待望の綿矢りさの芥川賞受賞後第一作「夢を与える」を半年遅れで読んだ。
幼いころからCMモデルとなり着実に芸能界へ進出した美しくすこやかな夕子が、ブレイクし、そして…。
ともかく、ていねいな記述ではあるが、平凡な想定内の物語である。前二作にあった瑞々しい感性による心理描写はみられない。若いのにかなり意識的にポイントを意識して冴えを見せ、話を構成する小説上手と見たが、この延々とつづく愚鈍さはわざとなのか。
私にとって小説というのは、魅力的な人物の登場、予想外の展開や、作者の作る虚構の世界に引きずり込む筆致などによって楽しませてくれるものだ。
ところどころ、難しいと言われる三人称での記述があるが、とても成功しているとは思えない。
まだまだ若い綿矢りさが大転換し、第四作で私たちをびっくりさせてくれる可能性は少ないような気がしてきた。全体が鈍重で、こまかい情景描写だけが精細のこの小説を読むと、彼女の才能を生かすには、すくなくとも当分は短編小説に専念した方が良いのではなどと、素人にくせに思ってしまう。
幼いころからCMモデルとなり着実に芸能界へ進出した美しくすこやかな夕子が、ブレイクし、そして…。
ともかく、ていねいな記述ではあるが、平凡な想定内の物語である。前二作にあった瑞々しい感性による心理描写はみられない。若いのにかなり意識的にポイントを意識して冴えを見せ、話を構成する小説上手と見たが、この延々とつづく愚鈍さはわざとなのか。
私にとって小説というのは、魅力的な人物の登場、予想外の展開や、作者の作る虚構の世界に引きずり込む筆致などによって楽しませてくれるものだ。
ところどころ、難しいと言われる三人称での記述があるが、とても成功しているとは思えない。
まだまだ若い綿矢りさが大転換し、第四作で私たちをびっくりさせてくれる可能性は少ないような気がしてきた。全体が鈍重で、こまかい情景描写だけが精細のこの小説を読むと、彼女の才能を生かすには、すくなくとも当分は短編小説に専念した方が良いのではなどと、素人にくせに思ってしまう。