バンクーバーから成田へのJAL便で見た映画の感想を述べる。
最初の3本はほぼ完全に見て、そのあとの3本は飛ばしながら見て、最後はちらっと見ただけ。カンタスはチャネルを選択すると、映画はそこから始まるが、JALはあと何分後に始まると表示されて、そのままだと途中から始まる。したがって、多くの映画を見るには飛び飛びで見るしかない。もっとも10時間たらずの時間で6本の映画を見ようというのがもともと無理なのだが。
5ch :憑神(つきがみ):4つ星(満点は5つ星)
物語上手の浅田次郎の原作を次々登場するベテラン俳優が楽しい時代劇コメデイにしている。わざわざ映画館まで行く気はしないが、飛行機の中で見る映画としては極上等。
幕末の波乱の時代に、将来を期待されながら旧友に大きく遅れをとっている下級武士の彦四郎が3人の災いの神様にとりつかれ数々襲い掛かる不幸を暗くならずにあっけらかんと乗り越えていく。最後にかわいらしい死神にとりつかれた逆境の中で武士としての矜持を取り戻す。
監督降旗康雄で、勉強はできたのにボーとして頼りない武士を妻夫木聡が(地で)好演している。ベテランの西田敏行、夏木マリを始め、芸達者な江口洋介、香川照之、佐藤隆太、赤井英和が登場。
7ch :美女はつらいよ(先行上映):3つ星
「白鳥麗子でございます」の鈴木由美子のコミック「カンナさん大成功です!」の韓国での映画化。話の筋はいつものパーターンではあるが、テンポが良いのでついつい見てしまう。
ブスでデブのゴーストシンガーが全身整形手術で誰もが振り替える美人へ変身する。念願の歌手デビューして、それから、ドタバタが始まる。45キロのキム・アジュンが特殊メークで95キロに変身するのが見もの(映画では逆だが)。
整形手術が一般化している韓国ではヒットしたようだ。
3ch :300スリーハンドレッド:3つ星
古代ギリシャの歴史家ヘロドトスによるテルモビュライの戦いを題材にしたフランク・ミラーの人気グラフィック・ノベル(大人向け長編アメリカン・コミック)の映画化。どこかで見たことがあるような気がする。
子供のころから鍛えぬいたスパルタの兵士が、王レオニダスのもとで、奇策を駆使し、最後は肉弾戦で、クセルクセス率いるペルシャの大軍に挑む。凄惨な場面も多いが、CGとの合成による戦闘シーンは見所である。単純に戦いの画面を楽しむ映画。
8ch :ブラックブック:3つ星
ナチス占領下のオランダでドイツ軍に家族を殺されたユダヤ人歌手のラヘルはレジスタンスに加わり、スパイとしてドイツ軍に潜入する。ドイツ人将校ムンツェに接近するが彼に心を動かしてしまう。レジスタンス内に裏切り者がいることがわかり、・・・・。
筋立てはどこにでもあるものだが、可憐で美くしく、かつ毅然としたヒロインのカリス・ファン・ハウテンが魅力的。
14ch :ユー・ガット・メール:2つ星
母親の代から続く小さな絵本の店を経営しているメグ・ライアンと、大書店をもつ大会社の御曹司トム・ハンクスが、ハンドル名を用いてインターネットの中で話を深めていくラブ・ストーリー。1940年製作の映画のリメイクで、文通をe-mailにしたという。
なんで最後に許してしまうのか理解できないが、ラブ・ストーリーに文句をいう資格もないし、メグ・ライアンなら許しちゃうか。
2ch :The Number 23 (先行上映):2つ星
平凡な男が古本屋で自分の過去を記したような奇妙な本を見つけ、自身の人生には常に「23」という数字が密接に結びついているという妄想にとりつかれ、精神的に追い詰められてゆくというサスペンス。もともとサスペンスは、ばかばかしい設定のものが多いので私は好きでない。コメディ役でおなじみの主人公ジム・キャリーの迫真の演技にもついていけず、最初と最後しか見なかった。
6ch :ディープ・ブルー:4つ星
海に住む生き物たちの営みを撮ったBBC製作の海洋ドキュメンタリー。いわしの大きな群れに襲い掛かるマグロや鳥、マッコウ・クジラの子供を6時間も追い回して殺し、あごなどわずかしか食べないで去るシャチ。厳しい自然の中の残酷に見えるシーンも多いが、美しい映像にベルリン・フィルの音楽が深みを与えている。