hiyamizu's blog

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上野千鶴子、水無田気流『非婚ですがそれが何か』を読む

2016年02月08日 | 読書2

 

 

上野千鶴子、水無田気流著『非婚ですがそれが何か 結婚リスク時代を生きる』(2015年9月1日ビジネス社発行)を読んだ。

 

「はじめに」で上野さんはこう始める。

猫も杓子も結婚する「全員結婚時代」は終わった・・・ふりかえれば、あれは一過性の異常な時代だったと、後世の人はいうだろう。

若い男女が結婚しない・・・それが何か?

社会が若い男女の結婚に関心を持つのは、実のところ子どもを生産んでほしいからだ。日本では結婚と出産がつよく連動しているために、結婚すれば子どもを産んでくれる。

 

 

日本人は今なお結婚へのこだわりが強いが、一方では、「結婚離れ」も指摘される。
生涯未婚率は上昇の一途で、男性の3人に1人、女性の4人に1人が一生独身の社会となる。
介護に必要な人が増えるのに、既存の「結婚を前提とした社会」では対処が困難だ。

これらの観点から、
1、結婚をリスク視する若年男性
2、女性の今なお高い結婚への期待値というリスク
3、誰もが結婚することを前提として設計された社会の抱えるリスク
の三点を軸に、ベテラン社会学者で団塊の世代の上野千鶴子と、気鋭の社会学者・詩人、団塊ジュニアで子育て中の水無田気流が対談し、考察する。

 

結婚願望は低下していないが、婚姻率は下がっている

合理的選択・高所得者の男にとって家族はコスト。

 

日本では親のインフラを利用することが可能で(パラサイト・シングル)、同棲率は増加しなかった。

 

日本の社会保障は世帯単位であり、シングルに対応していない。

 

医学部の学生の4割が女子。司法試験でも女子の合格率が3割以上。

 

上野:・・・とくに子どもの乳幼児期は一番過酷な時期でしょう。その過酷な時期に自分に手も足も貸してくれなかった夫に、妻は一生恨みを溜めますよ。その後の女たちの行動を見ると、「あのとき、あなたは」って言い続けるわけ。一生許さないからね。・・・

どうやら彼女たちの中にあるのは、夫が負け組になることを自分のプライドが許さないということのよう。・・・

 

水無田:・・・電車の中で、わたしのすぐ近くに中高年の女性三人組がおしゃべりをしていた。・・・「あそこの旦那さん、定年退職直後に亡くなったんですって」。「まあ!」って言うから、「お気の毒に」と返ってくるのかと思ったら、「うらやましいわ」。「理想的」とか言っている女性もすごかった。

 

水無田:・・・本当に女性が輝く社会ではなくて、女性がギラギラしないといけない社会を目指しているのか、と言いたいくらいに。

 

上野千鶴子の略歴と既読本リスト

 

 


水無田気流(みなした・きりう)
1970年、神奈川県生まれ。詩人、社会学者。

早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。

詩人として『音速平和』で中原中也賞、『Z境』で晩翠賞を受賞。

著書に『シングルマザーの貧困』『無頼化した女たち』『「居場所」のない男、「時間」がない女』など。

 

 

 

 

 

本書の構成

第一章 非婚時代
非婚という烙印 / 結婚願望は低下していないが、婚姻率は下がっている / 確信犯的シングルの増加/ 一生結婚できないという女子大生の不安など

第二章 シングル社会と少子化を迎えて
保守的な家族観をもっている先進国ほど少子化は進む / 日本の男は世界一孤独 / 父親に期待せず、祖母を当てにする育児など

第三章 非婚時代の家族の肖像・親子関係の真実
結婚させたかったら、兵糧攻めにせよ / 非婚、少子化で困るのは財界だけ / 社畜と家畜の結婚生活など

第四章 オス負け犬と女子文化の爛熟
専業主婦という上流階級 / オス負け犬という悲惨な存在 / 男の病は、モテればすべて解決!? など

第五章 非婚時代のセクシュアリティ
離婚の損得勘定など

第六章 非婚時代をどう生きるか

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