18日ライブドア・ショックで株式市場暴落2日目のニュースを気にしながら、昼食後大洲市の実家を出た。出かける時は雨が降っていたが、松山駅に着くと雨は止んでいた。母と別れいつもの駅前の古本屋に行き何冊か買い、松山市駅から湊町を歩くと年末に訪問時無くなったと思った古本屋が一軒残っていた。
健在、古本屋
鰻の長屋のような店の中で床から背丈以上に平積みになっている本の中に、思いがけずフランシス・フクヤマの「歴史の終り」を見つけた。聞けば上下巻合わせて1000円、即買った。店番のお爺ちゃんに「アルバイトでも雇って本を整理しないと売れるものも売れないよ」と言うと「やっても狭くて置き場所がない」との返事。ストーブの両横、上、後にも本が積まれてた。火事になるよと言うと「本は意外と燃え難い」と言う返事、やる気ゼロの古本屋だ。来年も生き残ってるか心配。
ロスト・イン・ハイク
大街道まで出て田舎では珍しいスタバでコーヒーを飲み一休み、路面電車の軌道に沿って道後温泉に向かう。途中県民会館の前で中年の婦人(オバチャンというには品があった)に聞いて横に続く「俳句の道」という脇道を歩いた。これが間違いだった。方向感を失った。
中々温泉街に着かない。その内、イカガワシそうな建物の前に客引きらしい男が並んでいる通りに出た。(川崎駅南口より余程人相がいい。)優しそうな年配の男を選んで道を聞くと、方向違いの変なところに迷い込んでいた。何度か道を聞きながら温泉街を抜け石手寺から石手川を渡り山に向かい、最近何かと話題になるカンポの宿・道後温泉に着いた。道草食いながら約3時間の道のりだった。
郵貯はメルパルク
ところが母はまだ着いていない。待ってる間に風呂に入り、物知り風のおじさんから近郊の温泉の効能を一通り聞き部屋に戻ると母がいた。温泉でも何でも大きい風呂は暖まって気持ちがいい。タクシーの運転手が「メルパルク」という郵便貯金関係の宿が別にあってそこに連れて行かれ遅れたそうだ。貯金と保険は、別々にあるんだ。
お茶を飲んで落ち着いたところで大食堂に出かけ夕食をした。糖尿を病んでいる母の為予めお願いして少し低カロリーで油分を減らしてもらったが、母は美味しいと言ったのでほっとした。若い人向きの食事の量より少なめで美味しくするという感じで好ましい。
道後寄席
実はこの日を選んだのは、この日に限り東京から真打が来て落語をやる特別プログラムがあったからである。寄席に行ったのは30年以上前に母が上京した時鈴本か末広に行った時だと思う。前座の短い紹介の後真打登場、金原亭馬の助の生真面目な味のある季節感の出た噺と、三升家小勝の源平合戦をネタにした軽妙な語り口で盛り上がった。
もう終る頃になり、突然小勝師匠が私のほうを指差して演壇に出て来いという。私は自分を指差し、俺か、と言う顔をするとそうだという。どうも目立つほど馬鹿笑いしていたらしい。名前は近所の「府中刑務所...」といって受け、ホテルの社長と同じ名前で又受けた。私の答えをうまく笑いにつなげていく。講談のサワリをやるからパンパンと合いの手を入れろという。
何度やってもうまく行かずそれだけで笑いを誘った。酔ってたし、座興でオモチャになるのも悪くはない。「マッサージの予約が迫ってる」と言うと大受け、小勝師匠の趣味の絵のレプリカと、両師匠のタオル等をお土産に貰って開放された。楽しかった。
マッサージ
慌てて部屋に戻るとマッサージのオバサンがドアの前で電話をかけながら待ってた。ホテル専属の人は定休日で外から呼んでもらった。オーソドックスな普通のアンマで強さも丁度良かった。いつも気にしている首筋や肩はそれほど凝ってない、脂肪もついてないと言われ、技よりその思いがけない言葉で単純に大喜び、カンポの宿体験初日はまずまずだった。■