一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

7月2日の大野・植山教室(5)

2016-07-12 00:07:49 | 大野・植山教室

第2図以下の指し手。△5三角▲2六角△6四角▲3七角△5三角▲2六角△6四角▲3七角△5三角▲2六角△6四角▲3七角(第2図)
まで、千日手。

私は△5三角と引く。捨て置けば△3五歩~△3四銀と盛り上がるつもり。それでKaz氏は▲2六角とぶつけたが、こんな角とは交換できないので、私は△6四角と戻る。Kaz氏も▲3七角と引く。
何だかイヤなニオイがするが、私は手を変えるわけにはいかない。Kaz氏もその意思は揺らがないようで、4度目の▲3七角まで、千日手が成立してしまった。
▲3七角では▲4四歩と突きだす手もあったが、無理はしたくなかったようだ。
とはいえ先手が指しやすかったはずで、それでも千日手を選ぶとは、今日の永瀬拓矢六段が憑依したかのようだった。
私は大野・植山教室では、初の千日手だった。

指し直し局は相矢倉になった。私は▲4六銀。最近はここで△4五歩が流行っているが、実はKaz氏も以前、△4五歩の可否を、みなに聞いてきたことがある。
私は以前、Fuj氏相手に△4五歩を指したことがあるが、Fuj氏にうまく反撃されて負けた。その手順を披露して、「だから△4五歩は不可なんだよ」と、その時は結論づけた。
しかし現状では、▲4六銀に△4五歩は立派な反撃手段である。だがKaz氏は今回、別の手を指した。私は▲3七桂と跳ねて一安心。

第1図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲1五歩△3六歩▲1四歩△3七歩成▲同銀△1二歩▲4六歩△9五歩▲3六銀△9四桂▲2五歩△3三銀▲3四歩△4二銀▲3五銀△8六歩▲同歩△同桂
▲同銀△同飛▲8七歩△8二飛(第2図)

私は▲3五歩から▲1五歩としたが、Kaz氏が考えている。「似て非なる局面…」とつぶやくのを聞いて、あ、と思った。
△3六歩の桂取りがあった。私は▲1四歩と取り込むが、桂損してしまった。
△1二歩と謝らせて私もややポイントを返したがそれも束の間、△9四桂が習いある手筋だ。もっともここは、すぐに△8六桂でも▲同歩△同歩に▲同銀のつもりだったから、Kaz氏は一手損したことになる。
とはいえ△8二飛まで、先手は銀損になってしまった。

第2図以下の指し手。▲3六桂△5五歩▲2四歩△同歩▲同桂△2三歩▲3二桂成△同玉▲2二歩△同玉▲4五歩△5六歩(第3図)

私も桂を控えて打つ。Kaz氏に教えてもらった手筋だ。矢倉戦は不思議で、攻めているほうが優勢になることが多く、時には銀損さえも凌駕する。
戻ってここ▲2四桂は、△同歩▲同歩に△3一玉と引かれ、指し切ってしまうと思った。
次に▲4五歩△同歩▲4四歩もあるので、Kaz氏は△5五歩。これは予想していた。
私は金桂交換でやや駒損を回復し、▲4五歩と突いた。相手の角の利きも気になるが、自陣の角を働かさないと勝負にならないと思った。
Kaz氏は当然△5六歩。

第3図以下の指し手。▲4四歩△同銀▲同銀△同金▲3三銀△同桂▲同歩成△同銀▲2三歩(第4図)

私は▲4四歩と取り込んだが、△5三銀を守りに働かせるのでよくなかった。とはいえ▲2四銀は駒不足だし、このあたりはよく分からなかった。
▲4四歩には△同金とし、▲同銀△同銀で3三の地点に利かされるのがイヤだったが、Kaz氏は△同銀でも受け切れると読んだのだろう。そしてその判断は、たぶん正しかった。
3三の地点で清算して、▲2三歩。半ば「最後のお願い」だった。

第4図以下の指し手。△2三同玉▲1五桂
まで、一公の勝ち。

秒を読まれているKaz氏、△2三同玉と取った。私はもちろん▲1五桂。と、「あっ」と叫んで、Kaz氏が投了してしまった。
第4図は△3二玉の一手で、それなら私は▲3六桂のつもりだったが、△3四金ぐらいで後手優勢だった。
投了以下指すとすれば△3二玉▲2三金△4一玉▲3三飛成。この局面にKaz氏は絶望したわけだが、以下△4三歩▲2四角(参考図)で、後手玉が寄るだろうか。実はこの局面も、まだまだ大変な勝負だったと思う。

大野八一雄七段が遠くから見ていらして、「桂損したあとは落ち着いて指したよね」との言葉をいただいた。
ただ自分としては終盤の指し手が荒く、とても勝った気分にはなれなかった。

棋聖戦が終わったようである。羽生善治棋聖が負ける雰囲気があったが、果たしてそうなった。Fuj氏に大盤で並べてもらったが、最近の羽生棋聖を象徴する。急転直下の終幕だった。
さらに先日のA級順位戦、羽生三冠―深浦康市九段戦も並べてもらう。これも羽生三冠が終盤でポッキリ折れた。羽生株は、名人戦第2局から下がりっぱなしである。いつ回復するのだろうか。

遅くなったが、食事会である。参加者は、大野七段、W氏、Fuj氏、Kaz氏、Taga氏、私の6人。なかなか異色の組み合わせだ。
例によって、駅ビルのインドカレー屋に行く。席は大野七段とFuj氏が向かい合わせ。以下Kaz―私、Taga―Wの席になった。
みんなセットメニューを頼む。食後はおしゃべりの時間になったが、Fuj氏が大野七段と話さず、私にばかり話すので、途中で大野七段と私が席を替わった。
すると今度はFuj氏が2つ向こうのW氏に話しかけるというテイで、とにかくFuj氏のマシンガントークが止まらない。
おもに社団戦の話で、その要点は以下の3つ。

・Has氏が調子が悪そうだったので、下位で指してもらった。
・Kur君に負けが込んでいたので、1勝を挙げてほしかった。4回戦で勝利してくれてホッとした。
・大野教室2で、王手放置をして負けた選手がいた。

しかしこれらは、当日の打ち上げや今日の教室で、さんざっぱら聞いている。
Fuj氏がつねに新しい話題を提供してくれると食事会ももっと楽しくなるのだが、それはかなわぬ夢か。

帰りは、Kaz氏といっしょの電車だった。Kaz氏はさっきの敗戦が悔やまれるようだった。
私はこの類の負けはしょっちゅうだが、Kaz氏は堪えるであろう。
「でも、大沢さんと指せたからよしとします」
と、やや気味のわるいことを言った。どうも、将棋を指す人はどこかおかしい。
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7月2日の大野・植山教室(4)

2016-07-11 00:03:28 | 大野・植山教室

第3図以下の指し手。▲4四桂△3七銀成▲同玉△7七竜▲5七歩△2六角▲2七玉△3七金▲1八玉△6八竜▲5八銀△同竜▲同飛△2七銀▲2九玉△3八金▲同飛△同銀成▲同玉△5八飛(途中図)

▲2七玉△5七飛成▲4七銀打△3七角成▲同玉△4七歩成▲同銀△2六銀▲3八玉△2七銀成▲3九玉△3八歩(投了図)
まで、U君の勝ち。

私たちのそばでは、先ほど入室した佐藤氏が戦況を見守っていた。
私は▲4四桂を詰めろをかけた。U君は△3七銀成から王手ラッシュだ。
数手後の△6八竜に▲5八銀合しかないのが痛い。▲4四桂で▲4一銀なら、ここで▲5八桂がピッタリだった。ただ、銀合でも先手玉は不詰だと思ったのだが…。
U君は清算して△5八飛。▲2七玉△5七飛成▲4七銀打に、△3七角成が継続手だ。手順中の▲4七銀打が痛い。ここでも桂があれば不詰なのに…。
以下△3八歩まで投了した。

感想戦は、佐藤氏とOg氏が加わって行われた。佐藤氏は、本当に先手玉が詰んでいたのか、懐疑的だった。
たとえば途中図の△5八飛に、▲2九玉はどうか?
以下△3七桂▲3九玉△4九桂成▲2九玉△3九成桂▲同玉△4八角成…で詰み。
また本譜△5七飛成に▲4七銀打とせず、▲2八玉や▲1八玉と逃げる手もあるが、どちらも容易に詰む。
また本譜△5八飛では、U君が発見した△4七歩成の軽手もあり、いずれにしても先手玉は詰んでいた。
やはり▲4四桂が、自らの馬筋を止めつつ、安い合駒を残さなかった大悪手だった。
「こういう時は▲4一銀と掛けるものです」
と、感想戦に加わった大野八一雄七段。それが結論に達した時、当の大野七段が、「そもそも▲4一銀と打たないでも、後手玉は詰むんじゃない?」
と言った。
何イ!? と周りは色めきだつ。すなわち本譜▲4四桂に代えて、▲2三金(参考1図)と打つ。

以下は感想戦と、後日の私の研究をまとめたものを記す。
まず△2三同銀は▲同歩成△同金▲3一銀△1三玉▲2二銀打△同金▲同銀不成△同玉に、▲2三金(参考2図)が妙手。

以下△2三同玉▲3五桂△2二玉▲2三金△2一玉▲4三馬で詰む。また手順中の▲3一銀に△1二玉は、▲2二金△同金▲2四桂△1三玉▲2二銀不成△同玉▲3一馬以下、これも詰む。
参考1図に戻って、▲2三金に△同金は▲同歩成△同銀▲3三金△同玉▲4四馬△4二玉(△2四玉は▲3三銀△1三玉▲2二銀不成以下)▲3三銀△5一玉▲4三桂(参考3図)以下詰み。


また▲2三金△同金▲同歩成に△同玉は、▲3五桂△1三玉▲2三金△同銀▲同歩成△同玉▲2四歩△同玉▲3五馬で、以下金銀が3枚あるから、やはり詰み。
以上の検討により、後手玉は詰んでいた。つまり私は、相手玉を詰まさずに詰めろをかけ、同時に自玉にも詰めろをかけてしまうという、最悪の手を指したというわけだった。
これだけ結論が二転三転した将棋も珍しく、感想戦もしてみるもんだと思った。

本日は棋聖戦第3局が行われている。羽生善治棋聖に永瀬拓矢六段が挑戦しているあれである。Fuj氏にお願いして、大盤に並べてもらった。
現局面は羽生棋聖がよさそうだが、最近の羽生棋聖は信用がまったくなく、予断は許さない。双方の時間はかなり少なくなっているが、どうなるか。
Hon氏はとうに帰宅。今日は1局しか指さなかったのではないか。
食事会にはまだ時間があるので、Kaz氏と指すことにする。Kaz氏は来席回数は少ないが、教室の一、二を争う強豪で、社団戦3部「星組2008」の中心選手でもある。
振り駒でKaz氏の先手となり、▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲2五歩△3三角。私は前局の経験を活かして中飛車に振るつもりだったが、▲2五歩が早かったので、向かい飛車にした。
Kaz氏は▲5七銀左から棒銀の作戦を採った。持久戦を好むKaz氏にしては珍しい。
私はドーンと△4五歩。しかしKaz氏に黙って▲4五同歩と取られ、アテが外れた。
私は角を換えて先手の玉形を乱したが、一歩損が痛い。
Kaz氏はお役御免の棒銀を引き揚げ、△3三桂に▲4六銀右(第1図)。何だかKaz氏好みの形になってきた。

私は指す手に窮し、第1図から△6四角。次に△4五桂と跳ねれば、後手十分となる。しかしそれをKaz氏が許すはずもなく、▲3七角と対抗してきた。

(つづく)
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7月2日の大野・植山教室(3)

2016-07-10 00:06:22 | 大野・植山教室
振り駒で私の先手となった。▲7六歩△8四歩に、私は四間に飛車を振った。
Sato氏は角道を開けずに△3一角~△5三角。飯島流引き角戦法か。
「大沢さんって、飛車振りましたっけ?」
珍しくSato氏がつぶやいた。
「2割ぐらいですね。たまに振ります」
相居飛車にすれば、Sato氏は得意の右玉でくる。相手の得意から逃げるのが私流なので、多少不得手でも飛車を振り、相手を左玉に限定したわけだった。
奥では遅れてやってきたHon氏が植山悦行七段に挑んでいた。何度も書くが、ここまで遅れたら、私だったら教室に来ない。
私は向かい飛車に振り直し、▲6八角~▲4六角とのぞいた。

第1図以下の指し手。△6五歩▲7三角成△6六歩▲同金△6四角▲8二馬△同角▲8三飛△6四角▲5五歩△5三角▲5八飛△3五角▲4六桂△7九角(第2図)

△6六歩に▲8二馬と飛車を取るのは、△6七歩成が厳しい。落ち着いて▲同金と取った。
しかし△6四角と馬を消しにこられると、振り飛車はそれほどでかしていない。左桂が働いていないのが痛いのだ。
▲8三飛はこう打ちたくなるところ。ほかに代わる手も分からなかった。
△3五角に▲4六桂はもったいないが、後の▲3四桂を見ている。
Sato氏は△7九角。次に△5七銀を狙って厳しい。

第2図以下の指し手。▲5四歩△5七銀▲7八飛△6八角成▲同飛△同銀成▲8五飛成△4四角▲5五金△5七歩▲4四金(第3図)

受けてもしょうがないので、私は▲5四歩と取り込んだ。しかし▲7七桂がベターだったかもしれない。
△5七銀には▲7八飛とし、飛車角交換を甘受した。この飛車が角と交換になるなら、先手も不満はない。
▲8五飛成△4四角▲5五金はこんなものだろう。若干先手が苦しいが、飛車金を働かせないことにはどうしようもない。
Sato氏は狙いの△5七歩。私は勢いよく▲4四金と取った。

第3図以下の指し手。△4四同歩▲5三歩成△同金▲8六角△5八歩成▲5三角成△4九と▲8一竜△5一歩▲同竜(第4図)

▲4四金には、無視して△5八歩成がイヤだったが、あまり考えないことにした。
本譜は△4四同歩。私はほっと胸をなで下ろして、▲5三歩成。先の▲4四金が通ったから、今回も通ると思った。
果たしてSato氏は△同金。しかし次の▲8六角はしくじった。ここは当然▲5九歩(参考図)と受けるところで、これならまだ大変な将棋だった。

Sato氏はさすがに△5八歩成。以下金の取り合いは必然だが、▲4九同銀は後手を引いて先手が負ける。▲8一竜の突っ込みは当然だった。
△5一歩にも読み筋とばかり▲同竜としたが…。

第4図以下の指し手。△3一金打▲同馬△同金▲4九銀△5九飛▲同竜△同成銀▲3九金△8八飛▲5八歩△8九飛成
以下、Sato氏の勝ち。

△3一金打が強防だった。私は▲同馬と取るよりないが、ナナメ駒を渡すため、△同金(△同玉は詰み)で先手玉に詰めろがかかってしまった。そこで▲4九銀とと金を外したが、これでは先手が負けになってしまった。
以下はSato氏の手堅い指し回しに屈した。
感想戦はOg氏を交えて行われた。本譜▲4四金には、手抜きで△5八歩成とし後手勝ち、がOg氏の読み。▲5三歩成の時も同様だった。
ということは、私の▲8六角がやはり敗着。▲5九歩と我慢すべきだった。
私としては、中盤の駒損が最後まで響いた。

チャイルドブランドは、U君とSar君が空いていたが、私はU君を誘って練習将棋を指す。U君は数々の大会で入賞歴がある、強豪だ。ちなみにお母さんは、「謎の美女・祥子」に似ている。
私の先手で、中飛車に振った。U君は急戦の気配で、△6四銀と出る。私は▲5五の位を取り、わるくない。
と、U君は△2二玉と深く逃げ、△3二銀。左美濃に組んだ。
U君の作戦には不思議なところがあって、急戦かと思えば銀冠に組み直したりして、時間差的持久戦を採ることがある。本局もそんな感じだ。

第1図で私は、▲2九飛。するとU君に△5五銀と歩を取られ、びっくりした。
私は時々この類のポカをやる。この1歩損は痛いが、気を取り直して指すしかない。
以下、神経を遣う攻防が続く。優劣不明のまま終盤戦を迎えた。

第2図以下の指し手。△7四飛▲5三角右成△同金▲同角成△7八飛成▲5八歩△4七金▲2八玉△3七金▲同金△4八銀(第3図)

△7四飛には▲5三角右成と飛び込むしかない。
△4七金には▲同銀、▲同金が本手と思ったが、読み切れない。後の△2六桂を避ける意味も兼ね、▲2八玉と寄った。
U君は△3七金から△4八銀。これは詰めろなのか?
私は詰まないと見て、相手玉に詰めろを掛けた。

(つづく)
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7月2日の大野・植山教室(2)

2016-07-09 13:45:21 | 大野・植山教室

第4図以下の指し手。▲7六歩△6三玉▲7五歩△8六歩▲同銀△6五歩▲8二飛△7二歩▲4六桂△6六歩(第5図)

第4図で駒の損得はない。下手は玉の固さ、上手は玉の広さを主張している。しかし平手なのに、上手はいかにも上手らしい形だ。「これがホントの玉頭位取りだね」と植山悦行七段がおどけた。
現在は手番を握っている下手がいいはずだが、上手玉を△5三に逃がしたら下手の負けと認識していた。
第4図では▲8二飛を考えた。△7三玉なら▲8四角△8二玉▲6二角成で下手がおもしろい。
しかし▲8二飛には△7一竜があり、▲8三角△7三玉でどうにも攻めきれない。
ほかに▲2二歩のような手もあるが、本筋でない気がした。
盤の向こうではKaz氏が平手で挑んでいる。矢倉戦で、これはKaz氏の力が出る形だ。
私は結局▲7六歩。△7六桂を防ぎつつ敵玉に圧力を加えた手だが、軽く△6三玉と躱され、この取引はつまらなかった。
△8六歩には▲8三飛もあったが、私は▲同銀。▲同歩は△8七歩を嫌ったものだが、やや判断を誤った。
植山七段は△6五歩。▲同歩なら△6六歩▲同銀△7六桂があり、下手気分的に敗勢。
よって私は攻めるしかなくなったのだが、その前に△6五歩では△5三玉と逃げて入玉を見られているほうが、実戦的にはイヤだった。植山七段が7六に隙を見つけて、攻めたくなったのかもしれない。
私は▲8二飛。しかしちょっと焦り気味で、ここでも△7一竜と回られていたら、下手が劣勢だった。
本譜は△7二歩だったので、まだ下手も戦えると思った。
まあ、プロとアマが平手で指しているわけだから、ふつうに指せばプロが勝つ。だから上手がどこかで緩めてくれるわけだが、それが△6五歩であり△7二歩だったと思う。
私は手が分からず、▲4六桂。これに銀を逃げるのは利かされと見て、植山七段は△6六歩と取り込んできた。
次が、本局唯一の自慢の一手。

第5図以下の指し手。▲8四飛成△4三金▲5四桂△同金▲4三銀(投了図)
まで、一公の勝ち。

銀を取りたいところを堪えて、▲8四飛成とした。ここ、ふつうに▲5四桂では、△同玉で玉を大海に逃がす。黙って▲8四飛成がいいのである。これで上手の入玉がほぼなくなり、有利になったと思った。
植山七段は竜筋を通しつつ△4三金だが、私はありがたく銀を取り、▲4三銀。
ここで植山七段が投了した。

感想戦は、第1図の△4四歩▲同歩△同銀あたりから始めた。私は▲2四歩△同歩▲同飛△4三歩で指しやすくなったと見たのだが、植山七段の予定は△4三歩で△4一飛だった。
しかしそれには前述の▲4二歩があり、不可。この誤算が大きかったようである。
そのほか、植山七段の講義には、勉強になるところが多かった。白星を頂戴して、感想戦でも教えてもらえる。下手にとって最高の状況であろう。

時刻は3時10分を過ぎ、ここで3時休み。Fuj氏が先日の社団戦のことをしゃべるが、それは同日の打ち上げの時に、イヤというほど聞いた。
3時半におやつタイムが終わったが、ここから級位者向けに講座があるらしい。
例の、誰でも詰ませられる局面から遡っていくヤツだ。
今回は大野八一雄七段が、ある大会で見た局面をアレンジしたもので、これがまたすこぶるおもしろかった。大野七段ご自身のブログに掲載してほしいくらいのいい題材であった。
4時に再開。2局目は大野七段に角落ちで教えていただく。
相居飛車で、大野七段は△6二飛と回る。大野七段の常套手段で、上手はここで一歩を交換するのがいいらしい。
△6一飛に▲3七桂と跳ねたのがちょっと早かったらしく、数手後に△1二香~△1一飛とされた。
私は▲2六飛だが、自玉はまだ▲6九なので、強い戦いができない。これは失敗したと思った。

第1図以下の指し手。▲6八角△2一飛▲7九玉△2五歩▲8八玉△2六歩▲2五歩△同桂▲2六飛△3七桂成▲2一飛成△同玉▲6一飛△2二玉▲2三歩△2二歩▲4五歩△2九飛(第2図)

私は▲6八角と上がった。とにかく玉を入城させないとしょうがない。
△2五歩に▲2七歩と受けるのでは何をやってるのか分からないので、▲8八玉と上がった。
△2六歩に▲2八歩とも打てないので▲2五歩だが、以下下手が桂損になり、おもしろくなかった。
▲4五歩。△4七成桂なら▲2四歩△同銀▲同角△同玉▲1二竜で勝負だが、大野七段は△2九飛とおろし、すべての狙いを消す。

第2図以下の指し手。▲1五歩△同歩▲4四歩△同銀▲1五香△1四歩▲8一竜△4七成桂
まで、大野七段の勝ち。

私は▲1五歩。2歩を入手して▲2四歩からの攻めを実現させたいが、どうもうまくいかない。
▲8一竜と桂を取ったが、これでは上手玉への脅威がなくなってしまった。以下△4七成桂まで投了。
その瞬間気付いたのだが、▲8一竜では▲1四香△同銀▲1三歩△同香▲2四歩△3三玉▲1二竜で、下手もまだ戦えたのではないか??
しかし大野七段が局面を中盤に戻してしまったので、それを言う機会を逸した。
「▲3七桂が早かったからねえ。こちらは端攻めをするくらいしか手段がないんだ」
戻って△2四歩の時は、悔しくても▲2六歩と打つところだったという。これで一局。
プロに平手で勝って角落ちで負ける。これが将棋のむずかしさである。
3局目はSato氏とリーグ戦。久しぶりの対戦となった。
(つづく)
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7月2日の大野・植山教室(1)

2016-07-08 00:19:57 | 大野・植山教室
2日(土)は、埼玉県川口市にある「大野・植山教室」に行った。
家を出るのが遅かったので、教室のドアを開けたのは午後1時52分だった。洋間では大野八一雄七段が多面指しをしていた。対局者はSato氏、Watanabe氏、Taga氏らだが、満席ではない。
奥の和室では植山悦行七段が二面指しをしていた。今日は土曜日だが、若干生徒が少ないようだ。
手合い係のFuj氏の指示で、まずは植山七段に教えていただく。
右ではOk氏が飛車落ちで教わっていて、少し経って終わった。中盤までいい勝負だったが、Ok氏が▲4七角と据えたのがさえない手で、ここから下手が苦しくなったようである。
植山七段の講義は論理的で分かりやすい。実戦よりもこちらのほうがためになるくらいだ。
Ok氏は今まで通り将棋を友にするようである。ここで私のほうも対局準備となる。
「(この前の社団戦で、)横歩取りで桂不成喰らったんだって?」
と植山七段。ちっ、Fuj氏がバラしたのだろう。「時々出る手だけどねぇ…」
対局前から強烈なジャブを喰らい、平手戦で対局開始。
▲7六歩△8四歩。ここで▲6八銀は矢倉になるが、そうすると植山七段は急戦でくる。そうなっては面倒なので、角換わりでいくことにした。
植山七段は居玉のまま△5二金。さらに△9五歩と突き越した。これは右玉の匂いがする。果たして数手後に、植山七段は△6二玉。受けが強い植山七段らしい作戦である。
私は▲4六角と据え、▲3五歩から一歩を手にした。

第1図以下の指し手。△4四歩▲同歩△同銀▲2四歩△同歩▲同飛△4三歩▲2八飛△5一飛▲2三歩△5五歩▲6七銀△2五歩▲同飛△3六角▲2八飛△4七角成▲2四角(第2図)

誰かきた。「おお珍しい!」とFuj氏が叫ぶ。それはKaz氏だった。Kaz氏は年中仕事をしているイメージがあるのだが、休みが取れたのだろうか。
Kaz氏は植山七段との指導対局になった。
△4四歩▲同歩△同銀には、私も▲2四歩△同歩▲同飛とする。△4一飛は▲4二歩があるので、植山七段は△4三歩。植山七段は、自陣に容易に歩を打たないので、ここはポイントを挙げたと思った。
しかし▲2八飛には、さすがに△2三歩と打たない。△5一飛と転戦してきた。
私は▲2三歩。植山七段が「お」と言ったが、あるいは▲2二歩を予想していたのかもしれない。
植山七段は△2五歩の手筋から、角取りに馬を作る。私は手順に▲2四角と出て、飛車取り。

第2図以下の指し手。△5四飛▲4八歩△3六馬▲2二歩成△同金▲4二角成△2六歩▲3八飛△3七歩▲同飛△同馬▲同桂(第3図)

△5四飛で△5二飛と一つ浮くのは、▲2二歩成△同金▲5一角成△同飛▲2二飛成の大技がある。
しかし次の▲4八歩は誤った。△4七馬の存在が目障りで応手を聞いたのだが、一歩を使って飛車の横利きをなくした上、△3六馬が絶好の位置になってしまったのだ。
▲4八歩では予定通り▲2二歩成だった。これに△同金は▲4二角成。△3三金は▲同角成△同桂▲2三飛成。どちらも明快に下手がよかった。
本譜はやや紛れたが、上手に2歩を使わせ、好所の馬も消えたので、よしとしようか。

第3図以下の指し手。△3九飛▲8八玉△3七飛成▲4三馬△3一竜(途中図)

▲7五歩△同歩▲7四歩△3三金▲5四馬△同銀▲7三歩成△同玉▲7四歩△同玉(第4図)

△3七飛成に▲4三馬。△5一飛は▲4四馬があるので、下手は飛車の入手が確定した。
次に▲5四馬~▲5一飛があるので、上手はそれを防がねばならない。「これじゃあFujさんだな…」とつぶやき、植山七段は△3一竜(途中図)と引いた。専守防衛である。
ここで▲7五歩と突いた。右玉には急所の筋だ。△同歩に▲7四歩が痛打で、△同銀は5四の飛車がタダ。植山七段は△3三金と活用するが、私は飛車を取り、桂を取り返した。
△7三同玉に「▲7四歩…」と観戦していたFuj氏がつぶやく。私もそれにならったが、△7四同玉に次の手がまったく分からなかった。

(つづく)
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