かぶれの世界(新)

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無視された大記録

2008-09-20 16:40:11 | スポーツ

17日カンザスシティでイチローがシーズン200本安打を記録した。メジャーリーグ(MLB)野球歴史上2人目の8年連続200安打である。最初の記録が1800年代に始まったというから一世紀振りの凄い記録だ。しかし、何故か米国では極めて控えめな報道だった。今回その理由について考えてみたい。

その日のMLBホームページでは、ヤンキースのジーターが本拠地のヤンキースタジアムでゲーリックの記録を上回るヒットを打ったニュースがトップに来て、イチローの記事は「その他のニュース」をクリックしないと見つからなかった。随分扱いが違うと思った。方や一チーム内の記録、一方は100年ぶりのMLB記録、どちらのニュース価値が高いか自明のはずと思うのだが。

ESPNなどのスポーツ・メディアのサイトを見るとイチローの記録はヘッドラインの一つだったが、事実を淡々と伝えるような内容だった。さすがに地元シアトルの新聞だけはイチローの記録を称える署名入りに記事を見つけたが、全米ではイチローの大記録は殆ど無視されたも同然の扱いを受けたといってよい。

数年前にシーズン最多安打を打ったときは前の記録保持者の家族を招いてセレモニーまでしたというのに随分扱いが違った。今回最もイチローを称えたのはカンザスシティの観客のスタンディング・オベーションだった。それも全米には中継されなかったろうと思う。

何故、米国のメディアがこれほどイチローの記録に冷淡だったのだろうか。今までの経験では彼らは日本のメディアに比べ概して公平だと思う。米国野球ファンは豪快なホームランが好きな一方で、チームの勝利に貢献する打点・出塁率・塁打数など色々な角度から分析してデータで選手を評価する姿勢がある。

実はイチローを称えた地元新聞の記事でも、最初に先ずその点での物足りなさを指摘している。日本でのキャリアを含め今シーズンは最低の打点と長打率、シーズン出だしでキャリア最長期間3割を割ったことを最初に取り上げ、そうは言っても(‘Having said that’という決まり文句)大記録だと褒めている。逆説的だが、そう断るところに隠された本音があるのかもしれない。

つまり、イチローは勝利に貢献してないと見られている。対照的にチームは史上4度目のシーズン100敗目を記録する勢いで負けている。今やイチローはMLBを代表する選手でチーム一の高給取りであり、チーム成績の責任の一端があるという指摘を感じる。その意味で記録では劣るがジーターはヤンキースのリーダーとして前面に出てチームを引っ張ってきたのは事実だ。

WBCで日本が勝った時はイチローのリーダーシップは群を抜いていた。ホームランより着実にランナーを進め少ない得点で守り勝つ日本のスモール・ベースボールも高く評価された。なのに、MLBではイチローが何故チームリーダーとして機能しないのだろうか。ビジネスや政治の世界でよく見られるシーンの延長線上にあるのかもしれない。

とはいっても、8年連続200安打は凄い記録だ。その間ケガもせずコンスタントに結果を残す選手はこの100年間いなかった。ビジネス(興行)としてファンを魅了する野球は違うというのかもしれない。そうだとしても、もっと評価されてしかるべきだ。彼が東部のチームにいれば扱いが違ったかもしれない。■

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介護録08夏

2008-09-19 13:01:22 | 日記・エッセイ・コラム

今回からタイトルを変更します。従来のタイトルは世の中を騒がせ政治問題化した保険制度を揶揄したもので、若干冷ややかに斜めから見た私自身の介護経験を著わすものでした。このタイトルは真正面から介護に取り組む気持ちを表したものです。

さて、8月末に東京の自宅に戻った後私の最大の関心事は、私がいなくとも母がヘルパーの助けを借りてどう自宅介護を続けるかだった。実家に同居していた時私がやった生活の身の回りのことを、声かけだけで出来るだけ母にやらせるよう見守って欲しいとヘルパーの責任者の方にお願いしてきた。

帰京して暫らく経った日に責任者の方から近況を知らせる手紙を頂いた。母は3日おきに家から300m程度離れたゴミ捨て場を歩行機の助けを借りて往復し、2週間おきに掛付けの医者にタクシーで通っていることを伝えるポジティブな内容だった。期待したベストの内容に正直ほっとした。

いつも決まりきった朝食で飽きたのでたまにはパン食にしたいと母が言っており私の了解を得たい、と手紙は続けていた。それ自体は問題ないのだが、余分な食物が母の目に付くところにあるとチョット問題だと思い、その旨葉書で返事した。

数日後、責任者の方から介護費の振込みの確認の電話があり、そこでパン食について聞かれた。葉書と行き違いになったらしい。パン食にしても良いがその分ご飯を減らすなど余分にカロリーを取らないよう気をつけて欲しい旨お願いした。また、母はどちらかというと完全主義者で、最初頑張って全てを完璧にやろうとして途中で息切れをする場合があるので、今後も見守って欲しいとお願いした。

ところがそれから更に数日後のこと、ウェブカメラを見ていた家内が夕食後にパンを食べている母を目ざとく見つけた。実は私もその1日前に朝10時過ぎに配達された昼食を食べているのをカメラで見て「まずいなー」と思っていた。

血糖値が跳ね上がらない限り一々口を出さないで様子を見ようと思っていたが、これでは放って置けず責任者の方に連絡して対応をお願いすることにした。早速責任者の方に連絡し翌日ヘルパーの方が冷蔵庫を調べ、残った食パンの数が1枚少ないことが分かった。

余分な食物があると母は我慢できずに食べてしまうのは病気で善悪の話ではない、だが、冷蔵庫に余り物を入れるのは止めて下さいとお願いせざるを得なかった。ヘルパーの方は母が食欲を自分では管理できないと理解してくれていると思っていた。しかし、彼らは医者でも栄養士でもない。そこまで一々食物を管理してくれとは言えなかった。

そういう混乱はあったものの母の自宅介護は、概して言うとうまく行っていると思っている。期待値が低かったせいでもある。母なりに生きる意欲を取り戻し頑張っている。心配なのはその意欲が何時までも続く訳ではない。挫けない様に元気付け、一方で母が出すシグナルを見落とさないよう努めたい。■

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ベアー救済とリーマン破綻の狭間で

2008-09-17 14:55:33 | 社会・経済

9.11から7年目、テロにも屈しなかったウォール街がサブプライムに屈した。リーマン・ブラザーズが破綻し、メリルリンチがバンカメに売られた(酒井浩一氏 日経BP9/16)。これで全米証券会社トップ5のうち3社がサブプライムに打ちのめされ崩壊した。

3月に全米第5位の証券会社ベアー・スターンズの経営危機を救済し、今回4位のリーマン・ブラザーズを救済しなかった政府判断の根拠が私にはイマイチ良く分からない。リーマン・ブラザーズ破綻のニュースは世界を震撼させ、翌日各国の証券市場は大幅に値を下げた。

今回の判断が市場に伝えたメッセージは、投機ブームで巨額の利益を得たウォール街の金融業(リーマン幹部は前年百億円余の報酬を得たといわれている)が、今度は判断を誤って危機に陥ったからといって無闇に税金を使って救済することはない、金融業の仲間内で何とかしろというものだった。理屈は合っている。

結果として、米国の金融当局が金融危機に対して金融システムを守るため断固たる措置をとるとは限らない、その時々で破綻させることもあるという疑いを市場に持たせた。この判断は世界金融危機の最中では、認識不十分で不適切な判断であったと私は強く感じる。

判断の根拠としてベアー救済は破綻直前に情報が入り時間が無かった、大統領選を控え議会の反発、前期まで好業績を発表したリーマンへの見せしめ、財政赤字の悪化とドル安への懸念等が指摘されているが、最終的には破綻した場合の影響がそれ程でもなく乗り切れると判断したようだ。

ポールソン財務長官は始めから救済するつもりは無かったと記者会見で述べたという。私には大統領選を控え世論の反発を恐れる問題先送りの気配を感じる。しかし、日本の金融危機の時と同じで、事態は倫理観で判断すべき状況を超えている。

世界金融センターの後ろ盾である米国政府が市場を疑心暗鬼にさせた「つけ」は必ず払うことになる。リーマン破綻を受け世界市場は9.11以来の金融恐慌直前とも言える厳しい反応をした。一転して今日は保険大手のAIGの危機に9兆円の繋ぎ融資を決定、市場は何とか沈静化しつつある。何か状況に圧倒されて右往左往しているように感じる。 

問題を先送りすると、結局、後始末に何倍ものコストをかけることになるのは、日本の教訓でも明らかなことだ。リーマンを破綻させたことで、繋ぎ融資でAIGが一息ついても、次にどの会社の危機が起こるか市場は息を止めて見守っている。この後も決算報告が相次ぎ、何処に爆弾が隠されているか分からないと。

米国政府はこの「不安の連鎖」を早期に断固として断ち切ることに最優先で取り組む姿勢を見せ納得させる必要がある。日欧の金融当局も密接に連携して対応するのは当然だが、米国がもっと積極的に市場に介入し信認の回復に努め負の連鎖を断ち切らない限り解決は遠い。■

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無知の押し売り

2008-09-15 23:31:02 | ニュース

米国の大手証券会社リーマン・ブラザーズが、チャプター11(日本の会社更生法に近い)を申請するというニュースを報じられ世界の市場に衝撃を与えた。だが、テレビ朝日のニュース番組を見ていて不適切な情報をばら撒いているのに驚いた。

キャスターの古館氏が聞きかじりの知識をもとにした思い込みと事実の報道をごっちゃにして報じていたのが気になった。彼の報道姿勢はいつもその傾向がある。しかし、正義感一杯で口角泡を飛ばして絶叫するのはそれなりに愛嬌もあった。だが、今回のはいささか目に余る。

リーマン・ブラザーズの倒産が引き起こす金融不安とそれに連動したドル安は殆ど必然的だ。その結果として米国経済後退懸念が深刻になり、日欧や新興国を含む世界経済にインパクトを与え、原油需要が減少するというのが常識人の考えることだ。

投機とはいっても需要があるから原油に流入したのであって、経済後退により当面需要増が見込めないと判断すれば投機マネーは一斉に逃避し、原油価格は暴落するはずだ。もちろん、予測が外れる事も起こりうるが、それは本論をしっかり解説した後の追加情報程度で扱うべきだ。

もちろん、これはビッグ・ニュースで古館氏のいつもの大袈裟な反応自体は、今回に限っては適切といえるくらい大事だ。しかし、事実の報道といい加減な思い込みとを混ぜこぜにすることはジャーナリストとして厳に慎むべきである。番組の信頼性にも関ることではないか。■

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戯評:「口曲がりオタク」対「垂れパンダ」

2008-09-14 10:17:31 | 国際・政治

不謹慎かもしれないが、自民党総裁選の5候補を辛口のニックネームで寸評するとこうなる。

「口曲がりオタク」: オタクのマネは人気取り、推薦者をみれば衣の下に鎧がちらちらする。大矢映子氏によれば心から笑ったときは口が曲がらないそうだ。これからは口を見よう。政策を異にする連中が勝ち馬に乗ろうとして集まってくるのは2代続いた総理の反省がないというより、自民党の性格というべきだろう。

「垂れパンダ」: 若い頃の写真と比べると重力の法則に従って顔が変わった。目じりが下がって可愛げがあるが、単なる癒し系ではない硬派。だが、具体的な政策を語り始めると聞こえの良い環境問題や少子化問題に偏り、現実感が消えて無くなる。今回は経験を積めば良いという姿勢で本気度が不足、小泉改革支持派を結集しきれないだろう。

「打たれ弱い坊や」: 改革の旗を立てるもののなんとなく嘘っぽい。道路公団民営化で既得権益・道路族の圧力を受け敵前逃亡寸前で右往左往した姿は忘れられない。しかし、修羅場を潜り抜け経歴を積めば、遠い将来中曽根氏以来の風見鶏二世といわれるかもしれない。

「片足棺おけ」: 5者会議の中で唯一知性を感じた政治家だった。他の4人に比べ彼一人がはっきりもの言うことも出来ないほど年をとっている、よぼよぼの老人のように見えた。エネルギーを感じない政治家を国民は評価しない。彼の票数は全てではないとしても自民党の良識を見る目安と見ることが出来よう。全て死票になるかもしれないが。

「籔睨み防衛オタク」: 突然出てきて地方の疲弊を強調し始め驚かしたが、かつての防衛政策を巡って上目でぐっと睨んで主張する迫力とはマッチしない。俄か候補の印象は拭えない。相手を恫喝する目つきになった時の小沢氏の凄みに到達するには年季不足。

全員日米同盟堅持というだけで外交問題は議論されることが無く、5人の間にそれほど差がないように見える。経済施策と財政規律が争点のはずだが、議論が深まらない。メディアは茶番劇と酷評するコメントを流すものの、これで次の総理が決まるのだから今後も報道しないわけには行かない。嘆く代わりに今のうちにかつて何をし、何を言ったか徹底的に身体検査したらどうか。

この間、大阪市の三笠フーズが起した汚染米の食用転用がトップで報じられた。突き詰めると農林水産省が黙認して作った都合の良いスキーム、輸入米を農家に影響を与えず処分する構造問題、のように私には見える。現状の官僚制度は国家に巣食う癌なのに、公務員制度改革に前向きなのは「垂れパンダ」氏だけのようだ。

全体に政策に深く切り込んでいく姿勢を感じない。記者会見では珍しく「垂れパンダ」氏が「口曲がりオタク」氏の改革姿勢に食い下がった程度だった。「坊や」は道路公団改革で懲りたらしい。小沢民主党代表の政権をとったら100人以上を霞ヶ関に送り込むという主張の斬新さが、自民党をぶっ壊すといって支持を得た小泉氏と同じ覚悟の程を感じる。■

コメント (3)
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