4日から米ラスベガスでコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES;家電見本市)が始まった。10年前ハイテック業界でラスベガスのショウといえば思いつくのはコムデックスだった。パソコン業界にいた私など本流はこちらだと言う気持ちがあった。
コンベンション・センターに加えシーザーズ・パレスやヒルトンなどの有名ホテルに世界中のパソコンメーカーがこぞって新製品を展示し商談を進めた。この先1年間の製品・技術動向を見極める為日本からも大挙してショーに展示や視察に参加し注目の的だった。米国の販売会社の幹部や成績の良い売り子を招き夜の豪華なショーに見るのが余禄の楽しみだった。
CESが最もホットなショーとなった
しかしパソコンは成熟し世の中を変えるような技術革新が出てこなくなり、ついに数年前コムデックスは開催されなくなった。そして今や画期的なデジタル家電が毎年出展されるCESが最もエキサイティングなショーとなり世界中の注目を集めている。
昨年最も人気のあったデジタル家電はご存知iPODだったが、2004年はデジタルカメラがトップでiPodはトップ10にも入ってなかった。それほどダイナミックな市場である。昨年良く売れたと言われるノートパソコンでさえやっと10位にランクされているだけである(CNETニュース)。この機会に内外の報道を見て私が注目する3大トピックを紹介する。
元気な韓国勢
韓国勢が非常に元気だと報じられている。サムソンとLGが展示場の最も条件が良く広い展示スペースを確保していると言う。世界トップブランドになった両社の意気込みが伺える。殆ど全てのジャンルで幅広く新製品を打ち出し売りまくろうと言う積極的な姿勢である。嘗ての日本メーカーの勢いを感じさせるが、報道を見る限りインパクトのある提案が少ないように感じる。しかし、ビジネスとしては勢いを感じさせる。そういうものだ。
日本でも大手電機メーカーのフラット・ディスプレイ工場への累積投資額が1兆円を超え、世界の工場の地位を取り戻そうという機をつかみつつある(1/5日本経済新聞)と言うが、世界最大の液晶パネル供給能力を保持する韓国2社との競争は容易ではなさそうである。
iPodの新たな挑戦
私が最も注目するのは、iPodが音楽からテレビ放送や映画、情報検索等への新たな展開の道を開くかどうかだ。言い換えるとネットワーク媒体と新光デスク媒体(ブルーレイやHD-DVD)のどちらが主流になるか、長い戦いだがもしかしたらその方向が見えるかもしれないということである。
少なくとも音楽についてはネットワーク(iPod)が光デスク(音楽CD) に勝利し、昨年CD売り上げは激減した。米国では日本ほど光デスクのデファクト・スタンダードの戦いを注目してないようだ。ブロ-ド・バンドの技術進歩が映像でも光デスクを置換すると見ているからだ。(アナリストS.Wargo氏)
Intel・Microsoftの挑戦第2ラウンド
両社は独自にデジタル家電の世界でもパソコンの成功を持ち込もうと活動してきたがとても成功したとはいえなかった。理由は沢山あるが、要はデジタル家電の顧客はパソコンとで同じではないということである。更に、当時絶対的な力を持ってパソコン基本構造を定める標準を作ったIBMはいないし、パソコンのWintelビジネスモデルだけは絶対に許さないと言う家電メーカの強い決意があったからである。
今回、それを教訓としてIntelとMicrosoftは始めて連携(提携といってる)していくらしい。しかし私には何か基本的なコンセプトに欠けた、CESに合わせて取って付けたような提携にしか見えない。両社の家庭向け商品とも今まで余りにもパソコン、パソコンして複雑で使いにくかった。最終製品を持たない弱さである。
情報機器としてのパソコン、映像音楽、ゲームを総合して統一したコンセプトの商品を作るにはもう少し時間がかかると言うのが私の印象である。■