かぶれの世界(新)

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ベアー救済とリーマン破綻の狭間で

2008-09-17 14:55:33 | 社会・経済

9.11から7年目、テロにも屈しなかったウォール街がサブプライムに屈した。リーマン・ブラザーズが破綻し、メリルリンチがバンカメに売られた(酒井浩一氏 日経BP9/16)。これで全米証券会社トップ5のうち3社がサブプライムに打ちのめされ崩壊した。

3月に全米第5位の証券会社ベアー・スターンズの経営危機を救済し、今回4位のリーマン・ブラザーズを救済しなかった政府判断の根拠が私にはイマイチ良く分からない。リーマン・ブラザーズ破綻のニュースは世界を震撼させ、翌日各国の証券市場は大幅に値を下げた。

今回の判断が市場に伝えたメッセージは、投機ブームで巨額の利益を得たウォール街の金融業(リーマン幹部は前年百億円余の報酬を得たといわれている)が、今度は判断を誤って危機に陥ったからといって無闇に税金を使って救済することはない、金融業の仲間内で何とかしろというものだった。理屈は合っている。

結果として、米国の金融当局が金融危機に対して金融システムを守るため断固たる措置をとるとは限らない、その時々で破綻させることもあるという疑いを市場に持たせた。この判断は世界金融危機の最中では、認識不十分で不適切な判断であったと私は強く感じる。

判断の根拠としてベアー救済は破綻直前に情報が入り時間が無かった、大統領選を控え議会の反発、前期まで好業績を発表したリーマンへの見せしめ、財政赤字の悪化とドル安への懸念等が指摘されているが、最終的には破綻した場合の影響がそれ程でもなく乗り切れると判断したようだ。

ポールソン財務長官は始めから救済するつもりは無かったと記者会見で述べたという。私には大統領選を控え世論の反発を恐れる問題先送りの気配を感じる。しかし、日本の金融危機の時と同じで、事態は倫理観で判断すべき状況を超えている。

世界金融センターの後ろ盾である米国政府が市場を疑心暗鬼にさせた「つけ」は必ず払うことになる。リーマン破綻を受け世界市場は9.11以来の金融恐慌直前とも言える厳しい反応をした。一転して今日は保険大手のAIGの危機に9兆円の繋ぎ融資を決定、市場は何とか沈静化しつつある。何か状況に圧倒されて右往左往しているように感じる。 

問題を先送りすると、結局、後始末に何倍ものコストをかけることになるのは、日本の教訓でも明らかなことだ。リーマンを破綻させたことで、繋ぎ融資でAIGが一息ついても、次にどの会社の危機が起こるか市場は息を止めて見守っている。この後も決算報告が相次ぎ、何処に爆弾が隠されているか分からないと。

米国政府はこの「不安の連鎖」を早期に断固として断ち切ることに最優先で取り組む姿勢を見せ納得させる必要がある。日欧の金融当局も密接に連携して対応するのは当然だが、米国がもっと積極的に市場に介入し信認の回復に努め負の連鎖を断ち切らない限り解決は遠い。■

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