極楽寺参詣を済ませて一部の登山者以外にはあまり知られていない坪井の大池(上池・下池)を探訪した。坪井の大池は農業用水が不足していた佐伯区坪井地区の坪井耕地整理組合が後畑地区より水利権を得て坪井下池(牛池山第一溜池)を築造し、分水嶺の尾根にトンネルを掘って坪井川に流し坪井地区の農業用水とした。その後大干ばつに見舞われたために、下池より少し上流側に坪井上池(牛池山第二溜池)が築造された。
坪井溜池から坪井川までの引水は分水嶺の尾根に折れ曲がったトンネル水路を掘っているのである。下池の取水樋から石積のトンネル口、トンネルはまず倉重川の源流谷に出てそこから鈍角に折れ曲がって再びトンネルで坪井川の源流谷に至っている。花崗岩質の山であり人力での掘削のためと、トンネル水路維持管理のためにこのように折れ曲がったトンネルとしたものであろう。
この溜池は行政区域の違うところに造り、水利権の無いところに設けた珍しい事例である。