かぶれの世界(新)

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米軍イラク増派が難しい理由

2005-07-03 17:12:18 | 国際・政治
先月「イラク停滞」と題してイラク治安がかなり悪化していると報告した。NYタイムスの名物記者フリードマン氏は痺れを切らし、今までの犠牲を無駄にしないためにはイラク投入戦力を倍増しさっさと安全な環境を作り出せと主張していると紹介した。更なる戦力投入が可能か米軍の実態を報じた記事(Fカプラン氏)を見つけたので紹介する。

米軍の総数は百万人といわれている。40万人が戦闘兵士で、そのうち15万人が現役、残りが州兵と予備役である。そのほかは後方支援と兵站、医療、訓練など多岐にわたっている。勿論兵站といえども戦闘に加わりイラクでも実際多数の戦死者を出している。3000人から4000人の戦闘兵士が旅団を構成、イラクに10、韓国1、アフガン1の旅団が配置されている。これら12旅団は1年置きに交代するため米国に帰還した12旅団がある。更に訓練中の15旅団をあわせ多少出入りがあるが合計37の現役戦闘旅団がある。

現在、志願兵募集が定員に満たず難航している。第2次大戦時には数百万の兵が志願した。ドラフト復活も議論されているが、軍幹部は士気の問題、政治家は国民の支持を得られないとしてどちらもドラフトの導入には否定的である。軍は総兵士数の増員は現実的でないと考え、戦闘支援の効率を改善する構造改革をして戦闘要員の比率を高め戦闘旅団の数を増やす計画を実行中だがその数は限られていると思われる。ブッシュ政権はドル札を刷って資金は捻出できても兵士は刷れないとカプラン氏は結んでいる。■


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米長短金利差縮小が続く

2005-07-03 09:32:43 | 社会・経済
GM社債格付けショックで一時市場は混乱したがこのところやっと落ち着きが出てきた。一時10,000ドルを切りそうになったダウ平均は10,300ドルまで戻した。連銀は何事もなかったように予想通り短期金利を0.25%あげて3.25%にした。欧州の混乱・原油高と連動しドル高が進んだ。年末には3.75%になるというのが大方の見方である。

元々このトピックは「不透明感が増す世界経済」と題して米国短期金利が上昇したのに長期金利が上昇しないという異常事態になったため書き始めた。依然として長期金利は10年物国債の利回りが4%を割るという異常さが続いている。GMの不調の原因の一つは自動車ローンの資金をベースにした金融部門が長短金利差を利用して利ざやを稼げなくなったためでもあった。私には何も解決しないまま事態がどんどん進んでいるように感じ落ち着かない。

グリーンスパンは前回FOMCで長期金利が動かないのを謎だといったが経済人はもう頭をひねるのをやめたのだろうか。私の理解では基本的に長期金利の低下は経済政策に対する信任であり、先々インフレの恐れがないと市場が判断しているというメッセージである。しかし、米国経済はピークを打ったという見方が強まっている。更にこれだけ長短金利差がなくなると逆転する可能性も出て来る。

その原因として専門家は二つに分かれている。一つは輸出国の過剰貯蓄が米国に流入し経常赤字を膨らまし金利を下げているという説である。もう一つがグローバルな過剰流動性が米国債の金利低下と住宅バブルを起こしているというもの。原因をどう考えるかにより対策は内需拡大か金融引き締めのどちらかになる。私には日本はその両方が同時に起こっているようにみえるが。

素人の私が即物的に思いつくのは、まず長短金利差が更に小さくなると住宅ローンがまず影響を受けバブル気味の住宅市場がバーストする可能性があると思うが、調べた範囲ではそんなに騒いでいる様子はない。上記GMだけでなく金融関連ビジネス、つまり金利差で稼ぐ金貸し業(銀行など)はかなり影響を受けるはずなのだが…。素人には理屈で説明できない理解を超える状況が続いている。ほっといても大丈夫なのかー?■


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Timeの裏切り(続)

2005-07-02 15:14:28 | ニュース
午前中一汗かいてインターネットの藪漕ぎをしてみたが明快に事情を説明してくれるものが見つからなかった。最初に新聞に暴露記事を書いた評論家のロバート・ノバク氏が召喚されたのかどうか大陪審自体が秘密なので誰もわかっていないようである。しかし大方は状況から判断して召喚されてないはずはないと見ている。召喚されたが法廷侮辱罪を免れるため修正第5条を適用し司法取引した可能性が高いと見られる。単純に証言拒否すると同じ目にあうはずだからである。または情報源の名前以外の情報を証言した可能性もある。ところで奇妙なことに情報源は既に割れている、チェニー副大統領の補佐官Scooter Libby氏であるとWポストは昨夏報じているがどういうことなのだろうか。依然として真相は藪の中にある。■

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Timeの裏切り

2005-07-02 09:35:09 | ニュース
最初にこのニュースを聞いた時は耳を疑った。連邦最高裁の判決は予想通りであった。端的にいうと国家安全は報道の自由より大事という判断だ。国家機密を漏らした情報源を明らかにしないので、タイムとNYタイムズの記者2人を刑務所に送り込むというものだ。そこで予想されないことが起こった。タイム社が、情報源がわかると思われる取材メモを提出すると発表したのだ。同社は司法決定に従う責任があるという判断である。

しかしそれは自社の記者が匿名の情報源への取材の道を閉ざしたことにならないか。自社の記者への裏切りにならないのか。今までと同じように取材が出来るだろうか。私はタイムの読者だが今後の記事の内容が今回の発表を多少なりとも反映したものになるなら購読を止めたいと思う。それとは別にこの丸秘情報を最初に記事にしたノバク氏が何の罪も問われないのは何故だろうか。■


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中国の民主化事情

2005-07-01 12:44:15 | 国際・政治
日中関係が悪化し、米中関係が微妙に推移している背景には中国が共産党一党独裁のもと言論や私有財産が抑圧されている国であり、いわゆる自由な国とは異なるルールで物事を判断し行動する国であるという認識がある。反日デモの後中国政府は過激なWebサイトを閉鎖させたり、マイクロソフトにインターネット検閲のソフトウエア開発といったニュースが報じられているが、今までの世界の報道をレビューすると民主化の流れも着実に進んでいるようである。

その一つが、このブログでも何度か紹介した農民の反乱をメディアが報じるようになったことである。先月11日の河北省定州市で発電所建設に反対する農民と暴力団の対決は間をおかず北京のメディアが報じた。農民の地方政府への反発は全国的に起こっており、開発を推進する地方政府が起こす環境問題や土地収用に絡むトラブルがその原因となっている。メディアは100%共産党の代弁者であり間をおかず報道したということは明確な内部方針があるということである。党中央が環境悪化に危機感を持ち地方政府の乱開発を抑制し中央のコントロールを強める手段の一環として記事を書かせたのであり、民主化推進が目的でない。しかし例え官製であっても環境アセスメントを進める結果として農民の権利意識を高め、地方政治プロセスの透明化を高める効果がでているようである。

一方、都市部では海外からの進出企業の元で働く従業員が、日々の厳しい競争の中で顧客の満足を勝ち得る合理的なビジネスプロセスを徹底して追求するよう訓練され意識変革が起こっている。又、大量に再生産され続けている中産階級の富に対する貪欲さ(世界有数である)は基本的に資本主義的自由、いわゆる市場原理主義に基づく発想を求めている。ロシアの石油富豪が陥ったように法に基づく判断より政府がいつ変心するかの方が大事なこの国で、人々はまだ用心しながら意思表示しているが、基本的にこの流れは変えられなくなっているように思える。理由は何であれ全体的に中国での人権意識の高まりは例を見ない速さで進んでいる。

極論すると中国は近い将来共産党に逆らわない限り何でもやっていい社会になりそうである。共産党は生き残るため嘗ての行動基準であった教義などいつでも捨てて国家安定の道を選ぶはずである。法に基づかない政治的裁量が続くとしても。全体として民主主義とはいえなくとも自由主義の方向に行くと私は思う。中国がどこに向かうのかは世界の一大関心事であり、唯一のスーパーパワーである米国の不安の種である。直下の問題として、中国政府の意を受け中国銀行が資金調達するいわば国営石油会社CNOOCの米国UNOCAL買収は果たして資本主義のルールに則ったものかと言う疑問(不安)がある。この後も次々と同種の中国政府が後押しする買収案件が出てくるのは間違いない。中国政府は単なる経済行為として扱うよう求め、米国は最終的には冷静にWTOルールの基づき相互主義(経済的民主主義の方向)を要求していくことになるだろう。■


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