hiyamizu's blog

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櫻木みわ『コークスが燃えている』を読む

2023年02月09日 | 読書2

 

櫻木みわ著『コークスが燃えている』(2022年6月10日集英社発行)を読んだ。

 

集英社文芸ステーションのインタビュー冒頭にはこうある。

非正規で新聞社の校閲の仕事をしている主人公・ひの子は、思わぬ妊娠を経て、ひとり親として育てる決意をするが、年下の恋人とは別れており、40歳を目前に戸惑う。さらにコロナ禍で対峙する様々な困難――その日々をかつて育った炭鉱町で労働を担った女たちに心を寄せつつ、周囲の女性たちと連帯し乗り越えた先にまた絆が生まれる。静かだが、苛烈な炎を熾(おこ)すがごとき物語が生まれた背景を著者に伺った。

上記インタビューで、著者は、40歳の頃に妊娠して一人で産もうとして流産した経験が本書に投影されていると語っている。

 

 

ひの子:39歳。契約社員。小説を1冊出版。弟は医師の立央(たお)。

春生:ひの子の13歳年下の元カレ。

沙穂:シングルマザーの看護師。一時期、立央と付合っていた。息子はコウタ。

有里子:ひの子の友人。シングルマザー。けやき書店経営。

 

 

初出:「ずばる」2021年4月号

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

春生をあきらめきれないのに、自分から動くこともできないひの子。一回り以上年上の39歳ではどうみても無理筋。何もしないで未練が続く展開に、読んでいて気分が乗らない。

一方で、思い切った生き方をする沙穂がオモロイ。実際に付合うのはごめんだが。

「あたし、セックスはまあまあ好みくらいの男だったらしますけど、結婚はすきな男じゃないとしないって決めてるんです。……努力しないと悲惨なことになる、それが結婚なんだって。その努力って、すきな相手じゃないと無理じゃないですか?」(p32)

「…あたしは立央くんのこと、まったくひきずってないですよ。…やれるだけのことをやったからですよ。まちがってたかもしれないけど、やれるだけのことはやった」(p37)

 

シングルマザーは既に医院での妊娠検査の時点から困難な壁があることがわかった。幼子を抱えるシングルマザーに敬意を!

 

 

櫻木みわ(さくらき・みわ)

1978年福岡県生まれ。早稲田大学卒後、タイの出版社勤務し、その後東ティモール、フランス、インドネシアなどに滞在。フランス人と結婚して日本で暮らしたことがある。(Wikipedia)

2018年、作品集『うつくしい繭』で単行本デビュー。
2022年、『コークスが燃えている』、『カサンドラのティータイム』

 

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