かぶれの世界(新)

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ロンドン爆破テロ

2005-07-09 23:18:46 | ニュース
まだ論評できる状況にないが私が入手している情報をここで整理しておきたい。

今までに死者は50人以上、負傷者は700人以上とされているが、地下鉄トンンネル内の復旧が難航しており、死者数はどこまで増えるかわからない。英国当局は最初事故の規模に対し死者が少ないことに驚いたと言われている。
地下鉄爆破3ヶ所は殆ど同時に起こり、1時間後バスの爆破はアマチアっぽい誤爆によるものらしい。
爆薬はスペイン列車爆破に使われたプラスチック爆弾ではなく、容積の大きい旧式のものといわれたが確定されていない。スペイン当局が関係者を派遣、FBIも駐在員を倍増した。
携帯電話に連動した無線爆破や自爆テロでもなく、単純なタイマーによる爆破であったと推測されている。
外国から侵入したテロリストではなく英国内で育ったスリーパーの犯行と推測されているが、アルカイダ系組織の関与がある模様。
テレビで見た英国人は血を流しながらも感情を抑え冷静にインタビューを受けているのは印象的で、最近の中韓の感情を露に出すデモとは対照的であった。ブレア首相の抑えた表現はいかにも英国的で、9.11に対するブッシュとも好対照であった。
地下鉄内や街路に設置されたCCTVカメラの分析が進めば犯人像が見えてくるだろう。遺留物のDNA鑑定による割り出しも進んでいる。
ロンドンはニューヨーク以上に開かれ他民族が住む国際都市に生まれ変わり、ビジネスや芸術などで最も活発で繁栄している。英国には200万人のイスラムが住んでいるといわれており、多くの過激派が生まれている。
各国は公共運輸システムの危険警戒レベルを高め、安全性のチェックをしているが概してオープンシステムで安全性の確保に苦慮している。
いまや普通のイスラムが立ち上がり、自らイスラム原理主義者のテロを防ぐ行動をとらないと、彼らが欧米の社会に住めなくなるという雰囲気が出始めたように感じる。
G8のテーマは反テロがメインテーマになったが、アフリカの支援・HIV救済については合意を得たものの、温暖化について米国に足を引っ張られ、中東和平に進捗が見られず、ブレア首相には不満が残る結果となった。(私は本来のテーマが底流でテロと関係しないとは言えないと思うが。)■


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中国のUnocal買収はOK

2005-07-08 08:41:51 | 国際・政治
この1週間色々な意見を読み考えたが、CNOOCのUnocal買収はトータルで見て中国だけでなく米国も残りの世界も失うより得られるものの方が遥かに多いというのが私の結論である。Unocal買収は昨年からの中国企業のIBMPC部門やMaytag等の買収や80年代の日本企業の買収とも意味合いが異なり非常に戦略的なものである。

中国は成長を続けるために石油はどうしても必要であり、Unocalがダメなら替りを探すだけである。しかし、残るところは限られている。スポット市場からの調達と更に不足分をアフリカ、中央アジア、中南米の政情不安でいわゆる圧制国家の石油を買うしかない。結果的に石油高騰と独裁政治体制を助け延命させると非難されても共産党政権存続がかかっているので他に選択はない。

元々買収をオファーしたシェブロンは、石油ロビーの強い影響力を行使して議会に働きかけ、中国政府の後押しで買収が進められるとエネルギー安全保障上問題があると決議させることに成功した。シェブロンはエネルギー安全保障の問題に摩り替えているが、結局のところ中国に同じ石油を高く売って利益を上げる狙いに他ならない。シェブロンのUnocal買収は彼らの利鞘分だけ国際石油価格を高騰させ、中国を圧制国家に押しやることに繋がる可能性が非常に高い。

私はCNOOCのUnocalの買収は基本的に認めるべきであるが、単純な経済行為としてだけの判断にする必要はないと考える。買収が戦略的である限り両国の交渉の材料になりうる。米国は時間をかけ中国の人民元切り上げや民主主義化、知的財産などの関心事と絡めながら中国とコミュニケートし、ベストケースとしては最終的に米国民の感情的な不安(不信)を静めて買収を認めるシナリオを目指して環境を整えていくべきである。■


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Timeの裏切り(続々)

2005-07-07 11:27:14 | ニュース
今朝メールボックスをチェックするとNYタイムズのミラー記者が証言拒否の法廷侮辱罪で収監されたという速報が入っていた。一方雑誌Timeの記者は匿名情報源が名前を明かしてよいという許可を得たので証言することになったという。最初に情報を公表したノバク氏はお咎めなし、その後記事を書いたクーパー氏は証言、何も記事を書かなかったミラー記者は刑務所入りという予想外の展開となった。NYタイムズはTime社を非難しミラー記者を最後まで守ると報じたが、一方記者といえども一旦判断が出たら法に従うべきという声も強い。噂されていたブッシュ大統領再選の立役者カール・ローブ氏は情報が公開された後しか記者とは話していないと疑惑を否定した。集中して批判を受けているノバク氏はすべてが決着後彼の知っていることを話すといっている。まだ真相は藪の中だがミラー氏がヒロインになるのは間違いない。■

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JR尼崎事故は日本病!

2005-07-05 11:55:20 | ニュース
柳田邦男氏が月刊「現代」7,8月号に書いたJR西日本福知山線の事故の調査検証報告は短期間にもかかわらず期待通り事故の本質に迫った内容だった。事故にあった人達の目線で見た現場からの発想から、ヒューマンファクターの分析、経営体質・組織の問題を取り上げ、後半で雪印や三菱自動車と共通する一流企業の感性・危機意識の欠如を「日本病」と呼んで警鐘を鳴らしている。

短期間にこれだけの分析が出来るのは、著者の多様な経験と考えがあり彼の公式に事故を無理なく当てはめる事が出来たからであろう。基本的な考え方は既に80年頃の著書「死角、巨大事故の現場」等にありその延長線上で調査分析されている。何故少し気をつければ防げる簡単なミスが起こるのかヒューマンファクターの視点から説明されているのを見て当時新鮮さを感じた。人は気がかりなことがあると注意力が散漫になり誰でも簡単なミスを侵す、ミスを前提に安全を考えるべきというものであった。日本では事故の責任を取らせる為よりトップから現場まで人に焦点を当て、仕組みから手順までシステムの改善が十分でない場合が多い。加えて今回の問題は事故に至る過程とその背景が当時より悪化している、柳田氏は病んでいると捉え「日本病」と呼んだ。

年月かけて愚直に技術・品質を追求し作り上げた日本鉄道の安全神話が壊れた。いつから大本の底流変化が始まったのだろう。柳田氏はバブル崩壊後日本企業が業績至上主義になり優先順位が狂ったことに原因を求めている。私はその少し前管理職として働き始めた頃に発生したバブルにより私自身を含め人々の心の変化を感じていた。バブル崩壊後、末端からトップまでもがき苦しみ業績回復に努めた。その論理的根拠で精神的支柱になったのは善悪にかかわらずグローバルスタンダードであり、経営コンサルタントが全国に布教したのである。経営者はコンサルタントに選択と集中、効率化やリストラは聞いても安全第一は聞かず(人は聞きたいことのみ聞く事を忘れてはならない)、現場から経営幹部までじわじわと心の変化が進んだ。

三菱自動車の事故隠し・データ改ざんのニュースを聞いた時、最初は危機管理や情報伝達の問題と思ったのだがそうではなかった。「このりんごは芯が腐っている、一部の人の心得違いと違う。人や組織を変えてもそう簡単に直らない」と感じた。80年代米国製造業の品質の悪さは我々から見ると信じられないくらい酷かったが、日本でそれが起こった。同じような不祥事が続出するのを見て柳田氏が「日本病」と呼んだのは的を得ている。ビジネスだけではない、政・官・メディアの三権も優先順位が狂ってしまった。この事故の報道にも本質に迫り改革に手を貸していこうという姿勢は感じられなかった。柳田氏は「日本という国のシステムの根本的な欠陥」であるという。

80年代に日本が日の出の勢いで経済成長を続け世界を圧倒していた頃読んだ欧州の老歴史家の論評が今でも忘れられない。その趣旨はこんなものだった。「世界の歴史を辿ると、日本が繁栄を何年も続けるとは思えない。繁栄を世代を超えて伝えるのは大変なことなのだ。豊かな社会で育った次の世代に、競争力があり優れた“日本文化”(礼儀正しさ、規律、労働規範等)なり哲学を継続して伝えられると思えない。日本社会には世代を超えて伝えるべき強い精神的支柱はない。1世代、長くて2世代だけの繁栄でその後歴史の表舞台から消えていくだろう」と。当時は随分日本を甘く見てるなと思ったが忘れることは出来ない言葉であった。最早私には10年経ったらどうなっているか予想もつかない。■


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ツールドフランスの魅力

2005-07-03 18:46:55 | スポーツ
今年の夏もツールドフランスが始まった。初日は昨年より大幅に短距離(11.8マイル)のタイムトライアルで始まり、前人未到の7連覇を目指す米国のランス・アームストロングが2秒差で2位につける好調なスタートを切ったようである。今年は直前の予想は芳しくなかったが、又もや対抗馬のウルリッヒを追い越して1分以上の差をつけ衝撃を与えたと報じている。アームストロングが勝って以来、米国では自転車競技の露出度が高まった。残念ながら日本の地上波では中継されないと思うが、先日、昨年の録画を見て改めて自転車競技の面白さを思い出したので紹介する。

先月29日朝方、CATVで昨年のツールドフランス第19ステージの録画が流され、ランス・アームストロングが圧倒的な強さで6連覇を事実上決めたシーンを見た。翌日の第20ステージでパリの凱旋門まで走りツールドフランスが終わるが、パリダカと同じように最終日の順位は変わらないことになっている。彼が初優勝した頃はガンを克服したサクセス・ストーリとしてフランスで好意的に報道されていた。今では余りにも強く過去のフランスの偉大で愛されている選手の記録を次々に打ち破っていくので、最近は勝ちにこだわり過ぎる等と重箱の隅を突いて必ずしも好意的とは思えない記事が報じられている。

テレビで見る絵からでも彼の強さはダントツで、他の選手に絵が切り替わった瞬間力強さや速度が違うことが一目でわかる。第19ステージは総合成績の低い順に1分おきに次々にスタートし個人の能力が問われるタイムトライアルだった。アームストロングが前を走る総合2位の選手を追い越しそうになった。追い越すというのは相当の実力差とかアクシデントがないと起こらない。実力的にただ一人対抗すると見られるドイツのウルリッヒはアームストロングさえいなかったら何度も優勝出来ただろうと言われるが、一度も総合優勝できず(多分)引立て役になっていた。大相撲の柏戸みたいな役回りだ。アームストロングは今年を限りに引退すると報じられている。

ツールドフランスの魅力はピレネーやアルプスの山岳地帯と田園地帯を抜けていく美しいコースを世界一流の自転車選手が高速で疾走していくことであろう。沿道には熱狂的なファンが取り囲み接触事故もたまに起きる。その数日前に1000m以上の山を5回も越えなければならない距離約250キロメートルにもなる昨年の17ステージ後半の録画も見た。自転車競技は後につけると20%程度風力を減らすことが出来るといわれており、先頭を走り続けると一挙に消耗する。しかし一発勝負でその日限りのステージ優勝を狙う選手が一山毎に勇敢に次から次へとアタックをかけ、力尽き吸収され脱落していく。一方有力チームの脇役が献身的にエースの前に立ち集団のペースをつくり、最後に力尽きて落ちていく。ところが17ステージでは脇役のランディスが奇跡的に最後まで勝負し、しかも250kmの最後の1mでアームストロングが勝つという、正にドラマが起こった。録画なのに興奮した。そのランディスは今年移籍してライバルになる。

今年の第1ステージのベスト10を見ると米国4人、カザフ、ハンガリー、スイス、ドイツ、ロシア、スペインが各一人とお家元のフランスやイタリーが一人もいない。昨年もそうだった。日本では人気がないが自転車競技は世界中の選手が参加して競う完全にグローバル化したスポーツなのである。ツールドフランスが世界最高峰の自転車レースの位置を保てるのもこのオープン性による。大相撲もそういう日が来れば逆説的には成功したといえるのかもしれない。自転車競技に余り馴染がない人はアームストロングの恋人が日本でも人気のある歌手シェリル・クローだといえば多少興味が湧くかも。■


コメント (2)
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