6日(木)のLPSA麹町サロンin DISは、島井咲緒里女流二段の回(18:30~20:30)に空きがあり、昼にメールで予約を入れた。いつもの私だったら家でテレビを観るところだが、島井女流二段とは最近あっちこっちで顔を合わせており、親近感が増している。いわゆる単純接触効果で、ここで一局お手合わせを…と望むのは心理であった。
ところが午後一番に得意先から電話があり、当日4時半にウチにきたい、とのこと。
ウチはもう廃業状態なのだが、ウチの製品は簡単にできるものではないので、アドバイスをもらいたい、というわけだった。
だが、夕方というのはまずい。話が長引いたら、麹町に遅れてしまう。もっともLPSAからもまだ、「諾」の返事をもらっていないのだが…。
結局、得意先との打ち合わせは5時過ぎに終わり、私はLPSAに電話確認をして、島井ちゃんとの対局が決まったわけだった。
夕方、例によって四ッ谷で降り、小諸そばで二枚もりを手繰る。準備万端で麹町サロンに入った。
先客は2人。うちひとりは見覚えがあり、4月のシモキタ名人戦で熊倉(当時)紫野女流初段に指導対局を仰いだ時、私の右で指していた人だ。
島井女流二段は相変わらずかわいらしかった。
まだ6時半まで時間があるので、しばし雑談する。
「この前の社団戦はどうでした?」
けっこうキツイことを聞かれる。私は1勝2敗で終わり、3局目は渡部愛女流初段に見守られたにも拘わらず、惨敗したことを告げた。
「この前、愛ちゃんに麹町サロンで勝ったようですね」
麹町サロンでは、お客との勝敗をメモしておくらしい。
「いやぁあれは、時間が迫っていたので、渡部先生が投げてくれたんです」
これは事実である。
「あのぅ、先にいただいていいでしょうか?」
「? …あ!」
指導料をお支払いするのを忘れていた。大野教室では真っ先に払うのに、何たる失態か。
そそくさと4,000円を払って、対局開始。
初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲5六歩△3二銀▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲5八金右△8二玉▲9六歩△9二香▲2五歩△3三角(第1図)
私の右の人は角落ち、左奥の人は飛車香落ちの手合いだった。私は平手でお願いした。
島井女流二段は四間飛車。▲9六歩には△9二香と突いた。いわゆる十八番の穴熊で、指導対局で得意戦法を繰りだしてくれるのはうれしい。
このあたりで4人目の客が現れた。白髪の紳士で、氏は席に座るやいなや、前回の指し掛け局面を島井女流二段に示し、「これは私の負けですね」と言った。Sug旦那もそうだが、この麹町サロンにも、常連がいるようだ。
紳士氏は平手での対局となった。
私は▲2五歩△3三角を決め、次の手が分岐点。
第1図以下の指し手。▲3六歩△9一玉▲3七銀△8二銀▲6八銀△7一金▲5七銀△5二金▲6八金直△7四歩▲2六銀△1四歩▲1六歩△6四歩▲3五歩(第2図)
私は▲3六歩。ここ、▲5七銀と上がって持久戦を目指す手もあるが、時間が決められているので長期戦は避けたい。それと、ガッツリ将棋を指すほど私は精神的に安定していない。
私は▲3七銀と棒銀を明示した。最近の常用戦法だ。島井女流二段は着々と穴熊を完成させる。
▲6八金直に△7四歩が島井流で、後の△7二飛を見ている。
私は▲2六銀といよいよ棒銀出撃だが、上手の△1四歩がやや早く、私は▲1六歩とお付き合いしたが、別の手を優先させるべきだったかもしれない。
△6四歩に▲3五歩と仕掛けた。
第2図以下の指し手。△4三銀▲3四歩△同銀▲3八飛△4三銀▲3四歩△2二角▲3五銀△6三金▲2四歩△4五歩(途中1図)
▲2二角成△同飛▲8八角△7二飛▲1一角成△7五歩▲同歩△4六歩(第3図)
第2図では△4五歩を考えていた。以下▲3三角成△同銀▲3四歩△同銀は、下手の棒銀が捌けない。それに上手の角頭が無防備なのだから、これを捌かせるのは損でもある。
本譜は△4三銀だがこれでは一手遅い感じで、私は▲3四歩から▲3五銀と押さえて好調。
しかし▲2四歩に、上手はやはり△4五歩(途中1図)ときた。
私は結局角を換えたが、次の▲8八角に期待した。以下香を取りながら▲1一角成とし、この戦果をどう見るか。もう少し得を拡げられた気もする。
島井女流二段は△4六歩と手筋の突き捨て。
第3図以下の指し手。▲4六同銀引△4四角▲2一馬△3二銀▲同馬△同飛▲5五桂△7七歩(途中2図)
▲7七同桂△7二飛(第4図)
第3図で私は▲4六同銀引。駒を中央に集めて、自然な指し手と思う。以下△7五飛なら▲7六歩△2五飛(△7六同飛は▲7七香)▲2八香△8五飛▲2一馬で下手優勢。
よって島井女流二段は△4四角と据えたが、私は▲2一馬と桂を取る。以下△9九角成なら▲4三馬と銀を取り、これが△7六香も消している。これでもかなり難しいが、下手が指せると思った。
果たして島井女流二段は△3二銀と先手を取ったが、私は読み筋とばかり馬を切って▲5五桂。三枚換えのうえに角筋を止めつつ、金取り。これで下手が悪い道理がなく、この将棋は早々に終わらせて2局目をお願いしちゃおうか、という気持ちになった。
しかしそんな気分も束の間、島井女流二段の△7七歩が好打だった(途中2図)。どう応じても味が悪いが、私は目をつぶって▲同桂。島井女流二段は、金を取るなら取れと△7二飛(第4図)。
ここで次の手がアホだった。
(つづく)
ところが午後一番に得意先から電話があり、当日4時半にウチにきたい、とのこと。
ウチはもう廃業状態なのだが、ウチの製品は簡単にできるものではないので、アドバイスをもらいたい、というわけだった。
だが、夕方というのはまずい。話が長引いたら、麹町に遅れてしまう。もっともLPSAからもまだ、「諾」の返事をもらっていないのだが…。
結局、得意先との打ち合わせは5時過ぎに終わり、私はLPSAに電話確認をして、島井ちゃんとの対局が決まったわけだった。
夕方、例によって四ッ谷で降り、小諸そばで二枚もりを手繰る。準備万端で麹町サロンに入った。
先客は2人。うちひとりは見覚えがあり、4月のシモキタ名人戦で熊倉(当時)紫野女流初段に指導対局を仰いだ時、私の右で指していた人だ。
島井女流二段は相変わらずかわいらしかった。
まだ6時半まで時間があるので、しばし雑談する。
「この前の社団戦はどうでした?」
けっこうキツイことを聞かれる。私は1勝2敗で終わり、3局目は渡部愛女流初段に見守られたにも拘わらず、惨敗したことを告げた。
「この前、愛ちゃんに麹町サロンで勝ったようですね」
麹町サロンでは、お客との勝敗をメモしておくらしい。
「いやぁあれは、時間が迫っていたので、渡部先生が投げてくれたんです」
これは事実である。
「あのぅ、先にいただいていいでしょうか?」
「? …あ!」
指導料をお支払いするのを忘れていた。大野教室では真っ先に払うのに、何たる失態か。
そそくさと4,000円を払って、対局開始。
初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲5六歩△3二銀▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲5八金右△8二玉▲9六歩△9二香▲2五歩△3三角(第1図)
私の右の人は角落ち、左奥の人は飛車香落ちの手合いだった。私は平手でお願いした。
島井女流二段は四間飛車。▲9六歩には△9二香と突いた。いわゆる十八番の穴熊で、指導対局で得意戦法を繰りだしてくれるのはうれしい。
このあたりで4人目の客が現れた。白髪の紳士で、氏は席に座るやいなや、前回の指し掛け局面を島井女流二段に示し、「これは私の負けですね」と言った。Sug旦那もそうだが、この麹町サロンにも、常連がいるようだ。
紳士氏は平手での対局となった。
私は▲2五歩△3三角を決め、次の手が分岐点。
第1図以下の指し手。▲3六歩△9一玉▲3七銀△8二銀▲6八銀△7一金▲5七銀△5二金▲6八金直△7四歩▲2六銀△1四歩▲1六歩△6四歩▲3五歩(第2図)
私は▲3六歩。ここ、▲5七銀と上がって持久戦を目指す手もあるが、時間が決められているので長期戦は避けたい。それと、ガッツリ将棋を指すほど私は精神的に安定していない。
私は▲3七銀と棒銀を明示した。最近の常用戦法だ。島井女流二段は着々と穴熊を完成させる。
▲6八金直に△7四歩が島井流で、後の△7二飛を見ている。
私は▲2六銀といよいよ棒銀出撃だが、上手の△1四歩がやや早く、私は▲1六歩とお付き合いしたが、別の手を優先させるべきだったかもしれない。
△6四歩に▲3五歩と仕掛けた。
第2図以下の指し手。△4三銀▲3四歩△同銀▲3八飛△4三銀▲3四歩△2二角▲3五銀△6三金▲2四歩△4五歩(途中1図)
▲2二角成△同飛▲8八角△7二飛▲1一角成△7五歩▲同歩△4六歩(第3図)
第2図では△4五歩を考えていた。以下▲3三角成△同銀▲3四歩△同銀は、下手の棒銀が捌けない。それに上手の角頭が無防備なのだから、これを捌かせるのは損でもある。
本譜は△4三銀だがこれでは一手遅い感じで、私は▲3四歩から▲3五銀と押さえて好調。
しかし▲2四歩に、上手はやはり△4五歩(途中1図)ときた。
私は結局角を換えたが、次の▲8八角に期待した。以下香を取りながら▲1一角成とし、この戦果をどう見るか。もう少し得を拡げられた気もする。
島井女流二段は△4六歩と手筋の突き捨て。
第3図以下の指し手。▲4六同銀引△4四角▲2一馬△3二銀▲同馬△同飛▲5五桂△7七歩(途中2図)
▲7七同桂△7二飛(第4図)
第3図で私は▲4六同銀引。駒を中央に集めて、自然な指し手と思う。以下△7五飛なら▲7六歩△2五飛(△7六同飛は▲7七香)▲2八香△8五飛▲2一馬で下手優勢。
よって島井女流二段は△4四角と据えたが、私は▲2一馬と桂を取る。以下△9九角成なら▲4三馬と銀を取り、これが△7六香も消している。これでもかなり難しいが、下手が指せると思った。
果たして島井女流二段は△3二銀と先手を取ったが、私は読み筋とばかり馬を切って▲5五桂。三枚換えのうえに角筋を止めつつ、金取り。これで下手が悪い道理がなく、この将棋は早々に終わらせて2局目をお願いしちゃおうか、という気持ちになった。
しかしそんな気分も束の間、島井女流二段の△7七歩が好打だった(途中2図)。どう応じても味が悪いが、私は目をつぶって▲同桂。島井女流二段は、金を取るなら取れと△7二飛(第4図)。
ここで次の手がアホだった。
(つづく)