かぶれの世界(新)

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イラク、トンネルの先に仄かな灯り

2006-01-15 14:38:55 | 国際・政治

年初に最大関心事の一つとしてイスラム原理主義のテロについて、「イスラム社会がグローバリゼーションのステークホールダーになり毅然としてテロと対決しない限り衝突は続く」と述べた。

その視点からニュースを追いかけてきたが、12日付のNYタイムスの署名入り記事に「真っ暗なトンネルの中の仄かな灯り」程度だけれども、兆しのようなものを見つけた。私にとっては待ちに待った内容であった。以下に私流の視点で概要を紹介する。

地元の反対勢力とアルカイダの対立は昨年10月頃から激化しRamadi, Husayba, Yusifiya, Dhuluiya, Karmah等の都市に広がった。アルカイダの見境ない無差別殺戮に対する言いようのない怒りが背景にある。聖戦の大儀の為には必要な犠牲と主張するアルカイダと、犠牲を払う立場にある地元反対勢力との埋められない戦術の差である。

もう一つの対立の原因が、国民投票や総選挙の所謂民主化プロセスを通じて、スンニ派の間に取り残されたという思いが広がったことである。スンニ派宗教指導者はアルカイダの脅迫に屈せず反対勢力を突き上げ、終にアルカイダの投票妨害から住民を守ると約束させたことだ。

スンニ派反対勢力の牙城で米軍と激しい戦いがあったバグダット北部の都市サマラで、族長を暗殺したアルカイダ外国人兵17人を探し出し公開処刑すると言う血を血で洗う凄惨な復讐劇が対立の深刻さを説明している。

まだアルカイダと反対勢力が連携している地域も数多くあり、米兵に対する地元反対勢力の反感は依然として強く、イラク新政権と米軍がこの対立を利用して効果を挙げるまでにはいたってないと、記事は結んでいる。

しかし、イラク国民が国民参加の政治プロセスを通じて、ほんの少しだがイラク民主政権のステークホールダーになり始めた兆しのようなものをこの記事から感じる。新生イラクは国民が命を賭けてでも守りたいと思う物を更に提供していかねばならない。それは治安と経済であり宗教ではないと思うが、果たしてどういう性格の政権になるかまだ見えない。

個人的には子・親・親族を無差別テロで失った怒りはそれがイスラムの名を騙っても治まる筈がないだろうと予測する。この怒りのうねりが内乱ではなく新政権を安定化させるほうに向かうことを望みたい。

米軍との戦いは露出度が高く直ちに報道されるが、新政権反対の武装勢力(多くの分派がある)とアルカイダの関係はいわば水面下の争いであり何がおきているか分かりにくい。日本の報道は結局のところ海外ニュースソースに頼らざるを得ない。私は仮説を立て、その問題意識下でニュースを追っかけて行きたい。■

コメント
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