hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

高沢謙二『図解 動脈硬化を予防する!最新治療と正しい知識』を読む

2015年08月06日 | 読書2

 

高沢謙二監修『図解 動脈硬化を予防する!最新治療と正しい知識』(2015年6月10日日東書院本社発行)を読んだ。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

動脈硬化について一般人に必要なことすべてが解説されている。右ページに10行程度の文章、左ページに絵・マンガ・箇条書きなどで要領良く、解りやすく説明されている。

メカニズムなどの話は多少ややこしいので、私のように飛ばし読みしても差支えないだろう。

 

 

以下、私のメモ

 

序章 動脈硬化とは、血管の病気

第1章 知らないと怖い血管の話
・体中に張り巡らされている血管はつなぎ合わせると地球2周半(約10万km)

・血管年齢が分かる「加速度脈波計」がある。

・脂質や糖質のとりすぎが、血管を傷つけて老化を進める。

 

第2章 血管と動脈硬化のメカニズム

高LDLコレステロール血症: LDL(悪玉)140mg/dl以上

低HDLコレステロール血症: HDL(善玉)  40mg/dl未満

高中性脂肪血症:トリグリセライド150mg/dl以上     


第3章 動脈硬化が引き起こす怖い病気

狭心症・心筋梗塞の前触れ

突然の激しい胸痛、継続的な動悸を繰り返す/左肩の痛み/左小指の痛み/奥歯の痛み/耳からあごにかけての痛み(顔が引きつる)/吐き気・嘔吐/冷や汗

 

脳卒中の前触れ

手足に力が入らない/これまでにない激しい痛みが突然起こる/顔、手脚、体の片側がしびれる/ろれつが回らない、言葉が一瞬でてこない/相手の話をよく理解できない/片側に視野が一時的に真っ暗になる/物が二重に見える/ふらついて立てない、歩けない

第4章 動脈硬化の検査と診断、最新治療

第5章 動脈硬化は、この生活習慣で予防・改善する

 

野菜中心・野菜優先、腹八分の食事/週2回、一日20分のウォーキング/良質な睡眠/禁煙/ストレスをためない

青魚、えごま油でEPAをとろう

就寝前と起床時にコップ一杯の水

ふくらはぎの筋肉の収縮(ミルキングアクション)で全身の血液循環が活性化

 

 

高沢謙二(たかざわ・けんじ)

東京医科大学病院健診予防医学センター長。東京医科大学教授。

1952年生れ。東京医科大学卒業。

著書『ぐうたらでも血圧がグングン下がる50の方法』『100歳まで切れない詰まらないタフな血管をつくる! 』『「やわらかい血管」で病気にならない 血管博士が教える体の中からよみがえる方法』

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柴崎友香『虹色と幸運』を読む

2015年08月04日 | 読書2

 

柴崎友香著『虹色と幸運』(ちくま文庫し49-1、2015年4月10日筑摩書房発行)を読んだ。

 

学生時代の同級生、アラサー女性3人の1年。大人になっているのに、なった気がしない、ありふれたそれぞれの日常をシンプルに繊細につづる。

 

美大出身だが、大学職員になった「かおり」は、まじめで仕事もできるが、母親に隠れて年下の劇団員の男性と同棲中。

 

かおりと美大の同級生で、雑誌にイラストなどが載るようになったイラストレーターの珠子は、「好きなことが仕事になっていいですね」と言われるが、家暮らしで、母親とのコミュニケーションに問題がある。

7年前にふられた森野新太が心に残る。珠子は、

祖母や母が「男運が悪い」のと違ってわたしの「男運」は単に「ない」のかも、と思う。

 

2人は3月の土曜日、3人の子育てしながら雑貨店を開いたかおりの高校の同級生の夏美に会いに行った。

3人の子供が保育園に行っている時、夏美は暇だなー、と思う。

常に子どものことに気を取られ、今やること次にやることそのあとやることを考え、考えた端から子どもたちによって変更を余儀なくされ、とにかく動き回っていた。・・・

夏美は冷蔵庫にあった物を思い出しながら、メモを書き始めた。子どもが一人もいなかったときに毎日何をして過ごしていたのか、うまく思い出せないな、と思いながら。

 

幼馴染で出戻りの光絵は、珠子が森野と再会したのに彼女がいるかどうかさえ聞けないのにいらだつ。直接聞いて「いない」と確かめて珠子に言う。

「ね、簡単じゃん。わたしたち、もう最短距離で行くしかないと思うよ。失恋したって、三日で立ち直ればいいの。わたしが酒でも旅行でもなんでもつき合ったげるから」

 

 

人物相関図が巻末にある。

 

単行本は2011年7月刊行。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

30歳を過ぎた女性3人の日常がたんたんと語られるが、その中で微細な観察から、各々の心の動きが抽出される。細やかな話が続くので、大雑把な私にはじれったいが、心理描写が好きな女性には面白いかも。

 

 

主人公が入れ替わり立ち替わりし、中には数行で変わる場合もある。しかも、三人称で語られるので、書き分けるのは難しかったと思えるが、混同することなく簡単に読める。さすが芥川賞作家。

 

 

珠子とかおりについてはその心理が良く書けているのに、3人の子持ち主婦の夏美については、行動の記述だけで、心の動きがくみ取れない。実際そんなものなのか、それとも主婦は著者の苦手分野なのだろうか?

 

 

読者に「そうそう」と思わせ、惹きつける著者の小技をいくつかご紹介。

 

・・・そもそも長い間保育園というものに縁がない生活を送っているので、ころころした子どもたちを取り囲む四人(保育士)が全員若いことにも感心した。(あんな女の子が!とあきれるが、ちゃんとした保育士なんですよね)

 

かおりはいいよいいよ、と言いながら、学生の時もそのあとも珠子はこういうことがしょっちゅうあった、と思い出していた。一時間、二時間の大きな遅刻はしないけど、きっちり到着することはめったになかった。(こんな人、いるいる。友人のだれかは書かないけど。)

 

準之助の裾のすり切れたジーンズから出ている足は裸足だった。脱いだ靴下が後方に転がっている。何度注意しても無駄なので、一緒に住み始めて二ヶ月であきらめた。(40年経過してもまだあきらめない人もいる)

 

呼吸が荒くなってきたかおりの目の前に、ハイヒールの足がずっと見えていた。豹柄のヒールは、十センチ近くありそうだった。ペースも姿勢もまったく乱れることなく、豹柄ヒールが同じリズムで会談を上がっていく。見上げると、足首もふくらはぎも筋肉のメリハリがあって、その上のタイトスカートの腰もしっかりくびれている。・・・自分よりかなり年上ではないかと、かおりは予想した。(女の人って、他の人を見てないようでしっかり見てますよね)

 

腕だけでなく、ショートパンツにサンダルだから足もほとんど露出していた。たれ目ふうにアイメイクをしたかわいらしい顔立ちの子だったが、こういうタイプって実は気が強そうだなー、と珠子は勝手な思い込みを持って、彼女にレースでもこもこした鞄や花柄のカチューシャなどの・・・。(女性は同性に厳しい)

 

「あちらにいらっしゃるのが、麻布でギャラリーされてる方なんだけど、今度そこでも個展の話をいただいてるの」

ああ、この感じ!と珠子とかおりはほとんど同時に思った。青木茉莉香って、こういう子だった。人脈を自慢するときに出る取りつくろった敬語、なつかしいー、・・・。(観察が細かい)

 

他人の幸運はくっきりとよく見えるけど、自分の幸運はもやにつつまれたように、いやもっと濃い、雲の中にいるように、手さぐりで確かめるしかなくて、そこにあるのに、すぐに見えなくなってしまうのかもしれない。(去ってから気づくのが日常的な幸福でしょう)

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土屋惠一郎『世阿弥 風姿花伝』を読む

2015年08月02日 | 読書2

 

土屋惠一郎著『世阿弥 風姿花伝』(NHK「100分de名著」2015年2月20日発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

花と、面白きと、めづらしきと、これ三つは同じ心なり――。室町時代、能の大成者として以後の日本の芸能に大きな影響を与えた世阿弥。彼の遺した言葉は、能役者のための演技論にとどまらず、芸術という市場、そして人生という舞台を勝ち抜くための戦略論でもあった。「秘すれば花」「初心忘るべからず」「離見の見」など代表的金言を読み解きながら、試練に打ち克ち、自己を更新しつづける生き方の奥義を学ぶ。

 

室町時代に能を大成した世阿弥が書いた秘伝の書『風姿花伝』。当時、能は「立ち合い」という流派間の闘いの場でもあり、『風姿花伝』は秘本となっていた。

世阿弥は12歳で足利義満の寵愛を受け、70歳の時、御所で最後の演能を行った。2年後、足利義教によって佐渡島に流され、81歳で亡くなったと云われる。

 

「初心忘るべからず」

『花鏡(かきょう)』という伝書に書かれている言葉の意味は、「最初の志」に限らず、若い時の初心、人生時々の初心、老後の初心を忘れてはならないということ。

世阿弥の言う「初心」とは、今までに体験したことのない新しい事態に対応する時の方法、あるいは試練を乗り越えていく時の戦略や心がまえだと言えるでしょう。

 

「かるがると機を持ちて」(花鏡)

この時代には、宴会に呼ばれて能を演じることもあった。既にお酒が入っている人々はもう「序」の段階ではなく、「破」か「急」の段階にある。こんな時、能楽師は着いたばかりでも自分の気分を軽々と引き立ててリズムを作らなければいけない。

 

「男時・女時(おどきめどき)

勝負にはよい時と悪い時がめぐってくる。相手に勢いの波が行っているときには、負けても気にせず、大きな勝負に備える。「女時」にいたずらに勝ちに行っても勝てない。「男時」を待って、そこで自分の得意芸を出し、一気に勝ちに行く。

 

 

「離見の見(りけんのけん)

見所(観客席)から見る自分の姿を常に意識せよ。我見ではなく離見で見た時に初めて、本当の自分の姿を見極めることができる。

「目前心後(もくぜんしんご)」とは、目は前を見ているが、心は後ろに置いておけ。

 

「秘すれば花」

立合に勝ち、人気を獲得するための戦術。毎回舞台で見せてしまっては、「花」ではなくなる。「新しい」「珍しい」芸だからこそ、それは「花」となり、勝負相手や観客を圧倒できる。

 

 

土屋惠一郎(つちや・けいいちろう)

1946年東京都生まれ。明治大学法学部教授。専攻は法哲学。

能を中心とした演劇研究・上演の「橋の会」を立ち上げた。

著書、『能』(芸術選奨新人賞受賞)、『世阿弥の言葉』など。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

能や世阿弥について、学校の教科書程度のことしか知らない人(私)の入門書としては解りやすく四つ星だ。しかし、しっかり読むと、すぐ疑問が湧いてきて、中途半端だと思えてくる。その意味では“良い入門書”なのかも知れないが、物足りない。

「何で法学部教授が」とも思う。

 

 

 

 

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