昨日のNIKKEI NETは世界同時株高の様相が強まっていると報じた。余剰資金は好調な企業業績をみて株式市場に流れ、株高が更に投資資金を生み出す好循環に入っているという。このまま株式市場の騰勢が続くか、誰もが知りたい疑問だ。(私は「06大胆占い」では今年経済成長は続くが07年スローダウンを見込んで年末には株価が下降すると見た。)
これに関して同じく昨日付けのNYタイムスに興味ある記事を見つけた。前々から気になっていた長短金利差の縮小である。私は昨年7月にこの原因として二つの説があると紹介した。輸出国の過剰貯蓄が米国に流入し経常赤字を膨らまし長期金利を下げているという説と、グローバルな過剰流動性が米国債の金利低下と住宅バブルを起こしているというものだった。
ところが同社の記事によると昨春グリーンスパン連銀議長が「謎」だと言った長短金利差の縮小が、最近になり米英日独における共通の現象になりつつある。米国の特殊事情から生じた「謎」ではなく「グローバルな謎」になったと言う訳だ。
しかし各国の経済サイクルは夫々に異なり、必ずしも米国景気と同じフェーズにはない。米国の景気は高成長から成長率がやや停滞気味になりつつあるのに対し、日欧はまだ回復途上にある。記事は世界同時金利差縮小の謎は世界の資本市場がより緊密に一体化されたことにあるとしている。
米国国債が買われると、同時に英独日の国債も買われ金利が下がる。余剰資金は最大投資効率を求め国境を越えて投資されるが、各国中央銀行の世界景気認識の情報共有により同じメンタリティになって、結果的に米国と同じ動きをするようになった為であると。記事は「世界はフラットじゃないが、金利差はそうかも」とフリードマン氏の最近の著書をもじった洒落た題名になっている。
この現象は最近数ヶ月内に起こったことであり、議論はまだ十分煮詰まってないようである。今まで長短金利差縮小は経済成長がスローダウンする前触れであった。米国ではその傾向が出始めているが、日欧経済はそうとはいえない。
冒頭の世界同時発生した株高と長短金利差縮小のメカニズムが「新しい謎」になったように見える。それが従来あったような世界経済スローダウンの前触れなのか、新しい展開への過渡状態なのか、中央銀行の判断と意思決定を見守りたい。■