酒井順子著『世渡り作法術』(集英社文庫さ21-4,2001年5月25日集英社発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
たとえばこんな時――女友達と海外旅行に行きますか? デートのとき携帯電話の電源を切りますか? 友達の子供がブサイクだったらどうしますか? またはこんな場で――エコノミークラスで隣の人と会話しますか? オープンカフェではどこに座りますか? 車の助手席で眠れますか?
今さら聞けない、誰も教えてくれない、イマドキの微妙なお作法を教授する、思わずニヤリの新・マナーブック。
はじめに
子供の時にはマナー教育を受けるが、大人同士の関係の中では他人のマナー違反を指摘することはほとんどなくなる。
この本は、“ありがちな割には、どのようなマナーで臨めばよいか、未だ解明されていない“という状況・場面を選び、極私的なマナー解説をしてみたものです。
世渡り作法<その一>シチュエーション篇
女友達と海外旅行に行きますか?
旅先で女友達と喧嘩になる「不一致感」:食欲の不一致/体力の不一致/物欲の不一致/語学能力の不一致/生活感の不一致/マナーの不一致
以下略。
世渡り作法<その二>エリア篇
深夜のコンビニに立ち寄りますか?
…
正月に夫の実家に行きますか?
この作品は1998年8月、集英社より刊行された。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの? 最大は五つ星)
身近な社会現象を扱うのに巧みな著者も、時代の流れの速さには負けて、ずれが目立つ。なにしろ2001年発行の本なのだ。携帯電話は既に使われていたが、使い方は大分違い、したがって著者の語る当時のマナーは今とは大きく異なっている。このあたりのことは、「あとがき」で著者自身が書いている。
それにしても、いろいろ心遣いを要求される女性は、とくに「嫁」は大変だと思う。姑に比べ嫁の立場が強くなってきた昨今だが、強気にはねつけても、やはりストレスは溜まるだろう。夫としては……??
酒井さんの提案する対策案も妙案があるわけなく、常識の範囲に止まっている。
静かなフランス映画を見ながら食べられる音がしない食べ物として両口屋是清の落雁、「二人静」が紹介されているが(p157)、振り仮名が「ふたりしずか」になっている。正解は「ににんしずか」。