麻生政権発足直後の内閣支持率が新聞各社から早々と発表された。24日に内閣が成立したばかりでまだ何もやっていないのだから、総理と内閣の顔ぶれから見た期待値ということだろう。朝日・毎日・産経は50%を切り、読売・日経は50%以上で新聞社によってかなり差がある。
この支持率の差は次の総選挙の時期を微妙に左右する要因になっている。麻生政権の最初の支持率は所謂「ご祝儀相場」の福田政権発足時と同じ55-65%を期待していたといわれ、期待値より10%低く、森内閣以来の低い支持率となった。
これを受けて政権への評価と期待、次の総選挙で自民・民主のどちらが有利か新聞社によって見方がやや異なっているようだ。例えば、毎日は政党支持が有利な結果になった自民党は選挙を早めると予測、一方産経は逆に民主党が有利で自民党の目論見が外れたと論じている。
低支持率の原因は総裁選の成り行きとその後の内閣の顔ぶれが古い自民党に戻ったように見える為といわれる。ここではその評価はさておき、メディアによって何故支持率が異なるのか簡単に議論してみたい。先ずは新聞社により支持率に一定のバイアスがあるように感じる。
下記の数字は新聞社ごとの直近の内閣支持率の推移を示す。8/1-3は福田内閣改造直後、9/24-25は麻生内閣発足直後である。朝日・毎日は自民党政権に辛く、読売・日経は甘い、産経はその中間にある傾向は両期間に共通している。
8/1-3 9/24-25
朝日 24% 48%
毎日 25% 45%
読売 41% 50%
日経 38% 53%
産経 29% 45%
新聞各社のスタンスが親政権かどうかは自由だが、本来同じものを伝えるはずの世論調査の結果の差が統計学的に許容できる誤差の範囲を遥かに越えているのは気になる。世論調査結果の大きな差について納得できる説明を私は聞いたことがない。メディアは放置していいものか。
以前、長野県知事選でインターネットと電話調査による支持率と選挙結果を比べ、サンプリングによって調査結果が大きく異なると書いたことがある。そのときは端無くも老人世代の意向が選挙結果に大きく反映されたことを学んだ。
今回、朝日のサンプリングはコンピューターで無作為に選んだ電話番号によると報じている。他の新聞各社のサンプリングも恣意的にならないよう工夫されているはずで、サンプリングによって差がついているのではなさそうだ。
異なる世論調査結果が生じるもう一つの要因として設問の仕方がある。この分野について私の知識は限られており、新聞各社のどの設問の仕方が調査結果に影響を与えたと具体的に指摘できない。設問自体にそれほどバイアスがかかっているようには私には思えなかった。
しかし、結果は新聞社ごとに明らかな傾向(バイアス)があるように感じる。サンプリングが公平で設問に差が無ければ、調査の回答率が50%程度であることに秘密があると私は推測する。 ある比率(5-10%程度)の回答者は、例えば読売の政治スタンスを普段から知っており、それを理由に回答したり拒否したりする為結果的に親自民党政権になるのではないかと思われる。この推測は調査の最初に「読売新聞」と名乗っているという前提である。 そうだとしても、新聞各社の世論調査を総合して時間軸で見ると相対的な支持率の傾向はかなり正確に知ることが出来る。米国にはギャラップなど世論調査を専門とする民間調査機関がある。加えて、同じテーマで実施された全ての世論調査を時間の推移とともにグラフにプロットして一目で分かる便利なブログ(http://politicalarithmetik.blogspot.com/)もある。参考までに。■