金井真紀・文と絵『世界はフムフムで満ちている 達人観察図鑑』(2015年5月9日皓星社(こうせいしゃ)発行)を読む
年間100人以上を取材するという著者が、仕事の達人88人から聞き取ったエピソード集。お笑い芸人や牛飼い、振付師など仕事のジャンルは様々。
いわゆるインタビュー記事ではなく、相手の名前もプロフィルも紹介されず、ただ著者が達人と感じて切り取ったある面だけが述べられ、イラストが添えられる。
ヴィオラ奏者
どこのクラスにも、なんとなく華やかで、自己主張が強いタイプっていますよね。そういう子がヴァイオリンに向いているんです。・・・ヴィオラはね、えーっと、受け止め役。地味にみんなを調整するタイプ、ですね。表立ってメロディを弾かないぶん、自分の持ち味がだせるオイシイ楽器で。ふふ」
映画の背景画家
「マジックアワーの空を描いてくれ」という三谷幸喜の注文は、それでもマシなほうだった。
「これから殺人事件が起こる、という空を描いてくれ」市川崑はそう言った。
緊縛師
他人に一糸まとわぬ姿をさらし、縛り上げられることで日々武装して世間と向き合っている心は解放される。(縄は茹でてから使う)
刑事ドラマの小道具
ドラマで使う警察手帳、拳銃、警棒などはもちろんニセモノだが、本物そっくりにつくってあるので所轄の警察署に申請する必要がある。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
「変な商売があるな」とは思ったが、達人らしい深いお言葉はくみ取れなかった。
金井真紀(かない・まき)
うずまき堂代表(部下は猫2匹)。ライター、イラストレーター、放送作家、酒場のママ。
任務は「人に会って、おもしろがること」および「この世の断片を拾って、伝えること」。1年間で取材する人、100人以上。耳のそうじ、200回以上。お酒を飲む日、300日以上。