かぶれの世界(新)

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民意の失敗

2008-09-02 23:33:18 | 国際・政治

昨夜の福田首相の突然の辞任表明には驚かされた。が、その後の報道を見ると遅かれ早かれ辞任せざるを得なかったというのが私の印象だ。臨時国会の開催時期と定額減税は公明党の言うなりになり、補給支援特措法継続の見通しは立たず、首相が重要視する財政規律は与党内も一枚岩ではない。極端にいえば彼のやりたいことは何一つ実現できない状況になった。

ネットを見てこの問題に限って言うと、専門家から何時もに比べ多様な意見が発信されている。その中でもネジレ国会に示された民意を深読みして前向きに評価し、米国風の対立軸を掲げて競うよう勧める冷泉彰彦氏の論評が興味深い。だが私は今回、民意は常に善ならずと感じざるを得ない。

首相の主張が内外から尽く反対され、実現の見通しが立たなくなったとなれば、最早国のリーダーは務まらないと判断し辞意表明した。としても、こうなったのは多くの要因が考えられる。福田氏個人の資質とか問題とは言えない要因が数多くある。

そもそも安倍・福田内閣には出自の問題がある。戦って勝ち取った地位ではない。異なる主義主張を持った人達がポスト狙いで党内総主流体制を作り成立した内閣だった事が、首相が難しい事態に陥った時命がけで支えるどころか孤立を深めることになった。

福田首相が会見の冒頭で嘆いた積年の問題、彼自身のリーダーシップ不足、ネジレ国会での民主党の何でも反対する硬直的な対応、二世議員のひ弱さ、等など多くの要因が重なったが、最後に止めを刺したのは国政より地方選挙を優先した公明党(私は異常だと思う)だった。

一般の反応は「またか」、言い換えると、安倍首相に続く「政権投げ出し」という見方のようだ。私も最初に受けた印象はその通りだ。だが、もう少し突っ込んで考えて欲しい。にっちもさっちもいかなくなって「政権投げ出し」が2代続いたのは、参院形勢逆転し「ネジレ国会」が生んだ産物である。

「またか」と言い、「無責任」と言う一般人や報道人は立ち止まって、何故こうなったか謙虚に考えるべきだ。弱者とか被害者の面をかぶり政治の貧困を嘆くのもいいが、これは民意が行使された結果の反映でもあることを当事者意識を持って感じて欲しい。

サブプライムは「市場の失敗」、年金問題は「政治(官僚)の失敗」と言うならば、政権投げ出し内閣はネジレ国会が生んだ失敗、つまり「民意の失敗」と言えないだろうか。これは「民意の失敗」だった、その反省がないと我国の政治は同じ問題を繰り返すと私は考える。■

コメント (2)
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