大久保公裕著『花粉症は治せる! 舌下(ぜっか)免疫療法がわかる本』(2014年1月10日日本経済新聞出版社発行)を読んだ。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
新書版で要領よくまとめてあるので、舌下免疫療法の基本的なことは一通りわかる。
しかし、私自身は、鼻過敏症であり、舌下免疫療法は効果ないとわかったので、無意味だった。というか、鼻過敏症であることがはっきりしたので、まあ、最低限の効用はあったというべきか。
以下、メモ。
花粉症の仕組み
花粉の中のアレルギーの原因となる抗原・アレルゲン(たんぱく質)が鼻の粘膜に浸透する。
外界の異物を認識する細胞・マクロファージがアレルゲンを捕まえ、毎年繰り返していると一部の人では「排除すべき外敵」と判断するようになる。
やがて、免疫細胞のB細胞は花粉を見つけ出して退治するセンサーであるIgE抗体を作りだす。
このアレルギー反応の誤動作を「感作(かんさ)」という。
スギ花粉の抗原がIgE抗体と結合すると、粘膜において異物を攻撃する肥満細胞(いやな名前!)を活性化してヒスタミンなどを放出する。
この結果、粘膜は大量に分泌物(鼻水)をつくり、花粉を洗い流そうとする。毛細血管は拡張し、粘膜が腫れ、鼻づまりする。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法
精製されたアレルゲンを希釈した液剤を毎日、少量舌下にたらし、その量を少しずつ増やしていく。少なくとも2年かかるが、自宅で行える。
健康保険が適用される。
症状が出る少なくとも3か月前から治療を開始する。
個人の体質の差を考慮しながら行う治療法。
効果
80%の人の症状がなくなったり、大幅改善したりするが、10%の人には効果がない。
効果が少ない人は、花粉以外の要素で症状が出る人で、スギ花粉がきっかけで、鼻粘膜が過敏になり、いろいろな刺激で症状が出てしまう人だ。
つまり、この療法は、スギ花粉に特異的な反応が強い人に対する治療なのだ。
鼻過敏症(舌下免疫療法が効かない人)
家にいると鼻水がひどいが、外出すると(花粉がより多いのに)そうでもない。(私の典型的症状)
「モーニングアタック」朝起きたとき(夜は花粉は多くないのに)に、立て続けにくしゃみが出て、鼻水が止まらない症状。(これも私の典型的症状)
花粉症などがもともとの原因だが、自律神経異常による鼻過敏症となってしまっている。
鼻うがいの方法
20度から30度の水、500mlに小さじすりきり1杯弱の食塩を溶かして、ペットボトルの口まで注ぎ、鼻の穴にあて、リラックスして「あー」と声を出しながら、鼻に流し込むと、自然にのどへ流れていく。
スギ林
スギ花粉は2050年にピークとなり、100年後にはなる。
大久保公裕(おおくぼ・きみひろ)
日本医科大学耳鼻咽喉科部長、教授、日本アレルギー学会常務理事、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会理事
1959年生まれ。84年日本医科大学卒。88年同大学大学院(耳鼻咽喉科)修了。
米国立衛生研究所(NIH)に留学後、93年より日本医科大学医学部講師、准教授を経て2010年より教授。
花粉症治療、特に舌下免疫療法の研究・治療にあたっている。