日本がTPPに参加すべきか否か、これがこのところ断続的に繰り返して報じられる最大にして最優先テーマだ。先は長いけど福島原発事故をどう収束させるかプランが出来ている。TPPこそ我国のあり方を決める極めて重要な判断の分岐点に立っていると私は考える。TPP参加の可否の決断に残された時間が少ないという点からも、今最優先で考えるテーマである。
私の背景はやや微妙だ。農家の跡取り息子だが、企業で長年働いた一サラリーマンでもある。ここでは選挙民の一人として私の考えを紹介する積りだ。例によって天邪鬼で皮肉っぽく私の「大胆占い的見解」である。言いたい放題で誤解を招きかねないと思うが、お許し頂きたい。感情的な反対論が多いように感じるので、この際私も感情的賛成論をぶってみたい。
結論を先に言うと、強硬な反対論を押しのけ断固としてTPP交渉に参加すべきである。理由は端的にいうとそれが技術立国日本の進むべき道だからだ。TPPなど開国を進め日本の得意技を最大限生かすシフトをとり、その上で弱者を救済すべきだ。メディアやポピュリスト政治が大好きな「弱者の正義」を優先して国策を決めるべきではないと言うことだ。それは負け犬の戦略であり、衰退する国の戦略だ。逆に言うと強い国でなければいつか弱者すら救えなくなる日が来る。
最大の反対論は農業団体から発せられているが、彼らの多くは長年にわたり補助金漬になっている既得権益団体だ(勿論例外もある)。補助金の多くは輸出産業など企業からの直接間接の税金から賄われている。今、TPP反対論は補助金の出所である企業活動の足を引っ張ろうとしている。人としてそれをやっちゃいけないだろう、私はそう感じる。
ウルグアイラウンド以降かつての自民党政権の農業政策は、何兆円もつぎ込み農家・農協や農機具メーカーを潤したが、多くはハコモノに変わり日本の農業を強くしなかった。今、反対の先頭に立っているのは何兆円も注ぎ込まれたのに、依然「私たちは弱者だ、もっと守ってくれ」と言う人達だ。そんな連中にいくらお金をつぎ込んでも無駄使いするだけだ(済みません)。
税金だと誰からのお金か忘れてしまっているようだが、補助金の出し手は国というが納税者であることを忘れてもらっては困る。納税者のかなりの部分は輸出産業と関連産業などとそこで働く人々なのだ。TPP絶対反対を叫ぶ人達を見ると、納税者としては感情的になってもおかしくない。「よくそんなことが言えるもんだ」と言いたくなるのが少なくとも私の正直な感じだ。
論争の詳細を調べると噛み合わない主張を感情的に繰り返している。例えば、議論の透明性が無いから反対、経産省や農水省が我田引水的に算出した効果損失では判断材料にならない、農業に加え医療など他の分野まで不利な取引をすることになる、外交交渉の駆引き論から米国の陰謀説、先に締結された米韓FTAの問題(ラチェット規定(逆回転禁止)とかIDS条項などを議論)等等、議論は一方的で収束しそうも無い。
議論を総合してみてトータルでベストな解を求めようと言う議論が極めて少ない。あっても聞こうとしない。痛みは少しでもあったら反対する。多次元の主張をメディアが整理して伝え国民的コンセンサスを作って行く、最近の報道を見てそういう動きを感じ取れない。なんかそういう国が世界で増えているような気がする。国が破綻しそうになっても既得権益のみ主張する人達だ。
広義の民度が低い問題だけでなく、選挙制度にも大きな問題があると私は感じる。報じられるところによれば、与野党併せてTPP反対議員が400人もいるという。そんなに農民はいないはずだ。一方、TPPで利益を得るサラリーマンや消費者は何倍もいる、彼等は何を考えどう反映されているのかそれこそ不透明だ。極端に言えば議員は農協の組織票が欲しいだけだ。既得権益の大きい声を黙って聞いていて良いものか。■