米国の大手証券会社リーマン・ブラザーズが、チャプター11(日本の会社更生法に近い)を申請するというニュースを報じられ世界の市場に衝撃を与えた。だが、テレビ朝日のニュース番組を見ていて不適切な情報をばら撒いているのに驚いた。
キャスターの古館氏が聞きかじりの知識をもとにした思い込みと事実の報道をごっちゃにして報じていたのが気になった。彼の報道姿勢はいつもその傾向がある。しかし、正義感一杯で口角泡を飛ばして絶叫するのはそれなりに愛嬌もあった。だが、今回のはいささか目に余る。
リーマン・ブラザーズの倒産が引き起こす金融不安とそれに連動したドル安は殆ど必然的だ。その結果として米国経済後退懸念が深刻になり、日欧や新興国を含む世界経済にインパクトを与え、原油需要が減少するというのが常識人の考えることだ。
投機とはいっても需要があるから原油に流入したのであって、経済後退により当面需要増が見込めないと判断すれば投機マネーは一斉に逃避し、原油価格は暴落するはずだ。もちろん、予測が外れる事も起こりうるが、それは本論をしっかり解説した後の追加情報程度で扱うべきだ。
もちろん、これはビッグ・ニュースで古館氏のいつもの大袈裟な反応自体は、今回に限っては適切といえるくらい大事だ。しかし、事実の報道といい加減な思い込みとを混ぜこぜにすることはジャーナリストとして厳に慎むべきである。番組の信頼性にも関ることではないか。■