の登り返しで行って、同じ工程を帰らなければならない。
しかも激下りをして歩く道は、マキノ高原から赤坂山の登山道に比べてひとけがなく、クマでも出そうな道を歩くことになります。



下りの道中に見えていた「明王の禿」は激坂を下りきって樹林帯を歩くようになると、樹木に隠れて一旦見えなくなります。
三国山が近くなって急登を登り始めると再び「明王の禿」が見えてきますが、急登のしんどさより何か危ないやつに出会ってしまわないかの方が気になる。



そして「明王の禿」を目の前にできる場所に辿り着きます。
“あなたはザレ場や巨石群がホントに好きやね。”と言われそうですが、この圧倒的な迫力の光景を目の前にしたら声も出ない。もしくは感嘆の大声をあげたくなる。



自然の造形美ということになりますが、雪が多く風雨にさらされる場所ですから刻々と姿を変えているのではないでしょうか。
立入禁止等の措置はされていますが、うっかり足を踏み入れたら奈落の底へ真っ逆さまに落ちて、サヨウナラとなりますね。



真ん中辺りに聳える巨石はモアイ像のような姿をしています。
誰が名付けたのか知りませんが、姿はまさにモアイ像。一般的にも「明王の禿のモアイ像」で通じるようです。



こちら側は侵入禁止となっていますが、入れば急降下で落下しそうなので禁止しなくても入りませんよ。
入っていってズルっといったらウォータースライダーならぬサンド・スライダーであの世行き!



この崖を少し高い場所から眺めると、奥に琵琶湖が見えます。
大勢の人が集まるキャンプ場から2時間ほどでこの光景に出会えるのですから、この山は魅力的な山です。



冬近くで積雪のない空気が澄み切った頃に来れば、琵琶湖や日本海が綺麗に見えるのかと想像しますが、秋に登るなら赤坂山~寒風コースかなと先の話を考える。
「明王の禿」から戻る時に樹林帯で会った人と下山して車で移動していた時に、白谷集落の辺りで会いましたので黒河峠から下山されたようで、そのコースも面白そうです。



では赤坂山に戻りますが、結構遠く感じますね。
途中からは急登続きですし、赤坂山の山頂に見える人影のなんとも小さい事!



ここから最後の急登の登り返しとなりますが、正面に見える大きな岩の裏側が山頂です。
歩き切った感を感じつつも、赤坂山の山頂からマキノ高原までは2時間程度かかりますので、もうひと踏ん張りしないといけません。



下山道はさほど変化のある道ではありませんので花を探しながら下りていきます。
登山道で出会った方が“今の季節の赤坂山はドウダンツツジを観ないと駄目よ。”と教えてもらい、サラサドウダンと思われる花の下で臨時の撮影会です。

赤坂山に咲く「サラサドウダン」という花のサラサの名称は、「マキノ温泉サラサ」の命名の由来となっているそうで、この花はサラサかベニか素人には悩ましい花です。
「サラサドウダン」は黒河峠からのルートの方が出会える確率が高いようですが、黒河峠はクマさんに出会ってしまう確率が高くなるとか、ならないとか...。



花を教えてもらった方と話していたのは“イワカガミの群生の多さ”です。
もちろん花期は既に終わってしまっていますが、艶々した葉っぱの多さに驚きますし、花期に訪れたら辺り一面がピンク色に染まりそうな群生の大きさでした。



登山道脇の谷側に背の高い樹木があって蓮のような大きな花の木があった。
ホオノキというモクレン科の植物のようだが、山の中に咲く蓮の花を見たような錯覚に陥るような花でした。



花はヤマボウシやコアジサイ、名前は分からないけど小さく黄色い小花を咲かした花などが見られる。
下はタンナサワフタギでしょうか。花に詳しい人ならもっとたくさんの花が見つけられると思います。



満開のエゴノキは場所によって花が地面に落ちているところもありました。
花にはおおよその花期がありますが、同じ山でも生えている場所の環境によって開花期の早い遅いがあるようです。



登山道の脇にはタニウツギの花が満開の季節を迎えていました。
昔、夏に飛来する野鳥を探しに何度も訪れていた山では、タニウツギの花の開花状況で野鳥の出を推測したりしていたので馴染みのある花です。



1年前に赤坂山に登った時は、最後の木段で足がヘタってしまってヨタヨタと下りてきましたが、今回は足は大丈夫でした。
登山口まで帰ってきてキャンプサイトに下りてくると、朝よりもテントの数が増えています。
「マキノ高原管理事務所」の前にも申し込みの長蛇の列が出来ており、夜はテントが密集しそうな勢いでもありました。



売店の「さらさ庵」で「赤坂山の自然ガイドブック」を購入。
花ならGW前に一度訪れてみたくなりますし、黒河峠からのルートの方は花は多そうなのでそちらから登る手もありそうです。
また、マキノ高原から赤坂山~寒風の周回ルートも稜線歩きが気持ち良さそうですので、この先も登りにきたくなる山です。




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マキノ高原から赤坂山に登る1~登山編~

2023-06-18 15:55:15 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 「マキノ高原」は高島観光の名所となっている「メタセコイヤ並木」から少し山側へ入った場所にあるレジャー・温泉・レストランなどのある施設です。
夏はキャンプ場・冬はスキー場になる斜面の先には、北に「赤坂山・三国山や乗鞍岳」、南に「大谷山・三重岳」と800m以上の山が連なる高島トレイユの北の終点近くになります。

高島トレイユのコースとは、かつて近江商人が荷物の運搬など暮らしのなかで使っていた古道で、琵琶湖と日本海の中央分水嶺にあたる道です。
トレイユでは古道の峠道にある12の山の全工程を一気に走破する方もおられれば、「12マウンテンズ」に分割して12分割されたコースを歩く人もいるそうです。



マキノ高原からこの日登った「赤坂山」は、「12マウンテンズ」のひとつであり、「関西百名山」にも数えられている山で、「花の山」としても有名な山です。
マキノ高原の登山者用駐車場に車を停めて歩き出し、キャンプ場(スキー場)エリアを登山口まで登っていくのですが、スキーで滑るための坂ですから地味に疲れます。



キャンプエリアの端まで来ると登山口がありますので、明るい陽射しに恵まれての登山開始です。
赤坂山はコースタイムを2時間くらいとしたとすれば、木段・登山道を登って東屋のある「武奈の木平」までが約半分。

沢沿いの道から「栗柄越」を経て稜線を山頂まで登るのが約半分といった感じでしょうか。
でも今回は赤坂山の山頂から「明王の禿」まで行きますのでプラス1時間となり、帰りは寒風方面へは行かずピストンで下山をします。



登山道は最初は木段が続き、結構しんどい道が続きます。
1年前に赤坂山に登った時には、下山時にこの最後の木段が足に堪えてヨボヨボと下りる羽目になったことを思い出します。



木段が終わると平坦な道も一部ありますが、大雨の時には川になるような道を登り続けます。
途中でキビタキが出て枝に留まってくれましたが、枝にピントを持っていかれて撮れず...。
野鳥はウグイスの囀りの他にもツツドリやホトトギスの囀りが確認出来ましたので、もう初夏の野鳥は山に入ってきているようでした。



「マキノ高原温泉さらさ」の前から1時間。やっと「武奈の木平」へ到着しました。
位置的に「武奈の木平」は登山時にも下山時にもちょうど休みたくなる頃に休憩できる場所にあり、一息入れられますので助かります。

標高540mの場所ですので涼しさは感じませんが、屋内で休憩ができます。
下山時に休憩に立ち寄った時は満員御礼で、片隅にちょこっと腰かけさせて頂くことになりました。



「武奈の木平」を越えると沢沿いの道に入り、沢を流れる水音の清々しさと清流のヒンヤリした空気の中を気持ちよく歩ける。
砂防堰堤から流れ落ちる水は今の季節にしては水量があり、勢いよく落ちている。



砂防堰堤は横から登って越えていくことになり、赤坂山登山では2カ所だけあるロープ場です。
地面が濡れていて滑りやすくなっているので、トレッキングポールを先に堰堤の上に置いてからロープで登る。



堰堤の先からは沢登りの道があり、左が渓流で右が登りのルートになります。
単調な登山道の多かったここまでの道中では変化に富んだ道と言えると思います。



赤坂山などが連なる山々は、山に降り注いだ雨や雪が水流として日本海側と琵琶湖側に流れる境となる分水嶺で、尚且つ天候が良ければ日本海も琵琶湖も眺められる山です。
この渓流の上にある峠が中央分水嶺になりますので、そこで水も気候も境目になっていることになり、興味深く感じます。



沢を離れて峠へと向かう道を登って行くとお地蔵さんが祀られている横を通ります。
この先にある「栗柄越(あわがらごえ)」はマキノ町海津(琵琶湖の湖上交通の港)と福井県美浜町との物資の運送ルートだったとされますので道中の安全を祈るものかと思います。



山を隔てた県境の峠にはお地蔵さんが祀られていることが多々あり、林道などが通っている峠では分かりませんが、登山で行く峠ではその過酷さに驚かされます。
峠は標高760mのところを通るといい、峠までの距離を考えると当時に荷運びした人の健脚ぶりと重量物を背負って登れる力強さが伺われます。

宮本常一さんの「山に生きる人びと」という本で粟柄(越)について書かれており、かつて粟柄には三国山を越えて琵琶湖へ行き来する旅人の強力として暮らす人の集落があったという。
北陸線の木之本~敦賀間が開通(1882年)すると汽車を利用するようになって峠道を越えていく者はなくなり、村は廃村になっていったとされたのだとされる。
粟柄は雪深い地であるため、農耕などでは暮らしてはいけない地に強力を生業とする村が存在したのは大変興味深く、山で暮らした人々への関心が高まります。



峠の近くには約2.5mくらいの大きな岩がくり抜かれた中に「馬頭観音」ではないかと言われている3面の顔を持つ石仏が安置されています。
かつてこの峠を越えて荷物を運んだ馬の安全を祈願して祀られているのかと思いますが、馬にとってもこの峠を越えるのは過酷な事であったのかと思います。





そして栗柄越を越えるといよいよ山頂への稜線歩きとなり、山頂までの最後の苦しいながらも楽しいコースが始まります。
前回に登った時は遠かったとはいえ雷の音が連続して聞こえており、逃げる場所がないため怖い思いをしましたが、今回はほぼ快晴で強風ではない心地よい風に吹かれながら登ります。



先に登られていた方々はもうゴールが目前。
登山途中に抜かれてばかりのスローペースでしたが、何とか2時間以内に山頂に到着出来ました!



そして山頂!標高823.8mに到着です。
山頂では記念撮影されていた方のご好意で当方も記念写真を撮って頂いて、ひとまずはゴールです。





山頂からは「明王の禿」を経由して「三国山」へ登り(登らない人もいる)、黒河峠へ下って白谷集落へ下山されるルートがあるようですが、進む自信なし。
もう一つ「栗柄越」の所から「寒風」を経由して「大谷山」へ登り(登らない人もいる)、マキノ高原に下山するルートがあり、こちらのルートは人気があるようです。
当方は今回もピストンでしたが、黒河峠ルートや寒風ルートは次に登る機会には歩いてみたいと思っているルートです。



山頂から南方向にはマキノ町と琵琶湖が望める。
少しガスっていますのでクリアーではありませんが、近い感じで琵琶湖が見えます。



福井県側の山々は山の名前は分かりませんが、美浜町方面へと続く山なのでしょう。
方向表示版には若狭湾と記載されていましたので、澄んだ日なら見えることがあるのかもしれませんが、まだ見たことはない。



すぐ北側には「三国山(標高876m)」がその雄姿を見せています。
今回、三国山には行きませんが、写真で見て右側の崩壊地の岩稜「明王の禿」まで行きます。



「明王の禿」は花崗岩が風化した岩稜で、山麓の集落からも確認出来る崩落地です。
赤坂山の山頂からは激下りと急登の登り返しがあり、明王の禿からの帰り道も同じ道を登り返すことになります。
かといって黒河峠まで行って下山する自信はないため、ピストンで明王の禿に向かいます。



赤坂山の登山編はここまでとして、次回は「明王の禿」と「花の名山」こと赤坂山で見た花々です。
イワカガミの季節はとっくに終わっていますが、ドウダンツツジを見つけることは出来るでしょうか?


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「御在所岳」武平峠ルートを登る!~鈴鹿セブンマウンテン3座目~

2023-06-11 16:05:05 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 三重県と滋賀県の県境に南北に連なる鈴鹿山脈の代表的な山を「鈴鹿セブンマウンテン」と名付け、登山大会の山として始まりトレッキングやトレイルランニングの山として知られています。
また鈴鹿山系の滋賀県側では鈴鹿セブンマウンテンの5座にさらに5座を加えた「鈴鹿10座」も選定されており、それぞれ1000m弱から1200mの山が名を連ねています。

ただし鈴鹿山系は遭難事故や行方不明の事例が多く、スキルと体力を考えて登れそうな山やルートを選びながら無理せず登るように心がけています。
「鈴鹿セブンマウンテン」は「竜ヶ岳(1099m)」、「鎌ヶ岳(1161m)」についで今回の「御在所岳(1212m)」が3座目になります。



日野町から甲賀町へ抜け「鈴鹿スカイライン」で滋賀県と三重県の県境になる「武平峠」まで行って登山開始になります。
駐車場へは朝7時頃に到着したのですが、満車寸前であわや駐車不可能となりそうでしたので、「武平峠」は鈴鹿登山の起点となる場所なんだろうと、その人気ぶりに驚きます。



スカイライン横の駐車場から「武平峠」まで登ると、そこは「鎌ヶ岳」「雨乞岳」「御在所岳」の分岐となっており、今回は御在所岳方向へ登っていきます。
コースタイム的には鎌ヶ岳<御在所岳<雨乞岳となるようですが、そこは鈴鹿山系ですから初級者可のコースとはいえ結構ハードな道になります。



登山道はとにかく岩が多く、ひたすら登りの急登の連続で、これが初級コースなのかと疑問が湧いてくるコースです。
しかもこの日は快晴の天気ながら風が強く、気温の割に寒さを感じながらの登山でした。



登るのに苦労するのは岩がゴロゴロとした道が続くこと。
ただし岩は浮いておらずグラつかないので不安定ではないが、この道が続くのは結構しんどい。



高度が上がってくると岩場が多くなり、岩をよじ登っていく場所が何ヶ所かある。
最初に出てきた岩場ですが、これは序の口ですぐに登れます。



岩場も登るに従って段々ときつくなってくる。
登る人の多い山ですから足の置き場や手の置き場がはっきりしているので楽しみながら登れます。



見上げてみて“ここを登るのか!”といった岩場もあり。
崖側に回り込む部分もあるのですが、とにかく風が強いのでバランスを崩さないようにと注意する。



隣の山の鎌ヶ岳はザレ場の連続でしたが、御在所岳にも一部ザレ場がありました。
御在所岳はザレた砂で滑らないようというより、小石で滑らないようにといった感じの道が多いようです。



なんか楽しそうな岩場が出てきましたよ。
岩の上に腰かけて休憩しよう。





登って行く間、鎌ヶ岳が見えることが多く、最初は見上げていたのが段々と並行した高さになってくる。
「鈴鹿の槍・マッターホルン」と呼ばれるだけあって尖った山頂は一際目を引く美しさです。



御在所岳には「 地蔵岩・ 負れ岩・ 大黒岩・ 鷹見岩・恵比寿岩・ 天差岩」などの奇石・珍石が点在すると聞きますが、武平峠ルートでは「天差岩」にしか出会えない。
天を指さすような変わった形の奇石で、鎌ヶ岳とNo.1を競っているかのようです。



「天差岩」まで来ると山頂まではあとわずか。
途中から舗装された道になり、歩ていくと「長者池 八大龍王」の鳥居が見えてきます。



清水が湧き出ている池があり、八大龍王を祀っていることから雨乞いなどの信仰があったのかと思いきや、長者譚は明治時代の話だという。
山の案内人だった千草村の甚太郎の夢枕に竜神が現れ、どんな病気でもたちどころに治してしまうという霊感を授かり、甚太郎は巨万の富を得たという長者譚とされている。



最後に緩やかながら長い石段を登ると山頂に到着です。
初級者コースにしては急登や岩場続きでしたが、コースタイム通りに登れましたので所要時間が難易度に影響しているような感じがします。



山頂はロープウエイでも登って来れますので観光化されている感じのする場所です。
やたらと立派な山頂標識と一等三角点があり、山頂や県境の看板が幾つも立っていました。





御在所岳も山頂は見晴らしが良く、東西南北の表示の下に“琵琶湖・伊勢湾・伊吹山・鈴鹿峠”の方向を示す看板があります。
伊勢湾方向は逆光方向ではありましたが、四日市の工場や伊勢湾がよく見えておりました。





鈴鹿の山々の奥に伊吹山の山頂部が見える。
伊吹山って遠いなぁの声が聞こえていましたが、伊吹山は滋賀県と岐阜県の境、御在所岳は滋賀県と三重県との境で山系も違いますのでやはり遠いですね。



琵琶湖側が望める「望湖台」がありますので、登ってみます。
大きな岩の上が望湖台になるのですが、霞んでいるので琵琶湖は見えない。





正面に見えるのは「東雨乞岳」と「雨乞岳」でしょうか。
「雨乞岳」は鈴鹿セブンマウンテンにも鈴鹿十座にも選ばれている山ですのでいつか登ってみたい山のひとつです。



最後に「御嶽神社」に参拝して下山することにします。
「御嶽神社」は、木曽の御嶽神社から分霊して1884年に創建した神社とされ、御嶽山蔵王大権現と大日大聖不動明王が御祭神として祀られているという。
冬場は雪に埋もれるであろう神社ですから頑丈な造りとなっていますね。



鈴鹿の山は「竜ヶ岳」「綿向山」「鎌ヶ岳」「御在所岳」に登っただけの初心者ですが、巨石ありザレ場ありで魅力を感じる山が多いと思います。
残る鈴鹿の山は段々と厳しい山になってきますので、次はいつ登れるか未定になります。
おまけは証拠写真しか撮れませんでしたが、ひっこりと姿を見せてくれたアナグマです。




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ながはま寄席 桂宮治×三遊亭わん丈 二人会

2023-06-09 13:00:00 | アート・ライブ・読書
 JR長浜駅の目のと鼻の先にある長浜豊公園の真ん中に「長浜文化芸術会館」があり、ホールでのイベントや展示室では展覧会等が行われています。
今回、文芸会館(通称)ではながはま寄席として「桂宮治×三遊亭わん丈 二人会」が開催され、4つの演目で落語の世界にどっぷりとひたることが出来ました。

噺家さんは上方・江戸を合わせて1000人近くいるとされるそうですが、落語で食える噺家は100人ほどだといわれます。
従って、ほとんどの噺家はよほどの落語ファンでなければ名前を聞いたことのないような噺家ばかりになります。
桂宮治師匠は『笑点』の大喜利メンバーですので知名度が高いとはいえ、大喜利以外で落語を聞く機会はなく、三遊亭わん丈師匠に至っては申し訳ないけど名前を知りませんでした。



演目は桂宮治師匠から始まり、客席の雰囲気を温める意味もあってか毒舌と少し客いじりの枕から「ちりとてちん」の演目が始まる。
「ちりとてちん」は主人公の裏に住む何でも知ったかぶりをする男に腐った豆腐に七味やら何やら混ぜたものを食わせて一泡吹かせる有名な演題ですが、宮治師匠が品悪く演じた爆笑噺でした。



続いて登場したのは滋賀県大津市出身の三遊亭わん丈師匠は、2024年3月から真打に昇進されますが、落語協会では12年ぶり15人抜きでの抜擢真打になるそうです。
最初の演目は「ねずみ」で、奥州仙台の宿場町に訪れた旅人(左甚五郎)が登場する古典落語の演目で、語り口が柔らかく情緒たっぷりに演じられていたのが印象的でした。

15分の仲入り後は、わん丈師匠の「花魁の野望」という創作噺ですが、大岡越前と妻の花魁がお白洲で繰り広げるのですが、演じ分けの見事さやネタの面白さに引き込まれます。
真打制度のことはよく分からないものの、15人抜きの抜擢真打は伊達ではないなぁと思います。(落語協会)
尚、桂宮治師匠も落語芸術協会で29年ぶりの5人抜きでの抜擢真打だったそうです。



トリは桂宮治師匠の「片棒」。
けち一筋で身代を築いた商店の旦那が三人の息子に自分の葬式の出し方を聞いて、誰に跡を継がせるか決めるという噺ですが、派手好き・粋に色っぽく・度が過ぎるケチと兄弟は三様です。

次男・銀次郎のくだりでは音頭を唄い、囃子の篠笛・太鼓・摺鉦を口で演じて、からくり人形を載せた山車や花火を打ち上げて落下傘をつけた位牌を飛ばしたりと荒唐無稽なもの。
和楽器の音色を口でまねて口演で演じ分ける辺りは芸の深さを感じますね。

ところで、長浜では落語会が時々開催されていますが、「白扇落語会」というところが市の文化スポーツ振興事業団と共催されているようです。
白扇落語会は滋賀県長浜で落語の普及活動をされているといいますので、落語を気軽に聞きに行けるのはそのおかげです。
9月には三遊亭わん丈師匠の独演会が開かれるといい、再びわん丈師匠の巧みな噺が楽しめそうです。



ホールでの落語はほぼ1年振りでしたが、前回は桂華紋(桂文華)、笑福亭笑利(笑福亭鶴笑)、桂弥っこ(桂吉弥)、桂九ノ一(桂九雀)の4人の落語会。*()内は師匠
名前も知らなかった噺家とはいえ、その芸にはしっかりとした下地があり、うるさく感じてしまうようなバカ騒ぎ系のお笑いとは一線を画しているように感じました。




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津田山(姨綺耶山・奥島山)の「天之御中主尊磐座」~2つの天之御中主尊の磐座~

2023-06-02 06:00:00 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 西国三十三カ所第31番札所「長命寺」は、琵琶湖畔にある長命寺山の中腹にある聖徳太子の開基と伝わる天台宗系単立の寺院です。
長命寺がある奥津山は現在の地形からは想像しにくいが、かつては琵琶湖最大の島だったといい、昭和の干拓工事によって地続きになったとされます。
西国巡礼は、舟で第30番札所「竹生島 宝厳寺」から参拝し、また舟で渡って第32番札所「繖山 観音正寺」に参拝していたといいますので難所の寺院だったともいえます。

「津田山」には「姨綺耶山」と「奥島山」の別名があり、そのうちの「姨綺耶山(いきやさん)」は長命寺の山号。
「奥島山」とはこの地がかつて琵琶湖最大の島だった奥津島の最高峰だったことによるという。
以前に長命寺山~津田山まで登り「天照大神の石座」や山頂の「天之御中主命」まで行きましたが、実はその先に「天之御中主尊」が祀られているのを知らず、今回改めて登り直しました。



「長命寺」は湖岸から808段の石段の参道を登るのが本来の巡礼ですが、石段の最終部近くまで車で林道を登ることも出来ます。
長命寺山や津田山(姨綺耶山・奥島山)へ登る場合は、駐車場から林道を少し下ったところに登山口がありますのでそこから登山開始となります。



登山道の最初の方には石仏が祀られているエリアがあります。
長命寺の上部へ向かって登っていますし、山は死者が帰る場所と考えると冥途へ向かって歩いて行くような気持にもなります。



ほどなく分岐がありますので「長命寺山」の山頂へ向かって登っていきます。
長命寺山の山頂は周囲が樹木に覆われていますので、景観は望めないので写真だけ撮って折り返して、登山道へ戻ります。



山頂部から先にも道が続いていましたが、どこにつながっているのか分からない道です。
長命寺山の山頂への道は訪れる人が少ないのでしょうか、やや荒れ気味の道になっています。



登山道に戻って津田山を目指しますが、ピークは見えるもののまだまだ遠そうですね。
今回は津田山のピークを越えて休暇村側に下った「天之御中主尊」がピストンの折り返し地点ですので、あの山の向こう側まで行かなければならない。



津田山方面へは少し下ったり登ったりしながら進むことになりますが、シダのよく生えている場所があり、あまり気持ちが良くない。その部分は小走りして駆け抜ける。
長命寺山から津田山への稜線は勾配が少ないので歩きやすいのですが、津田山の山頂への道はきつくなってきます。



岩場が多くなってくると津田山の山頂域に近づいてきているのが感じられるようになる。
個人的には岩場登りがある山を好みますが、湖東・湖南地方には信仰のある巨石がある山が多い。



津田山には少なくとも3つの磐座がありますが、長命寺側から登って最初に出会う磐座は「天照大神の石座」と呼ばれている巨石です。
左にある夫婦岩のような2つの巨石には注連縄が掛けられており、信仰の対象となっている石座であることが分かる。



天岩戸という雰囲気はないものの、山頂には津田山の御神体となる磐座があることから、山頂直下にあるこの石座は神の領域との境の結界なのか、石座自体がご神体なのか。
山頂の磐座を挟んでこの「天照大神の石座」と「天之御中主尊」が密集して祀られているのはなぜなのでしょう。



山頂部には石垣で囲まれた結界の中に「天之御中主命」が祀られ、磐座祭祀場のようになっており、この場所は天祖道という団体がお祀りされているという。
津田山には山頂の「天之御中主命」と山頂を琵琶湖側に下った場所の「天之御中主尊」の2つの天御中主神が祀られています。
元々の信仰の形がよく見えないのですが、この磐座は琵琶湖岸にある「藤ヶ崎龍神」の奥宮という説があるそうなので興味深く感じる。



磐座は正面はなだらかな小山のような姿をしていますが、後部には天に突き刺さるように上に向かって尖った岩もある。
山頂付近にありすぐ手前の祠には供え物も多いため、前回登った時にここが終点と錯覚して引き返してしまったのもやむを得ない。





山頂は祠の祀られた磐座の少し先にあり、山頂表示は「姨綺耶山・津田山・奥島山」の3つの名前が書かれている。
標高は424.5mの低山で、長命寺林道登山口から約1時間の行程です。





山頂から反対方向へ山を下って行って今回の目的であった「天之御中主尊」の磐座に到着する。
木製の表示柱が立てられていて、磐座の前には祭祀に使うような大きな岩が置かれている。



これほどの磐座を今まで見逃していたのはもったいないことをしていたと思いつつ、かつて島だったとされる山に幾つもの磐座が存在していることに不思議さを感じます。
神体山として信仰されていたのは間違いありませんが、同じ神を祀る磐座が2つ存在するのは謎として残ります。



さて、再び登り返して山頂を過ぎると次は山頂西の岩場へと進み、「空奏テラス(そらかな)」という展望スポットに立ち寄って休憩とします。
「空奏テラス」は絶景が見られる場所として人気が高く、訪れた時には巨石の上で料理してランチを楽しんでおられる方々に毎回出会います。



空奏テラスの巨石は最初の段を登って琵琶湖側にせり出した絶壁の上まで行って景色を楽しむことができる。
先端の絶壁は落ちたら最期なので少し怖いですが、平坦な岩の上に腰かけてしまえば絶景の岩場になります。



琵琶湖はほぼ風も波のないべた凪で、沖島が綺麗に見えていました。
素晴らしい絶景スポットとして整備され、訪れる方が多いようですが、ランチタイムなどは混雑するかもしれません。





空奏テラスの正面には比良山系の山々が望め、左手には対岸に比叡山、手前は野洲から守山方向でしょうか。
山頂の「天之御中主命」を奥宮とするとされる「藤ヶ崎龍神」もこの方向かと思います。



これまで“山頂の磐座を見て山頂を踏まず”ということはありましたが、今回は“山頂は踏んだが磐座を見ず”ということでの再登山でした。
山の中腹の長命寺の境内にも信仰される巨石が点在していますので、この山の信仰は巨石への信仰から始まっているのかと感じます。


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