白河三兎著『角のないケシゴムは嘘を消せない(講談社NOVELS、Y960、2011年1月5日講談社発行)を読んだ。
隣を歩いていたら消失しまった彼氏を探しに東京に来た19歳の妹の有田琴里(コトリ)が頼ったのは兄信彦。しかし、彼は妻加奈子と離婚後、突然透明人間の女性と暮らしている。信彦は名前を呼ぶのを聞かれても猫と間違えるようにタマと呼ぶことにした。「MONO消し」の妹と「TOMBOW」の兄の視点で交互に展開され、透明人間の謎と消えた彼氏を探っていく。
ミステリーなので粗筋は書けないが、信彦、琴里を始め、信彦の元妻の加奈子、息子の悟、透明な女性タマ、タマを捜す謎の組織とメタボ親父・ミロ、琴里と友達になる少年白馬などが登場する。
白河三兎(しらかわ・みと)
2009年「プールの底に眠る」でメフィスト賞を受賞しデビュー
2011年、本書『角のないケシゴムは嘘を消せない』
2014年、本書を改題(「ケシゴムは嘘を消せない」)し、大幅に書き直し、講談社文庫化(1月 講談社ノベルス)
2012年『私を知らないで』
2013年『君のために今は回る』、『もしもし、還る。』
2014年『神様は勝たせない』、『総理大臣暗殺クラブ』
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
触れた物を透明にできる女性がいて、透明な人・物を見ることができる男がいる。なにやら複雑な仕組みで、最初に説明してくれないから、筋が分かりにくい。大幅に書き直したという講談社文庫を読む方が良い。
登場人物のキャラは良く書けている。何事にも冷静で距離を置く加奈子が面白い。