hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』を読む

2024年04月13日 | 読書2

 

永井紗耶子『木挽町(こびきちょう)のあだ討ち』(2023年1月20日新潮社発行)を読んだ。

 

新潮社の内容紹介

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙は多くの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者という侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。現代人の心を揺さぶり勇気づける令和の革命的傑作誕生!

 

第169回直木賞受賞、第36回山本周五郎賞受賞

 

「鬼笑巷談帖」

第一幕から終幕までの6幕に先立ち、「木挽町の仇討」の概要1枚が「鬼笑巷談帖」としてまず語られる。

1月31日、辺りが暗くなった頃、木挽町芝居小屋の裏手で一件の仇討ちがあった。雪の降る中、赤い振袖を被り、傘を差したまだ元服前の美しい若衆。大柄な博徒が女と見間違えて声を掛けた。若衆が、振袖を投げつけて、白装束となる。
「我こそは伊納清左衛門が一子、菊之助。その方、作兵衛こそ我が父の仇。いざ尋常に勝負」
堂々たる真剣勝負の決闘。ついに作兵衛の首級(しるし)を上げた菊之助、野次馬をかき分けて宵闇に姿を消した。
この一件、巷間にて「木挽町の仇討」と呼ばれる。

 

第一幕 芝居茶屋の場

それから2年。菊之助の知り合いを名乗る18歳の若い武士が木挽町を訪れた。彼は仇討ちの現場にいた芝居関係者を訪ねては、当時の話を聞かせてほしいと頼む。彼らは自分が見た仇討ちの様子を説明するが、すでに決着した一件の、いったい何をこの武士は知ろうとしているのか?

 

まずは、呼び込みの木戸芸者の一八(いっぱち)が仇討の様子を語る。

一八は、江戸の悪所のことは全くわからない若い武士に、芝居小屋や、吉原遊郭の説明をする。そして一八の来し方を問われ、女郎の子として生まれ、花街で育ち、太鼓持ち、男芸者とも呼ばれる幇間(ほうかん)になる。しかし、一八は、心の底にある嫌悪が邪魔して真の幇間にはなり切れなかった。縁あって台詞、節、音を覚えるのが得意な点を見込まれて木戸芸者という天職を見つける。
そして菊之助と出会い、当面黒子として芝居小屋で働けるようにしてやった。

 

第二幕 稽古場の場

次に若き武士は、剣の腕で身を立てるつもりだったのに役者に振りを付ける立師になってしまった与三郎を訪ねる。与三郎は菊之助にも剣の指南をした話から、武士ながら悪所に落ちた自らの身の上話を語る。

尾上松助は、

「手前ども役者は、河原乞食だの人外だのと言われ……その一方で、ご贔屓下さる皆々様からは、神仏の如く崇められ、手前で手前が何者なのか分からなくなっちまう時があります。だからこそ、肚(はら)を据えてかからねえと、あっという間に世間の声に振り回されて堕ちちまう」

「忠という字は心の中って書くでしょう。心の真ん中から溢れるもんを、人に捧げるってことだと思うんで。それは何も、御国や御主だけじゃねえ。……」

と語り、与三郎を芝居の道へ導いたのだ。

 

第三幕 衣裳部屋の場  孤児となって火葬場で育った衣装係で、女形の芳澤ほたるの話

第四幕 長屋の場    一人息子を亡くして失意の中にあった芝居の小道具職人久蔵とその妻お与根

『菅原伝授手習鑑』で、松王丸は、我が子小太郎の首を菅秀才の首と偽って歓声を上げる。久蔵はその首を魂込めて彫り上げた。

第五幕 桝席の場    旗本の次男だが婿先も決まり、金に困らず放蕩者になった金治は、「実」というものを知ることなく、心から楽しむことなかった。金治は、大阪で筋書をやっている五幣に「面白がったらええんとちゃいますか」と言われ、上方へ逃げ、つまるところ、芝居の台本を書く筋書、脚本家になった。

終幕  国元屋敷の場 この若い武士の正体は? 仇討の筋書きは?

 

 

初出:「小説新潮」2019年10月号~2021年4月号

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

ともかく文句なしに面白い。悪所とされる吉原や、芝居小屋の雰囲気、それをとりまく怪しげな人々が、堅物の武士との対比でよけい魅力を増し、妖しさが匂いたち、根っこの人の好さの温かみが醸し出されてくる。

 

一幕一話ごとにそれぞれの人物が、菊之助とどんなふうに出会い、心を通わせたかを語り、いつのまにか仇討の真相が一皮ずつ剥けていく。そう言えば、この仇討には最初から何か引っかかるものがあったのだ。

 

また、若き武士は、それぞれの話し手がどのように生きてきて、何があって芝居小屋に導かれたのかを教えてほしいのだと問うのだった。何故なのか分からなかった。
また、一つ一つは辛い、深い話で、引き込まれたが、各々がどうつながっていくのか分からなかった。要するに、いずれも、芝居という得体が知れず魅力的なものに救われた人たちの物語ということだったのだ。

 

 

永井紗耶子(ながい・さやこ)

1977年、神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒。産経新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで活躍。

2010年、「絡繰り心中」(『恋の手本となりにけり』と改題)で小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。
2020年刊行の『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』で、細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞を受賞。
2022年、『女人入眼』が第167回直木賞の候補作。
2023年、『木挽町のあだ討ち』で、第36回山本周五郎賞、第169回直木三十五賞を受賞

他の著書に『大奥づとめ よろずおつとめ申し候』『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』『横濱王』など。

 

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古矢永塔子『ずっとそこにいるつもり?』を読む

2024年04月11日 | 読書2

 

古矢永塔子著『ずっとそこにいるつもり?』(2024年10月30日集英社発行)を読んだ

 

集英社の内容紹介

念願だった映画の宣伝会社に転職した弥生。そんななか、夫から切り出された「ある提案」を受け入れられず、忙しさにかまけ、決断を先延ばしにしていた。だが、その日は確実に迫っていて……(「あなたのママじゃない」)。優良メーカーに内定が決まった大学生の健生。サークルで知り合った友達以上恋人未満の彼女から同棲を仄めかされるが、うやむやにしていた。そんなある日、アパートに帰宅すると、かつて池袋で共に暮らした美空が現れ……(「BE MY BABY」)。初対面なのに物怖じせず、屈託のない転校生の美月を前に、副担任の杏子の心はざわめいた。懸念されることの一つは、クラスの中心的人物で問題児でもある莉愛が虐めの標的にすることだったが……(「まだあの場所にいる」)。ほか全5話。閉塞的な現実を背負う人たちの、さまざまな葛藤の中で現れた「気づき」とは……。

 

予想外な展開で結末を迎えるたくらみに満ちた5編の短編集。息苦しい現実の葛藤の中で一歩踏み出す勇気を与えてくれる。

 

集英社文芸ステーション(「青春と読書」2023年11月号転載)に著者が書いている。

実は、どんでん返しの取っ掛かりとなるアイディアを思いつくこと自体は難しくない。「丸くて赤い林檎だと思っていたものが、本当は風船でした」くらいの、シンプルなものでいい。しかし受け皿になる物語を考えることが、一筋縄ではいかない。

 

「あなたのママじゃない」

憧れの映画宣伝会社社員になった勝間弥生は殺人的な忙しさで家事はほとんどできない。結婚5年になる夫・友樹は、カメラマンの仕事がほとんどなく、家電量販店でアルバイトするだけなので、やさしく、弥生に気を使いながら家事を引き受けてくれる。そんな友樹についイライラしてしまう弥生。

 

BE MY BABY

第一志望の企業に内定をもらったばかりの真島健生は、居酒屋でバイトし、子ども食堂にこだわっていた。なにごともきちんとしている恋人の帆乃花は、かねて希望の出版社の内定をもらい、卒論もほぼ出来上がっていて、一緒に住む家を探したいと言うが、健生の返事ははっきりしない。さらに派手なワンピースを着て共に暮らしていた美空が健生のアパートに転がり込んでくる。

 

デイドリームビリーバー

高校の同級生同士、東の原作、峯田が作画のコンビで漫画がヒットしたが、突然、東が行方知れずとなり、以後峯田はぬかるみでもがいていた。その頃、佐藤サエコは……。

 

ビターマーブルチョコレート

実家の母が手首を骨折し、夫の敏行がやけに勧めるので、近森朱里は来月3歳となる娘の華をつれて里帰りする。古い団地の隣には幼馴染の勝ち組だった真琴が居た。

 

まだあの場所にいる

相田杏子は女子校で教員生活15年目。副担任をしているクラスに、転入してきた屈託ない倉橋美月が、クラスのボスの早乙女莉愛とあっというまに仲良くなったようにみえるのだが、……。

 

 

初出:「小説すばる」2020年10月号~2022年8月号

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

予想する展開、結末と、想定外の方向になるのが面白い。しかし、例えば女性が結婚して苗字が変わることを利用したりと、その展開に無理やり感がぬぐえない。

 

個人的には女性同士の陰にこもったやりとりが、イジイジとして、めんどくさい。

 

 

古矢永塔子(こやなが・とうこ)
1982年青森県生まれ。弘前大学人文学部卒業。高知市在住。

小説投稿サイト「エブリスタ」にて執筆活動を行い、「恋に生死は問いません。」を改稿・改題した『あの日から君と、クラゲの骨を探している。』でデビュー。

2019年「七度洗えば、こいの味」で第1回日本おいしい小説大賞を受賞し、『七度笑えば、恋の味』と改題し刊行。

他の著書に『今夜、ぬか漬けスナックで』がある。

 

 

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吉祥寺・中道通りの「MARGARET HOWELL CAFE」でランチ

2024年04月09日 | 食べ物

 

吉祥寺の中道通りを10分ほど行くと、野原が広々と広がる「吉祥寺西公園」がある。

 

一本の大木の周りに、幼稚園帰りだろうか、たくさんの親子が集まる。

 

商業地のただなかにある広々とした公園には、ここぞとばかりさまざまな防災手段が備えられているようだ。

 

 

吉祥寺西公園の手前に、ガラスとコンクリートの斬新な建物「MARGARET HOWELL CAFE」がある。

マーガレット・ハウエルは英国を代表する、モダンクラシックを更新し続けるデザイナー。どうりで先客のお兄さんの頭が……。

 

まだ11時半なので、広い店内に2組がいるだけ。

 

席はご自由にと言われ、窓から外が良く見える席に着く。

こちらから見るつもりが、窓のすぐそばを通る人からジロジロ見られる。12時半となり母子が集まりだす。子供はただただ走り回る。見ているだけでくたびれる。無駄に元気だ??

 

私はコーヒー、相方はラテ。

 

私のローストビーフ・サンドイッチのセット

 

相方は、サンドイッチとキッシュの半分づつのセット

 

 

斜め向かいにケーキ屋「YATSUDOKI」がある。ヶ岳の麓の自然の恵みをスイーツに仕立て、おやつどきに提供することで「YATSUDOKI」と名付けられた。(改装のため3月19日~3月23日は休店)

 

入ろうかどうか迷っていると、どんどんお客が入っていく。我々に「ここ、本当にケーキがおいしいんですよ」と話しかける女性。ならばと、入って、菓子を購入。

 

2階は「シャトレーゼ」だが、ソフトクリーム・コーヒー専用のイートインスペースで、ケーキ、菓子はすべて持ち帰り専用と書いてある。

 

これが購入した菓子。おいしそうでついつい数が増えてしまったとのこと。

八ヶ岳高原バウムクーヘン、八ヶ岳ベイクドチーズタルト、タックスワーズプラリネ、フィナンシェ。

 

 

中道通りを吉祥寺駅へ戻って来る途中、花嫁花婿とカメラマンを見かけた。

丸の内仲通りでのプロポーズ光景を思い出す。吉祥寺中道通りも丸の内仲道通り並みになったということか?

 

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目黒川の桜・4月8日

2024年04月08日 | 行楽

 

 

4月8日(月)11時、どういうわけか恵比寿駅から目黒川へ向かう。

皀樹橋(さいかちばし)の歩道橋の上から目黒川の桜を眺める。

中目黒方面へ目黒川をさかのぼる。それにしても見事な桜、人が集まるはずだ。

 

 

日の出橋の上から川上を。

 

河川監視用のカメラの箱が邪魔

 

桜が川を渡って橋になりそう

 

「立ち止まらないで」の看板も役に立たず。人並の間からスマホだけ突き出してパチリ。

 

中目黒アトラスタワー(?)が見える

 

 

 

中国語が飛び交う橋でUターン

 

それにしても、サクラ尽くしだった。

 

帰って歩数計を見ると12,000歩。どっと疲れが出た。

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パスポートを更新して、アフタヌーンティーで一休み

2024年04月07日 | 日記

 

パスポート登録顛末

パスポートが今年の12月で切れることに気づき、更新するか迷った。81歳になっていまさらだが、当面海外旅行するつもりがあり、その他、例えば息子が外国で病気になって急遽などと考え、いざという時のために5年だけは更新しようと決めた。

 

マイナポータルからパスポート更新手続きを始めたが、顔写真撮影でトラブル。我家の白いドアの前に立ってスマホで自撮りするのだが、何回撮っても、顔が大きすぎるなどと言われなかなかOKされない。どうも白髪頭と後ろのドアの区別がつかないらしい。「そんなでかい顔してないよ」と文句を言いながらバックに黒い布を下げた。

こんどは顔が曲がっていますとおっしゃる。「ハイハイ、普段から曲がってるんですけど! だめだというのは差別じゃないの?」と言いながら、スマホを見ながらまっすぐにしようとすると、逆により曲がってしまったり、これでどうだと無理に真っすぐにしたりして、何度も取り直してようやくOKが出た。写真を見ると、たしかに顔は真っすぐだが、左右の肩が斜めになっている。これで良ければ私の方には不満はありません!

 

さらに現パスポートの顔写真のあるページの撮影で、ここに書くのもいやになるほどなんどもトラブル。マイナポータルから外務省のサイトへ行ったり来たり、「ハイハイ、年寄りは手際が悪くてすいませんね! でも時間だけはたっぷりあるので、諦めませんよ」と頑張って、ついに登録成功!

5年更新のつもりだったが、えらく苦労したので、やけになって10年更新だ!

次回91歳の時の更新は自分でできるだろうかって、お前さん一体!

 

パスポート受取りに新宿都庁へ

数日後、送ってきた受付票をスマホで確認して、心配なので一応プリントアウトして、現パスポートと共に持参し、新宿都庁へ。通勤の皆さんの人並の後塵を拝して、9時前にパスポートセンターへ着いた。受け取るだけの列の前から2番目。これから手続きする人は既に数十人の列。ウフフ!

 

9時10分には16,000円を支払い、新パスポートを手にした。用のある京王百貨店は10時開店なので、しばしパスポートセンターのベンチで一休み。次々訪れ、去っていく若い人を眺め、あきるほど休んでから、たしか、冠婚葬祭だったろうか行ったことのある京王プラザホテルに入る。

 

京王プラザホテル

豪華絢爛な吊るしびながお出迎え。

 

皆で一休みしたカフェを覗いたが、コーヒー1600円とあり、しっぽを丸めてスゴスゴと退散。1階の椅子に座って、壁の植物画を眺めて、30分。ゆっくり歩いて西口の京王百貨店の開店前の列に並ぶ。

 

百貨店を2箇所ほど回って、何もしないのにくたびれて、前回長い列であきらめた「Afternoon Tea TEAROOM」へ。

 

Afternoon Tea TEAROOMで一休み

 

10時半、すぐに入れ、空席があったのに、次々と客が来て、常に満員状態。

店内には、マチスの絵がいっぱい。

 

この絵、いかにもマチスで、いいじゃない。

 

このマリー・カサットの絵、見たことある。母と子のやさしい絵を描く人だ。女性らしいと言ってはいけないのだろうが。

 

私が頼んだのはアフタヌーンティーブレンド

 

ソーサーをひっくり返してみたが、当たり前だった、ここはコーヒーカップも売っているのだ。

 

 

相方はスィートフルーツティー

 

おまけ

3月11日8時の富士山

 

 

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4月6日、井の頭公園の桜は満開

2024年04月06日 | 行楽

 

井の頭公園・私的第二標準木、例年一番早く開花、満開となるこの桜、4月6日(土)9時過ぎ既に満開と認定しました。

 

左の桜も、遠くに見える桜も、ほぼ満開。まだ9時過ぎとはいえ土曜日、人がチラホラ。

 

枝を見ても、蕾もほぼ見当たらず、満開。

 

池のこちら側も、向こう側も

 

見上げたって満開

 

 

土曜日の9時半、場所取りが早くもシートを広げ読書? 新入社員?

 

長年咲くのがもっとも遅い七井橋の麓の私的第一標準木も、満開です

 

橋から見ても満開

 

橋の中ほどから見ると、両岸の桜が池への覆いかぶさる様子が良く分かる

 

明日、4月7日(日)は大変な人出になるでしょう。お楽しみください。

 

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3月(4)の散歩

2024年04月05日 | 散歩

 

道路に沿って一面に咲いた鮮やか色のシバザクラ(芝桜)

 

ミニスイセン(ミニ水仙)とムスカリ

 

ハナニラの群生。薄紫もいいが、純白もいいね。葉はニラのような臭いがあるらしい。

 

馬も酔うと言うアセビ(馬酔木)

 

白いジンチョウゲ(沈丁花)

 

白で裏側が赤いジンチョウゲ

 

強風で大きく揺れるジャノメエリカ

一瞬、風がおさまってパチリ。小さなピンクの壺型の花が咲き揃う。花の真ん中に黒い葯(やく:雄しべの先の花粉が入った袋)があることから蛇の目の名がある。

 

ロドレイヤ。中国原産のマンサク科の常緑低木で、和名をシャクナゲモドキ。もどきはしつれいでしょう。

花を覗くようにしてパチリ。

鳥が下から蜜を吸っていたのだが、近づきすぎて逃げられた。

 

 

カンヒザクラ(寒緋桜)。桜の原種の一つで、中国南部や台湾、沖縄などに分布する野生のサクラ。

 

花は下を向いて咲き、花弁が開かない釣鐘型。

 

ハクモクレン(白木蘭)の大木。

コブシもモクレン科モクレン属の落葉広葉樹でよく似ている。

ハクモクレンは、花びら(花被片)は9枚で、大きさが8~10㎝、花びらは開ききらないで、上向きに咲く。

コブシは、花びらは6枚で、大きさが4~5㎝、花びらは開ききり、横向きと上向きが混じる。

 

 

空に延びるトサミズキ(土佐瑞希)。高知県内の山地の石灰岩地域に多く自生している。

 

まだまだ盛りのミモザ(3月17日)

 

垣根に多く見かけるレッドロビン(西洋紅カナメモチ)。 カナメモチとオオカナメモチの交雑種で、アメリカで生まれた園芸品種。


剪定をすれば季節を問わず、真っ赤な新芽が発生する。刈り込まなければ、春には真っ白の小花を咲かせ、秋には赤い実をつける。多くは、頻繁に刈り込まれることが多いため、花や実を見ることは少ない。

 

 

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4月4日の散歩道の桜

2024年04月04日 | 散歩

 

4月4日、今日はちょっと桜を求めて足を延ばす。

 

大木だ!

 

保育園児が遊ぶ公園は、大きな桜の木が満開。

君たち、下ばっかでなく上も見てごらん

 

伸び伸び枝を伸ばす公園桜

 

電線が邪魔な公園桜

 

道路に覆いかぶさる公園桜

 

お屋敷の堂々たる唯我独尊桜

 

こちらは高く聳えようとするお屋敷桜

 

強風の中、頑張る桜、4景

 

 

 

 

建物とコーディネートして鮮やかな桜。やっぱ、こーでぃねーと。

 

年取って刈り込まれちゃったけど、まだまだ枝を張って元気

 

天に背伸びする桜

 

懸命に上流志向の桜

 

こうズラズラみてくると、ちょっと寂しい刈り込まれた桜の古木

 

溢れる花の桜。君は、海棠じゃなく桜だよね

 

鮮やか色の桜

 

こんなに小さい桜も、一丁前に頑張ってるよ

 

ちょっといつもより足を延ばしたので、散歩道の桜じゃなく、桜散歩道。堪能しました。

 

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キャサリン・ライアン・ハワード『ナッシング・マン』を読む

2024年04月03日 | 読書2

 

キャサリン・ライアン・ハワード著、高山祥子訳『ナッシング・マン』(新潮文庫ハ-59-2、2024年1月1日発行)

 

裏表紙にはこうある。

12歳のとき、連続殺人鬼〈ナッシング・マン〉に家族を惨殺されたイヴ。唯一の生存者である彼女は成人し、一連の事件を取材した犯罪実録『ナッシング・マン』を上梓する。一方、偶然この本を読んだ警備員ジムは、自分の犯行であることが暴かれそうだと知り焦燥にかられていた――。犯人逮捕への執念で綴られた一冊の本が凶悪犯をあぶり出す! 作中作を駆使し巧緻を極めた、圧巻の報復サスペンス。

 

連続殺人犯であるジムが、実録本『ナッシング・マン』を初めて手にして驚く様子が、明朝体で表される。

ついで、イブが書いた実録本『ナッシング・マン』が、表紙からなにからそのまま(ゴシック体で)作中作として書かれる。

 

以下、ほぼ交互に両者の視点での話が続く。
読者は犯人ジムの視点の部分を読み、恐怖に駆られながらイヴがどこまで知っているか、など追い詰められる気持ちになってしまう。さらに、イヴの視点の著書を読み進めることにより、事件の実際を徐々に深く知って、犯人に迫っていく通常のミステリーとしての進展を味わう。

このジム視点の物語と、イヴの視点の作中作「ナッシング・マン」が切り替わりながら進んで行くが、途中、予想もできない変化が加わる。

 

 

登場人物

イヴ・ブラック:イヴリン。「ナッシング・マン」の作者。12歳の時、父・ロス、母・ディアドリ、妹・アンナが殺された。事件後、イヴの父方の祖母ナニー(コレット)と二人で暮らす。

なお、作中作の「ナッシング・マン」の「謝辞」の前の「著者紹介」でイヴのその後の幸福が明らかにれている。

 

ジョナサン・エグリン:作家、大学教授。 バーナデッド・オブライエン:編集者

エド・ヒーリー:刑事。イヴと共に約20年前の事件を捜査する。

 

ジム・ドイル:警備員。現在63歳。2000~2001年にかけて強姦、殺人を犯したが、その後18年逮捕されていない。妻はノリーン、娘はケイティ。上司はスティーブ・オライリー

ナッシング・マン:警察が何もわかっていない犯人のことをマスコミが命名。イヴの書いた本の題名でもある。

 

被害者

アリス・オサリヴァン(42歳、暴行)

クリスティン・キアナン(23歳、性的暴行)

リンダ・オニール(34歳、身体的性的暴行)

マリー・ミーラ(28歳、殺害)とマーティン・コナリー(30歳、殺害)

ロス・ブラック(42歳、殺害)とディアドリ・ブラック(39歳、殺害)とアンナ・ブラック(7歳、殺害)

 

本書は本邦初訳

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

作中作で犯人を捜す話と、追い詰められていく犯人の語りが並行して進んでいく構成が独特だし、混乱せずに巧みに描かれているので、楽しめる。

 

サイコ・キラーの犯人に家族を殺されたイヴが犯人を追い詰めるために実録本を出して、人気となる。20年近く普通に暮らしていた犯人がこの本を読んで、逃げ切る為にイヴを・・・。面白くない訳がない。

 

キャサリン・ライアン・ハワードの略歴と既読本リスト

 

高山祥子(たかやま・しょうこ)

1960年、東京生れ。成城大学文芸学部卒業。バロン『世界一高価な切手の物語』、ドーソン『アメリカのシャーロック・ホームズ』、チャールズ『あの図書館の彼女たち』、ソログッド『マーロー殺人クラブ』、ハワード『56日間』『ナッシング・マン』など訳書多数。

 

キャサリン・ライアン・ハワードは、アイデアを、Excelシートを用いてストーリーを作り、プロットの要所を埋めていく。そのExcelシートは時間と共に密度が増していき、また、カラフルになっていく。そんなExcelシートとテキストを行ったり来たりしながら、作品を完成させる。

(https://www.youtube.com/watch?v=z201F3FVLU4 by村上貴史による解説)

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井の頭公園の桜便り・4月1日

2024年04月02日 | 散歩

 

雨が降りそうな2024年4月1日(月)8時半現在。

私の井の頭公園・第二標準木、例年一番早く咲く左の木は満開、右は7分咲き?

 

七井橋へ歩く途中、上を見上げると、ほぼ満開の木もある。

 

シャガ(Iris japonica)は満開。低地や人里近くの湿った森林に生える常緑多年草。

 

池の向こう側にも満開の桜の木がある。「宴会は22時まで」の横断幕が見える。

 

全体的にはまだまだ満開とは言い難い。七分咲き?

 

池の向こう側も七分咲き。

 

ということで、長年咲くのがもっとも遅い七井橋の麓の私の第一標準木は、三分咲き?

 

 

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目を閉じると 

2024年04月01日 | 個人的記録

 

小学校何年生の時だっただろうか、クラス全員が交替で黒板の前に立ち、皆に何かの話をすることになっていた。僕の番になって、「目をつぶると決まって見える景色があります」と話し出した。その光景は、全体は真っ暗で真ん中に丸く夜空が見え、中心に満月が輝いている。どう考えても井戸の中から夜空の満月を眺めているとしか考えられない。そして、話を「将来、僕は井戸に飛び込むんじゃないかと心配しています」と終えた。なんて暗い話をする小学生だったのだろうか。

しかしその後、井戸に飛び込むこともなく、無事に80歳までは、たどり着いた。そしてもはやこの光景が目に浮かぶことはない。

 

最近時に目に浮かぶ光景は、子供の頃、よくボーと眺めていた庭の景色だ。暇を持て余し、八畳の客間から廊下越しに庭の木々を眺める。一番左手、雨戸の戸袋の脇には楓の木があった。幹に止まっていたヤモリを見つけ、たまたま持っていた竹で面白半分に槍のように突き出したら、思いもかけず、串刺しにしてしまった。びっくりして竹を放り出したのがこの楓の木だ。

 

天狗の団扇のような八つ手は秋が終わる頃、カリフラワーのような花をつける。トゲトゲした葉を持つヒイラギナンテンは秋に青い実をつけた。アオキの赤い実も皮をむくと白くぬるっとしていた。いずれも地味な庭木で、これまで記憶の底に沈んでいた。

 

客間の前に見える庭の真ん中は花壇になっていて、今はあまり流行っていないカンナや、ホウセンカが植えられていた。熟していないホウセンカの実をつぶして種を飛ばして遊んだ。

 

戦争中、親父がここに防空壕を掘った。中にはちょっとした棚も作られていたという。焼夷弾が屋根に落ちて、先端に鳥のくちばしのような金属を嵌めた棒があって、それで焼夷弾を地面に落として土をかけて消したと聞いた。

 

花壇の向こう側にはツツジがあり、ピンク色の花をつまんでよく蜜を吸った。その奥には大きな古い梅の木があった。梅の実の季節になると収穫し、庭に新聞紙を敷いて、まだ青い梅の実をずらりと並べて乾燥させていた。干すために庭に広げて、柔らかく、うっすら赤くなった梅の実を、庭の隅に生えていたシソ(紫蘇)を大きな瓶に入れて、つける。瓶から出してきた梅干しの酸っぱさが、今、口の中によみがえる。

 

母がよく庭で洗い張りをしていた。私も良く知らないのだが、和服というものは複雑な裁断はしないで、反物を幾つかに裁断するだけで、それを縫い合わせて和服に仕立てているらしい。
木綿やポリエステルの普段着は長く着ていると、糊を引いているので、シミやカビが出てしまい、時々洗濯する必要がある。今はクリーニングに出したり、着物も丸洗いするようだが、昔は各家庭で、縫い目をほどいて反物状態に戻してから洗って、新たに布のりを引いて、干して、仕立て直して(縫い合わせて)、元の和服に戻していた。

干すに2つの方法がある。一つは、布の両端を引手棒で止めて長手方向にぴんと張り、竹ひごの両端に真鍮の針をつけた幾つもの伸子(しんし)で布を横に張り広げて干す。もう一つは、2mほどの長さの張り板に布のりを引いた布を張り付けて、空気が入らないように叩いて張って、乾かす。

眼をつむると、木と木の間に、たわんだ布の下に、半月状になった幾つもの竹ひごが並ぶ光景や、木に立てかけられた、ぴったりと布が張り付けられた張り板が瞼に浮かぶ。

 

懐かしい! 思い出す母は、いつでも働いていた。

 

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