今野敏著『エムエス 継続捜査ゼミ2』(講談社文庫こ・25・23、2021年10月15日講談社発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
学園祭でのミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶(たかぎ・あきら)がキャンパスで襲撃された。警察は、直前まで高樹と議論をしていた小早川(こばやかわ)教授を傷害容疑で任意同行、厳しい取り調べを行う。教授を救うため「継続捜査ゼミ」の5人が、暴走する警官を相手に戦いを開始! 女子大を舞台にした人気シリーズ第2弾‼
『継続捜査ゼミ』の続編。
11月2日の学園祭「三女祭」に向けた準備で大学の動きが激しくなるなか、目玉であるミスコンへの反対運動も盛んになっていた。反対運動のリーダー・高樹は小早川と教授室で議論し、教授館の外に出た直後に、後ろから頭部を強打される事件が起きた。駆けつけた目黒署の大滝は小早川を署へ任意同行し激しく自供を迫る。ゼミの5名の女子大生が小早川の疑いを晴らそうと活動を始める。
登場人物
小早川(こばやかわ)教授:64歳。特命捜査対策班に所属元刑事で、警察学校校長を最後に退官。三宿(みしゅく)女子大学で未解決事件を取り上げる「刑事政策演習ゼミ」、別名「継続捜査ゼミ」を担当。ゼミ生は5名。
瀬戸麻由美:身長165㎝。栗色の長い髪が美しく、露出度が高い服装を着て、胸が刺激的。ガールズバーでアルバイト。
安達蘭子:170㎝でショートカットの細身。常にパンツ姿。刑法などに詳しい。バレーボールサークル。
戸田蓮(れん):155㎝と小柄。ボブ(おかっぱ)で控えめ。茶道部。
加藤梓:160㎝。セミロングの髪で、知的な印象。ゼミのリーダー的。
西野楓(かえで):159㎝。長いストレートな黒髪。大東(だいとう)流合気柔術と直心影(じきしんかげ)流薙刀(なぎなた)を使う武道家。
高樹晶:ミスコン反対派のリーダー。
谷原沙也加:女子アナ志望。ミスコンの優勝候補。ストーカーに悩む。
原田郁子:三宿女子大学長。小早川の幼馴染。
安斎幸助:目黒署の刑事総務係。28歳。独身。ゼミにオブザーバーとして参加。
大滝:目黒署の強行犯係長。
保科:警視庁捜査一課特命捜査対策室係長。部下は丸山と溝口。
本書は2020年10月に講談社ノベルスとして刊行されたものの文庫化。
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)
女子大生が多く登場するので華やかで気分が良い。だれがだれだか区別がつかないけど。大滝係長がなぜ小早川にあれほど厳しくあたるのかが最後まで納得できなかった。
謎自体はたいしたことないが、「いいじゃないですか、そんなこと」という感じ。
著者の今野敏氏は典型的「おじさん」に見えるのだが、本作の舞台は女子大で、活躍するのは5人の華やかな女子大生だ。関口苑生氏の解説によると、著者は
「とにかく俺の小説は男ばっかりで女性が出てこないと常々批判を受けていまして、じゃあちょっと女だらけの小説を書いてみようかと、女性を出せば簡単にドラマになるんじゃないかとい邪(よこしま)な気持ちもあって(笑い)」と語ったという。
舞台は三宿女子大で、おそらくモデルは昭和女子大で、タイトルの「エムエス」はミス三宿の「三宿」を略したのではないかと関口氏は書いている。そういえば、三宿、三軒茶屋のあたりに昭和女子大があった。
私が2019年に東京女子大で見つけて驚いたミスコンの看板。
この時のブログに「女子大でもミスコンってある? 今どき。」と書いた。
メモ
起訴された被疑者の有罪率は99.9%だと言われる。ただし、大雑把に言うと、逮捕者の起訴率は半分くらい。覚醒刺取締法違反は約8割、詐欺が5割、傷害や窃盗は4割、殺人は約3割。(p24~25)