不謹慎かもしれないが、自民党総裁選の5候補を辛口のニックネームで寸評するとこうなる。
「口曲がりオタク」: オタクのマネは人気取り、推薦者をみれば衣の下に鎧がちらちらする。大矢映子氏によれば心から笑ったときは口が曲がらないそうだ。これからは口を見よう。政策を異にする連中が勝ち馬に乗ろうとして集まってくるのは2代続いた総理の反省がないというより、自民党の性格というべきだろう。
「垂れパンダ」: 若い頃の写真と比べると重力の法則に従って顔が変わった。目じりが下がって可愛げがあるが、単なる癒し系ではない硬派。だが、具体的な政策を語り始めると聞こえの良い環境問題や少子化問題に偏り、現実感が消えて無くなる。今回は経験を積めば良いという姿勢で本気度が不足、小泉改革支持派を結集しきれないだろう。
「打たれ弱い坊や」: 改革の旗を立てるもののなんとなく嘘っぽい。道路公団民営化で既得権益・道路族の圧力を受け敵前逃亡寸前で右往左往した姿は忘れられない。しかし、修羅場を潜り抜け経歴を積めば、遠い将来中曽根氏以来の風見鶏二世といわれるかもしれない。
「片足棺おけ」: 5者会議の中で唯一知性を感じた政治家だった。他の4人に比べ彼一人がはっきりもの言うことも出来ないほど年をとっている、よぼよぼの老人のように見えた。エネルギーを感じない政治家を国民は評価しない。彼の票数は全てではないとしても自民党の良識を見る目安と見ることが出来よう。全て死票になるかもしれないが。
「籔睨み防衛オタク」: 突然出てきて地方の疲弊を強調し始め驚かしたが、かつての防衛政策を巡って上目でぐっと睨んで主張する迫力とはマッチしない。俄か候補の印象は拭えない。相手を恫喝する目つきになった時の小沢氏の凄みに到達するには年季不足。
全員日米同盟堅持というだけで外交問題は議論されることが無く、5人の間にそれほど差がないように見える。経済施策と財政規律が争点のはずだが、議論が深まらない。メディアは茶番劇と酷評するコメントを流すものの、これで次の総理が決まるのだから今後も報道しないわけには行かない。嘆く代わりに今のうちにかつて何をし、何を言ったか徹底的に身体検査したらどうか。
この間、大阪市の三笠フーズが起した汚染米の食用転用がトップで報じられた。突き詰めると農林水産省が黙認して作った都合の良いスキーム、輸入米を農家に影響を与えず処分する構造問題、のように私には見える。現状の官僚制度は国家に巣食う癌なのに、公務員制度改革に前向きなのは「垂れパンダ」氏だけのようだ。
全体に政策に深く切り込んでいく姿勢を感じない。記者会見では珍しく「垂れパンダ」氏が「口曲がりオタク」氏の改革姿勢に食い下がった程度だった。「坊や」は道路公団改革で懲りたらしい。小沢民主党代表の政権をとったら100人以上を霞ヶ関に送り込むという主張の斬新さが、自民党をぶっ壊すといって支持を得た小泉氏と同じ覚悟の程を感じる。■