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進まぬ銃規制-救い難い米銃社会

2013-08-21 14:46:56 | 国際・政治

国の銃規制強化の行方は滅多に話題にならなくなったが、今もゆくえが気になる重要なテーマだ。昨年20人以上の子供達が犠牲になった銃乱射事件で一気に盛り上がった銃規制は一向に進展を見せず、その後も類似の事件が続発している。一体アメリカはどうしたのだろうかというのが常識ある人は思っているはずだ。

今月に入って購読中の日本経済新聞は、2度にわたりコラム記事で議会の反対にあい銃規制が停滞していると報じた。オバマ大統領は優先課題として取り組むと宣言したが、4月に上院が法案を否決し再審議のメドすら立ってないという。

その時そう思ったが、今回もひどい話だと改めて思った。昨年12月コネチカット州の小校で起きた銃乱射事件直後に「NRAは米国のJAか」と題して、それほど銃規制は簡単にいかないだろうと皮肉っぽく予想した。NRA(全米ライフル協会)の政治圧力で議会が動かないだろうと。

実際そのような展開となり議会で否決された翌月に、「銃規制を阻む米国の異常」と題してオバマ大統領の権威は傷つけられたと投稿した。それよりも深刻なのは米国型民主主義が機能してないのではないかとの疑いだ。

その後、銃規制強化が全く進展していないと報じる今回の記事を見てその思いを強くした訳だ。世論調査で国民の9割が賛成した犯罪暦照会の対象拡大などほぼ全ての法案が否決されたままだという。国民の9割に支持された法案が議会で否決されるような民主主義があるのか。しかもそれが民主主義のリーダーを標榜する米国だとは。これは救い難い。

因はNRAの政治圧力に負けた議員が野党の共和党だけでなく民主党にも出て、反対が多数派になったという。冒頭の記事で、NRAは日本で言えばJA(農協)以上の政治力があり、銃規制は難しいと予測した。選挙で議員を選び、その議員の多数決で物事を決めていく、それが大多数の国民の考えに反する、民主主義のシステムに突きつけられたパラドックスだ。

テーマは異なるが我国でも同様の仕組で多数の国民が望む政治が実施されない例が山ほどある。少数の利益が多数の意見を乗り越える、この少数派は強い意思を持ち現在の「民主主義制度に守られた既得権益」だといえる。

先の参院選でも比例区で議員の殆どは、農協や組合などの団体の支持を受けて当選した。この団体は全体から見れば数%にも満たないが、比例区では強力な集票マシンとなる。彼らの忠誠心は数%にも満たない団体(既得権益)に向かう。

銃規制についていうなら米国は救い難いバカだと指摘したが、それも一つの既得権益と考えれば日本も随分バカなことをしてきた。それは民主主義の払うべきコストだろうか。政治家にとってコストは議席に直結する。このコストに立ち向かい改革を進めるには「強い意志」を乗り越える「鉄の意志」が求められ、それを示したのは小選挙区導入後では唯一小泉氏だった。

参院選で大勝した自民党はこの既得権益層を代表する議員を大量に抱えることになった。選挙のうたい文句だった決められる政治が、大勝してそうなったかというとまだ分からない。規制改革を推し進める事は既得権益層の利益にならないことが多い。安倍首相にその覚悟があるだろうか。米国では銃規制が中間選挙の争点になり進展するだろうか。両方とも楽観的になれない。■

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